2018年2月21日水曜日

2018.02.16 宇都宮市立視聴覚ライブラリー 20世紀名画座 「パラダイン夫人の恋」

宇都宮市立東図書館 2階集会室

● ヒッチコック作品「パラダイン夫人の恋」(1947年 アメリカ)を見た。この「20世紀名画座」のおかげで,ヒッチコック作品をずいぶん見ることができたのはありがたい。

● 映画って見るべき時期があると思う。というのは,若い頃に「第三の男」だけは見ているのだけども,ほとんど記憶に残っていないんですよね。
 あの頃って,頭に引っぱられて見ていたと思うんですよ。和田誠さんの『お楽しみはこれからだ』なんかを読んで,そうか,映画を見ないとダメなのか,と思ってね。
 旧制高校生がわかりもしないのに哲学書を読むような感じといいましょうかね。勉強のために映画を見るみたいな。

● ところが,20代の自分は呆れるほど幼かったのだと思う。「第三の男」を見ても,その綾を理解することができなかったのだろう。だから,何も記憶に残っていないのだ。
 ヒッチコックを自分なりに楽しめるようになるためには,人生の残り時間がだいぶ少なくなった今を待たなければならなかった。そういうことなのだと思う。
 だから,映画を見る時期としては,今が絶好なのだ。

● ヒッチコックの代名詞といえば,「サスペンス映画の神様」。全編をおおう緊張感。弛みがないというか,なくてもいいシーンがないというか。
 幸いなことに,未見の作品がまだまだたくさんある。DVDをまとめ買いして一気に見るなんてことはしないで,ゆっくりと楽しんでいければと思う。

● この作品ではパラダイン夫人(アリダ・ヴァリ)の得体の知れなさがすべての源泉で,ほんとうに夫を殺したのか,濡れ衣なのかが,最後までわからない。
 使用人のアンドレ(ルイ・ジュールダン)との関係,アンドレの夫への忠誠,パラダイン夫人の過去。それらが絡み合って,こちらをスクリーンに引きつける。

● 作中でしっかり生きているのは,パラダイン夫人やゲイ・キーン(アン・トッド)など,女衆。男どもはどうも上っ面でいかんなぁ。