宇都宮市立南図書館 サザンクロスホール
● 1941年に公開されたヒッチコック監督作品。アメリカで制作された。
● 昨日は東図書館で,今日は南図書館。先月からヒッチコック作品を取りあげていて,来月も見られれば,4本。ありがとうございます,と言いたくなる。
● 良家の子女であるリナ(ジョーン・フォンテイン)と詐欺師ながら女性の気を惹くのが巧いジョニー(ケーリー・グラント)が結婚してしまう。
で,まぁ,色々あって,ジョニーの友人のビーキー(ナイジェル・ブルース)が死ぬところまで行く。リナはジョニーの仕業ではないかと疑い,いつかは自分も殺されるのではないかと考える。
● 実家に戻るつもりが,途中でジョニーを誤解していたと思い直し,引き返す。ここで映画は終わる。ジョニーを誤解していたと思ったのは,ジョニーの弁舌にしてやられたからだ。
● いやいや,それは観客にもわからない。ひょっとしたら,ジョニーの言うとおりなのかもしれない。しかし,そうは思いにくい伏線がいくつも張られている。
もし自分がビーキーについてパリまで行っていれば,死の原因になったブランデーの飲み過ぎ(ビーキーは心臓が弱いのだろう)を自分は止めたと,ジョニーは言う。が,リナとジョニーとビーキーと3人でいるときにもビーキーはブランデーを飲んで発作を起こした。このとき,ジョニーは放っておくしかない,と冷たく言い放っている。
● 何度もリナに嘘をついている。雇用主相手にひどい詐欺もはたらいている。目先の快楽に必ず負ける男で,そのお金のためには詐欺も殺人もやりかねない男として描かれている。
ミステリー作家に毒薬のことを詳しく訊く。なにゆえにそこまで知りたがるのかわからない。ということは,誰かを殺すつもりなのだろうと,リナも観客も推測することになる。
● ので,最後のシーンで観客はリナを案じることになる。ジョニーは黒だ。
でも,本当のところはわからない。誰にもわからない。このあたりが,ヒッチコック流なんでしょう。
● ケーリー・グラントの演技もそういう役どころにはまっている。心憎い悪役ぶりをふりまいている。
この映画ではジョーン・フォンテインがアカデミー主演女優賞を得ているんだけど。
2019.01.22 にAmazonプライム会員になりました。その1年後にコロナが世界を覆ったので,最近は自宅のノートPCの画面がスクリーンになっています。というわけで,タイトルに偽りありが常態化しました。申しわけありません。
2016年2月21日日曜日
2016年2月20日土曜日
2016.02.20 宇都宮市立視聴覚ライブラリー 20世紀名画座 「山羊座のもとに」
宇都宮市立東図書館 2階集会室
● 1949年のイギリス映画。監督はヒッチコック。ヒッチコック作品の中では「サスペンス色が薄い」らしい。上映前にスタッフの説明があった。
● 舞台はオーストラリアのシドニー。シドニーでは成功している人に対しても,前歴を訊いてはいけないとされていた。なぜなら,たいていの場合,刑務所にいたからだ。
イギリスから犯罪者が大量に送られてきた。彼らがオーストラリア開発に果たした役割は,実際も小さくはなかったのだろう。
● 主演はイングリッド・バーグマン扮するヘンリエッタと,彼女の夫であるフラスキー(ジョゼフ・コットン)といっていいだろう。ジョゼフ・コットンの演技は重厚で,印象に残った。
しかし,それ以上にフラスキー家のメイド(ミリー)を演じたマーガレット・レイトンの存在感がすごい。ミリーの存在がヒッチコック的サスペンスの趣を湛えている。
● ヘンリエッタを励まし,元気づける役割のアデア(マイケル・ワイルディング)も重要な役どころだけれども,トリックスター的な役回りか。
ヘンリエッタとフラスキーに割って入ることはできない。夫婦にしかわからない修羅場があった。
リチャード総督(セシル・パーカー)もいい味,とぼけたところのある善人,を醸している。
● この映画については,ぼくでも知っていたエピソードがある。「イングリッド,たかが映画じゃないか」とヒッチコックがイングリッド・バーグマンに語ったというエピソード。
なにしろ,超ロングのショットがある。俳優には過酷に過ぎる。納得できないバーグマンは,「ヒッチコックを質問攻めにした」。
ところが,ヒッチコックは「議論嫌い」。そこで,「イングリッド,たかが映画じゃないか」と。
● 面白いエピソードだと思うんだけど,ヒッチコック,ちょっとずるいよね。今だと,説明責任を果たしていないと言われそうだな。
が,ずるいけれども,彼の気持ちはかなりよくわかる。
● この映画のタイトルの由来は何なのだろう。山羊座って。星座だよね。誕生日を支配する星座のことだろう。
ヘンリエッタかフラスキーの誕生日なのか。それとも,二人が駈け落ちを決行した日? 追ってきたヘンリエッタの兄を殺してしまった日?
今頃になって気になってきた。
● 1949年のイギリス映画。監督はヒッチコック。ヒッチコック作品の中では「サスペンス色が薄い」らしい。上映前にスタッフの説明があった。
● 舞台はオーストラリアのシドニー。シドニーでは成功している人に対しても,前歴を訊いてはいけないとされていた。なぜなら,たいていの場合,刑務所にいたからだ。
イギリスから犯罪者が大量に送られてきた。彼らがオーストラリア開発に果たした役割は,実際も小さくはなかったのだろう。
● 主演はイングリッド・バーグマン扮するヘンリエッタと,彼女の夫であるフラスキー(ジョゼフ・コットン)といっていいだろう。ジョゼフ・コットンの演技は重厚で,印象に残った。
しかし,それ以上にフラスキー家のメイド(ミリー)を演じたマーガレット・レイトンの存在感がすごい。ミリーの存在がヒッチコック的サスペンスの趣を湛えている。
● ヘンリエッタを励まし,元気づける役割のアデア(マイケル・ワイルディング)も重要な役どころだけれども,トリックスター的な役回りか。
ヘンリエッタとフラスキーに割って入ることはできない。夫婦にしかわからない修羅場があった。
リチャード総督(セシル・パーカー)もいい味,とぼけたところのある善人,を醸している。
● この映画については,ぼくでも知っていたエピソードがある。「イングリッド,たかが映画じゃないか」とヒッチコックがイングリッド・バーグマンに語ったというエピソード。
なにしろ,超ロングのショットがある。俳優には過酷に過ぎる。納得できないバーグマンは,「ヒッチコックを質問攻めにした」。
ところが,ヒッチコックは「議論嫌い」。そこで,「イングリッド,たかが映画じゃないか」と。
● 面白いエピソードだと思うんだけど,ヒッチコック,ちょっとずるいよね。今だと,説明責任を果たしていないと言われそうだな。
が,ずるいけれども,彼の気持ちはかなりよくわかる。
● この映画のタイトルの由来は何なのだろう。山羊座って。星座だよね。誕生日を支配する星座のことだろう。
ヘンリエッタかフラスキーの誕生日なのか。それとも,二人が駈け落ちを決行した日? 追ってきたヘンリエッタの兄を殺してしまった日?
今頃になって気になってきた。
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