宇都宮市立東図書館 2階集会室
● 1935年(昭和10年)公開。監督は山中貞雄。もっとも,Wikipediaによると「山中作品のうち現存する3作品の中で最も古いものであるが,残っているのは戦後公開版で,どこまでがオリジナルであるかは定かでない部分もあり,GHQによる検閲でチャンバラの場面などが削除されたと見られている」とのことだ。
● コミカルな娯楽映画。映画というのはどんなにシリアスなものであっても,どこかに娯楽の要素が入りこむものだろうけれども,これは肩肘はらないで見られる娯楽映画だ。
大雑把にいえば,“こけ猿の壺”をめぐるドタバタ劇ということになる。丹下左膳(大河内傳次郎)とお藤(喜代三)の夫婦(内縁の夫婦ってやつ)のやり取り,そこに江戸へ婿養子に入った柳生対馬守の弟,源三郎が絡んでくる。
さらに,孤児になったちょび安(宗春太郎)という子役が出てくるんだから,娯楽映画としては鉄板だ。
● 昔の映画だからね,登場人物がみんな可愛いんだわ。
っていうか,ぼくらは(ぼくらの親の世代になるのか)こういう登場人物を見て大きくなったわけだから,知らず知らず,登場人物たちを内化しようとしてきたのかもしれない。彼ら彼女らのようになるのが,大人になるってことなんだな,と。