2022年1月27日木曜日

2022.01.22 おらおらでひとりいぐも

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● 「おらおらでひとりいぐも」(2020年)。原作は若竹千佐子の小説。タイトルは宮沢賢治の詩「永訣の朝」の一節であることは言うまでもない。
 「昭和,平成,令和をかけぬけてきた75歳,ひとり暮らしの桃子さん」の来し方を映像で綴る。現在の桃子さんを田中裕子が,若かった頃の桃子さんを蒼井優が演じる。
 他に,東出昌大,濱田岳,青木崇高,宮藤官九郎,田畑智子,六角精児,鷲尾真知子。

● 亭主には先に逝かれ,子供らとは疎遠になる,何もなかったじゃ,こんな淋しい秋になるとは思わなかった,と桃子さんが語るシーンがある。
 桃子さんは寂しさに敏感な人らしいのだ。輪廻転生まで持ちだして “奇跡の命” を語るのも,淋しさをずっしりと背負っている自分に対して,理屈で納得させようとする試みだ。

● やがて来る死を恐れているようではない。であるなら,1人はそんなに忌むべきものかねぇとずっと思って見ていた。
 普通,亭主は先に逝くものだし,子供は疎遠になるものだろう。1人って気楽というか,自由が利いていいんじゃないかなぁ,と。

● ひょっとして,自分の生き方は間違っていたのではないかという思いが,寂しさの中にあるんだろうか。自分は何ごとも為し得なかったという。
 だとしたら,それは間違いだよね。子供を2人も育てあげているんだから,何ごとも為し得なかったどころの話ではないんだよ。
 それに,親の勧める結婚を直前にキャンセルして故郷を飛びだして,単身東京に出てきて無手勝流で自分の居場所を作ってきたんだから,波乱万丈の人生をやってきてるんだよね。平凡では全然ないんだけどねぇ。

● 結局,よくわからない。じつは寂しがるのが好きという性分なんだろうか。
 「孤独の先で新しい世界を見つけた桃子さんの,ささやかで壮大な1年の物語」とあるんだけど,見方が悪いのだろう,桃子さんが見つけた新しい世界というのが,ぼくにはどうもよく見えなかった。