宇都宮市立南図書館 サザンクロスホール
● 開演は13時30分。入場無料。
監督は溝口健二。1952年の作品。原作は井原西鶴の「好色一代女」。
田中絹代演じるお春の不幸としかいえない一生を描く。
御所にあがっていたお春が,若党の勝之介(三船敏郎)に思いを寄せられ,駈け落ちするもうまくいくはずがなく,都を追われる。が,大名の側室にあがることになり,めでたく世継ぎをもうける。
でも・・・・・・。父親に島原に売られたり,いろいろあって,最後は夜鷹に身を落とす。
● 最後の最後に,お春が生んだ子が大名の跡継ぎになり,お城で一緒に暮らせると喜ぶ。
けれども,夜鷹にまで身を落としていたのをお城の重役たちが問題視し,幽閉されることになる。それを潔しとしないお春はお城を抜けだして,乞食をしながら巡礼の旅に出る。
● 貴種流離譚というのとも違う。何なのかこれは。
純粋だけれども後先を考えない勝之助に思いを寄せられ,それを拒みきれなかったのが破綻の始まり。
要するに,お春の不幸は彼女が美人で気立てがよかったのが原因だ。美人に生まれてしまったのが,彼女の不幸を作った。美人なら気も強くないといけないねぇ。
美人なばっかりによけいな不幸を抱え込む女性って,今でもいるのかもしれない。女優とか局アナなんかに多いのじゃないかなぁ。
● 海外で高い評価を受け,ヴェネツィア国際映画祭で国際賞を受賞。ウィキペディアによると「田中絹代も一世一代の名演を披露」とある。
彼女は庶民的なおかみさんが似合う顔立ちですよね。花魁姿にはちょっと違和感を覚えたんですけどね。
● 生活保護なんてのはない時代だから,落ちだすときりがない。過酷な時代ではある。これじゃ長生きはできない。
江戸時代の風流とか雅というのが,この作品で描かれているようなものだとすると,雅の元はやせ我慢ということになる。これはよくわかる。今でもお洒落の源泉はやせ我慢だからね。ぼくはそういう我慢はしたくないけれども。