2017年4月23日日曜日

2017.04.22 宇都宮市立視聴覚ライブラリー 20世紀名画座 「ゾラの生涯」

宇都宮市立東図書館 2階集会室

● 前半はエミール・ゾラの出世物語だけれども,丹念に描いているわけではない。メインは後半の“ドレフュス事件”。これがこの映画の見どころだということに,異論を唱える人はいないだろう。
 1937年のアメリカ映画。1937年といえば昭和12年。当時の日本では逆立ちしても作り得ない映画だったろう。
 ま,今でもハリウッド映画を日本で制作するのは無理だろうけどさ。

● ゾラを演じたのはポール・ムニ。Wikipediaによれば,「物語とは逆の順序で撮影がされたので,ポール・ムニは役柄のために顎ひげを伸ばし,撮影期間がたつにつれ顎ひげを短くし,色を黒く染めていって撮影に望んだ。彼のメイクアップの時間は,毎朝3時間半かかったという」ことだ。
 メイクアップであそこまで若くなれるのか。大昔から映画界のメイクの技術はすごかったのだ。

● ドレフュスを演じたのはジョセフ・シルドクラウト。存在感があった。ドレフュス夫人のゲイル・ソンダガードとゾラの奥さん役のグロリア・ホールデンの両女優にも注目。
 それと,フランス陸軍上層部の,まぁ保身というのだろうか,組織防衛というのだろうか,愚かな振る舞いをいかにもありそうなことだと思わせる描き方が出色。ここは,監督ウィリアム・ディターレの功績。

● ハッピーエンドで終わるので,見終えた後はスッキリと気持ちがいい。良かったねぇ,となる。

● 以下は余談。
 この「20世紀名画座」を主催しているのは,“宇都宮市立視聴覚ライブラリー”なんだけど,「20世紀名画座」の他に,同じ東図書館で「日本映画劇場」というのも催行している(つまり,「20世紀名画座」の方は洋画)。どちらも月に一度。
 昨年度までは「日本映画劇場」が金曜日,「20世紀名画座」が土曜日だった。いずれも午前と午後,2回の上映。
 ところが,金曜日だと普通に仕事をしている人はまず行けない。なんで金・土なのか,土・日にすればいいではないかと思っていた。
 が,今年度から,金・土はそのままだけれども,午前に「日本映画劇場」で午後に「20世紀名画座」を上映するように変更した。金・土の2日間,同じ映画を上映する。
 というわけで,これからは土曜日に2本の映画を見ることができる。その間,2時間ほど空くんだけど,そこは図書館だからね,雑誌なんぞを見てればいい。退屈することはない。
 しかも,「日本映画劇場」では来年1月から3月まで小津作品が上映される。原節子主演じゃないやつで,ぼくはまだ見たことがないものだ。楽しみだ。