2020年5月27日水曜日

2020.05.27 ここは退屈迎えに来て

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● 「ここは退屈迎えに来て」(2018年)。原作は山内マリコの同名の小説。

● 橋本愛が主役の「私」を演じるのだけど,劇中において絶対的な主役はいない。男対男,女対女,男対女。個対個,その組合せ対組合せ。それらの関係が幾重にも折り重なって物語が進行する。
 劇中人物の誰にとっても高校時代が桃源郷になっているのだが,桃源郷の中心にいた椎名は「私」の名前を憶えていなかった。それを知って,「私」から砂絵のようにすべての記憶が崩れていく。

● 舞台は路面電車が走っている地方都市,富山。半世紀前は都会は人工物だから画一的だと言われた。対して,地方はそれぞれに地方である,と。
 が,今は逆だね。銀座,浅草,新宿と,都市はそれぞれに個性的だが,田舎はどこも同じ。チェーンのファストフード店やファミレス,パチンコ店,ガソリンスタンドでできている。画面の富山の風景は宇都宮のそれとほとんど同じだ。