2017年7月22日土曜日

2017.07.22 宇都宮市立視聴覚ライブラリー 20世紀名画座 「砂漠の鬼将軍」

宇都宮市立東図書館 2階集会室

● 1951年のアメリカ映画。監督はヘンリー・ハサウェイ。
 第二次大戦で連合軍から「砂漠の鬼将軍」と怖れられた,ドイツのエルヴィン・ロンメルを描く。が,彼の戦場での活躍が描かれるのではなく,彼の悲劇に至るまでの経過がたどられる。
 その悲劇というのは,ヒトラー暗殺の嫌疑をかけられて反逆罪に問われ,自殺に追い込まれたこと。これは史実らしい。ただし,ロンメルが本当にヒトラー暗殺に荷担したかどうかは不明。

● ロンメルは当時としては珍しく,貴族ではなく平民というか中産階級から,元帥にまで昇りつめた人物。その過程で,ヒトラーの信頼を受け,ロンメルもまたヒトラーを崇拝していたらしいのだが。
 敗戦が濃厚になると,戦力も消耗しているし,有能な下士官も不足する。戦略の幅が限られるのだろう。これが進めば降伏する以外の選択肢がなくなる。
 そうなると,支配者の足下は震度7くらいの揺れが恒常的に続くことになる。ロンメルもまたヒトラーを除いて降伏する以外にないと考えたのかもしれない。

● ロンメルを演じたのはジェームズ・メイソン。当時のアメリカではこれが最も好かれる英雄のキャラクターだったのだろうか。
 ひと言で言うと,陰影がない人物に描かれている。一本気であり,単純であり,直情径行であり,裏表がない。要するに,懐が浅い。簡単に騙せそうな人物だ。
 これでほんとに,敵の裏をかくような作戦を敢行できたんだろうかと思う。というわけで,少し物足りなさが残った。

● ヒトラー(ルーサー・アドラー)は逆に戯画化されすぎていて,かわいそうな気がした。ここまでお粗末だったわけではないだろうに。