2017年10月23日月曜日

2017.10.21 宇都宮市立視聴覚ライブラリー 日本映画劇場 「三万両五十三次」

宇都宮市立東図書館 2階集会室

● 1952年の映画。原作は野村胡堂。監督は木村恵吾。65分の今の常識からすると短い映画。

● 舞台は幕末。京都の公家たちを懐柔するための資金三万両を江戸から京都まで運ぶことになった。そこで起きるドタバタを楽しむ娯楽映画。
 三万両の運搬を殿様から任されたのは,普段はパッとしない馬場蔵人(大河内傳次郎)。それに絡むのが,女盗賊のお蓮(轟夕起子),蔵人を慕う家老の娘,小百合(折原啓子),蔵人に大役をさらわれた山際三左衛門(河津清三郎)。

● 蔵人は瓢箪マニアという設定。上役から説教されているときも収集品を磨くのをやめない。それほどのマニアなのに,有事の際は瓢箪などどうでもいいかのように豹変して,修羅場に飛びこむ。
 お金には恬淡。衣食住にこだわりなし。昼行灯だけれども腕は立つ。それでもって人情家。女が放っておかない。
 当時のヒーローはこういうものだったんだね。っていうか,今でもそうか。

● この映画を支えているのはたぶん轟夕起子。妖艶で色気がある。キップが良くて,面倒見もいい。肝っ玉が大きくて,何が起きても動じない。そのくせ,蔵人に惹かれていく女っぽさ。男から見たら理想の女性だ。
 それから,お蓮一味の盗賊の牛若小僧を演じた加藤大介が絶好のスパイスになっている。