この時期になってもお客さん,多かった。収容人員の少ないホールではあるんだけどね。少年少女が集団できていたな。たぶん,すでに一度か二度は観ているんじゃないかな。リピーターっぽかったな。
こういうものを少年少女だけのものにしておいたのではもったいない。大人も観るべし。
● 監督,脚本,原作が新海誠。主人公は男子高校生と女子中学生。高校生なり中学生なりの本流を外れている。学校を放り投げて働かなければいけない境遇にある。普通にいえば社会の底辺に位置する。
が,新海作品においては,そうじゃないんだな。彼らがいるところが世界の中心で,そこに惨めったらしさはないのだ。
明るく健気なキャラクターに設定しているからじゃなくて,天然自然に彼らはそんなことを意識していないようなのだ。
● 主人公は少年少女でなければならないのだろうな。少女は“巫女”でもあって,“神”でもある。少女でなければならない。おばちゃんが“巫女”や“神”であっちゃおかしいからね。おばちゃんは現実そのものなんだから。
主人公を支える大人たちも全うじゃない,裏世界に生きる人たち。それぞれに過去を持つ。しかし,底抜けにいい人たち。要するに,フィクションですっ。
● 東京の半分が水の下に沈んでも,人々は何事もないように暮らしている。シュールといえばシュールなんだが,人間はかなりの変化にも対応できるものだと言いたいのか。
いや,対応できなかった多くの人が死んでいるわけか。殊更には描かないけれども。