宇都宮市民プラザ 多目的ホール
● 宇都宮市民プラザの「ウィークエンドシネマ」。お邪魔するのは2回目になる。今回「駅馬車」。お客さんは95%がは爺様と婆様。ぼくもその中に混じってまったく違和感がないはずだが。
「懐かしいわねぇ」なんて声が聞こえてくる。ぼくも学生時代に当時の名画座で見ている。が,内容はまったく記憶にない。
● 誰もが知っているアメリカの西部劇映画だから,説明は余計だろうけど,一応。監督はジョン・フォード。主演は脱獄囚のリンゴ・キッドを演じたジョン・ウェイン。
馬車から馬に飛び乗って,さらに先頭の馬に飛び移っていく。スタントマンを使っているわけじゃないだろう。いやいや,命がけというか。
でもないのかね。この程度のことは,運動神経に恵まれていれば,誰でもできるのかい?
● 駅馬車に乗りこんだ人たちのドラマが縦糸。それぞれ魅力的だ。
娼婦のダラス(クレア・トレヴァー),アル中医者のブーン(トーマス・ミッチェル),御者のバック(アンディ・ディバイン),保安官のカーリー(ジョージ・バンクロフト),貴婦人という位置づけのルーシー(ルイーズ・プラット),彼女を慕う賭博師ハットフィールド(ジョン・キャラダイン),酒商人ピーコック(ドナルド・ミーク),そして銀行家のヘンリー(バートン・チャーチル)。
● ダラスの気遣いをルーシーはことごとく断る。なぜだ? 娼婦のダラスを忌避していたからだとわかったのは,最後まで見終えてからだった。
ゲートウッドの正体も最後にわかる。
● ローズバーグに着いたあと,キッドは弟の仇である3兄弟を撃ち殺すのだが,そのシーンは最初にキッドが地面に伏せてライフルを撃つところだけ。それで彼の宿願が成就されたことが伝わってくる。
わからないのはその後だ。ウィルコック保安官はどうしてキッドを逮捕しなかったのだ? アパッチ族との戦いで生死を共にした戦友であることはわかるし,それ以前から保安官はキッドに好感を持っていたこともわかるんだが,ここで許してしまうのは気の利かせすぎではないか。
● ま,そのおかげでキッドとダラスは連れだって,キッドの牧場に向かうことができた。クレア・トレヴァーがお得な役。ハッピーエンドで後味スッキリ。
最後までわからなかったのは,ハットフィールドの行動だ。なぜ,駅場所に乗りこんだのか。なぜ,最後の一発になった銃弾をルーシーに向けたのか。
ヒントになるのは,ハットフィールドがグリーンフィールド家なる名家の出かもしれなくて,ひょっとすると家同士に何かあったのかもしれない。
● インディアンを悪役にするのが許されていた時代だね。1939年だ。