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2013年の創立125周年記念のワールドツアーのドキュメンタリー。ブエノスアイレス,ヨハネスブルグ,サンクトペテルブルグが舞台。
● 路上の哲学者とでも呼びたくなるタクシーの運転手,貧民街の黒人の子供たち,強制収容所を生きのびた老人を登場させ,スラムと絢爛なホールを対比させたりと,社会派仕立てにして起伏を作っているのだが,個人的には狭義のドキュメンタリーに徹してほしかったと思う。
● 作製する側の人間も音楽界の人で,音楽とはかくも偉大なものとアピールしたかったのかもしれないが,もしそうならそんなアピールは不要どころか有害かもしれないと言いたい。
音楽は小さなものでいい。だいそれたものである必要などない。聴いた人が聴いた時間だけは幸せになる。そういうものでいいではないか。音楽で社会を変革するとか,大衆を救うとか,そういう啓蒙的な要素が混じると,少々鼻白むところがある。嘘くさくなるというか,バカっぽくなるというか(このドキュメンタリーがそうなっているというのではない)。