TOHO CINEMAS 宇都宮
● 今頃になってやっと見ることができた。
作る側は膨大なエネルギーを注いでいるのだろう。が,見る側とすれば,その結果を楽しむだけ。気楽なもの。
だって,お金を払う立場なんだからね,エヘン。
● こういう映画に,たとえば政治のリアリティとか,法理論の正確さとか,日米安保の本質的性格とか,そういうものを見せてくれという人はいないだろう。
ゴジラがフェーズを変えて巨大になっていく様や,自衛隊がゴジラに爆撃を加えるときの迫真さ(とこちらが勝手に思っているもの)を,息をつめて見つめる。娯楽性を極めていてくれれば,それでいい。
● 矢口蘭堂(政務担当の内閣官房副長官)に長谷川博己。赤坂秀樹(国家安全保障担当の内閣総理大臣補佐官)に竹野内豊。
カヨコ・アン・パタースン(米国大統領特使)に石原さとみ。英語の発音はともかく,アメリカ人っぽい日本語の喋り方はさすが女優。つかみが上手い。
尾頭ヒロミ(環境省の課長補佐)の市川実日子も存在感を放っていた。他に,ちょい役もキラ星のごとく,あの人やこの人が登場する。
● 総じて,政治家が好ましく描かれていた。国を思い,国民を思い,国益は何かを考え,不眠不休で職務にあたる。
ひと世代前だったら,ここは官僚が主役になったところかもしれない。
● ゴジラが都市を破壊していく様が痛快。誰にも破壊願望があるんだろうか。ゴジラが自分に代わってその願望を満たしてくれる。
しかも,映像がかなりリアルなものだから,破壊願望の満たされ方もリアルだ。
● 「人間の8倍もの遺伝子情報を持ち,個体での進化および無生殖増殖を行い,死をも克服した」とんでもない「完全生物」のゴジラ。
これではとても人間は対抗できまいと思われるところ,わりとあっさりと血液を凝固されて,凍らされてしまう。ここで映画は終わるんだけれど,このあとどうすればいいんだろう。粉々に砕いただけではダメだぞ。そのカケラから多数のゴジラが生じてしまうかもしれないのだから。
● 音楽にも注目。伊福部昭の音楽が使われているようだった。CDを引っぱりだして,あらためて聴いてみるか。
『シン・ゴジラ音楽集』というのも出たようで,これを買ってもいいわけだが。