東京都写真美術館ホール
● 恵比寿の東京都写真美術館のホールで,草間彌生を追ったドキュメンタリー映画「草間彌生 わたし大好き」が再上映されると知ったので,今日,見てきた。13時から。チケットは1,500円。
天気が生憎の(と言いたくなるね,どうしても)雨。桜の時期は雨の日が多いよなぁ。
● 草間さん,絵のほかに詩も書くんですね。で,自分の作品を見て,こんなすごいの見たことない,と言う。昔から自分は天才だと思っていた,今以上に,とも。
そうでなければ芸術家としてやっていけないよ,ってこと。
● 他者の作品を見ることはあまりないらしい。自分の作品以外に興味を向けない。と,本人は語るんだけど,実際はどうなんだろう。
いや,実際もそうなんでしょうね。これだけ創作に打ちこんでいたら,人の作品を見ている暇はない。
自分の内側にあるものを外部化するのが創作だとすると,それくらいじゃないと創作なんかできないのかもしれない。
このあたりは,創作からはるかに遠い位置にいる自分には想像することもままならないんだけどさ。
● でも,若いときは違ったはずだよね。自分の内側に発酵の素になるものを溜めなければいけなかったはずだから。
彼女は若い時期をアメリカで過ごした。今の彼女の作品がワールドワイドなのはそれも一因かもしれない。
と,思わず書いてしまった。そう考えるとわかりやすいからだ。けど,それも違うんだろうね。そんな単純は話じゃないんだろう。
● 真っ白なキャンバスに,マジックでためらうことなく最初の線を引く。
書いているときは無心。その無心の状態で,何をどう書くか,そのアイディアが次々に湧いてくる,と言う。
● 幼少の頃は,過酷な家庭環境で育った。しかし,それは“前衛芸術家”としての現在の彼女を作りあげるうえでは,あまり関係ないのだろうと思えた。
● 90歳近い年齢になる。が,創作の質はまったく落ちていないようだ。そういう例は,ピカソと草間彌生だけではないか。
ただし,ぼくには彼女の作品を評する術がない。自分の脳が勝手に使いだす鑑賞方法論は非常に狭いもので,彼女が相当なスピードで生みだす作品を捉える幅に欠けている。
● こういう人に密着して映像を撮るのは,撮る方も大変でしょうね。ときどき,草間さんにカメラマンが叱られていたけれど,実際には,そういう場面はもっとあったんだろうから。
それを敢えてやるというのは,撮る側が草間さんに心酔しているからだろうか。
● ただ,ちょっと気になったところがあって。カメラマンが草間さんに質問をするところが何度かあるんだよ。その質問が,何というか,つまらない質問なんだよ。「先生にとって○○とは何ですか」みたいな。
気難しい人なら,質問のつまらなさに腹を立てるかもしれないよ。