2025年8月11日月曜日

2025.08.10 舟を編む

Amazon Prime Video

● この映画を観るのは,これが8回目か9回目。そんなに観たくなる理由は非常に単純。宮﨑あおい演じる林香具矢のキュートさだ。
 劇場公開は2013年だが,2024年3月に期間限定のリバイバル上映が行われたらしい。

● 前回見たのは数年前のことだが,その間,こちら側の変化(?)もある。ひとつは,三浦しをんの原作を読んだこと。
 原作と映画で大きく違うのは,やはり香具矢の扱いで,原作での香具矢は前半に出てくるだけで,辞書作りが佳境に入る後半では脇役ですらない。
 映画では全編を通じて重要な役であり続け,ラストも香具矢の台詞「みっちゃんって,やっぱり面白い」で終わる。宮﨑あおいを使ってみたかったんでしょうねぇ。

● もうひとつは,万年筆やボールペンで手書きをしていたのが,鉛筆派に変わったことだ。それが何なんだというと,劇中での辞書編集作業はすべて鉛筆(と朱藍鉛筆)で行われているのだ。用例採集から校正まで,シャープペンは一度も使われない。
 リアルの辞書作りではどうなのか知らないし,仮に鉛筆一辺倒であったとしても,それがいかなる理由によるのかは推測しかねるのだが,劇中の現場との距離がグッと詰まったような気がして,妙に嬉しかったというかね。

● いや,面白い映画ですよ。今までは宮﨑あおいしか観ていなかったけれども,馬締光也を演じる松田龍平の眼の演技も見どころでしょ。
 馬締を具体的にどんな形にするか,かなり難しかったと思う。やり過ぎくらいにしないと,画面では映えないと思うんだが,その加減を間違うとリアリティの有無に関わってしまう。
 他に,オダギリジョー,小林薫,加藤剛,黒木華,池脇千鶴,渡辺美佐子,鶴見辰吾,伊佐山ひろ子,八千草薫と,芸達者がキラ星のごとし。

● NHKのドラマの方も観るつもりなんだけども,主演の池田エライザが扮するのは林香具矢ではなくて,映画では黒木華が演じた 岸辺みどり なんだな。
 映画では香具矢と馬締のロマンスを柱のひとつにしていたけれども,辞書作りを焦点にした物語にするのなら,みどりをヒロインにするのは納得だ。