宇都宮市立東図書館 2階集会室
● 1948年制作のアメリカ映画。監督はアルフレッド・ヒッチコック。元になった実話があるらしい。1924年に実際に起きた少年の誘拐殺人事件。
が,ストーリーはともかく,映像としての緊張感はヒッチコックにしかできないオリジナリティに満ちたものなのでしょうね。
● 舞台はニューヨークの(日本の言葉でいえば)高層マンションの一室。最初から最後までこの部屋以外が舞台になることはない。
登場人物も数人。それでこれだけスリリングな世界を作りあげる。
● 殺人を実行したブラントンにジョン・ドール,同じく実行者にしてピアニストのフィリップにファーリー・グレンジャー。
彼らの事件をあばく探偵役にして,彼らの教師だったルパートに,ジェームズ・スチュワート。
● 見所はやはり最後の,ルバートがブラントンを追い詰めていくところですかね。ルバートは,デイヴィッドの帽子を見て,ブラントンがやったことを確信している。死体をどこに隠したかもわかっている。
かつて自分が説いた超人哲学の枝葉のひとつをブラントンが実行してしまった,その非をどう咎めるか。ルバートの脳内は煮えたぎっていたはずだが。
● 冷静きわまるブラントンにしては,殺したデイヴィッドの帽子を隠しておかなかったのは凡ミス。共犯の相手にフィリップを選んでしまったのもまずかった。
もっとも,そうでないと映画にならないでしょ,ってことになりそうだけど。