冒頭に鉛筆をハンドル式の鉛筆削りで削るシーンがある。主役の大葉美奈子(田中裕子)の少女時代,美奈子が作文を書くところ。
鉛筆は三菱9800。鉛筆削りはカール事務器のもの(だと思う)。
● 末期がんの高梨容子(仁科亜季子)が時々,ノートに何かを書きつける。そのノートは A6 Campus。
自分も同じものを使っているので,何がなし親近感を覚えたのだが,容子は横罫の罫線を無視して縦書きしている。
● Campus の表紙のデザインは先代(第4代)のもの。2000年から2011年まで販売されていたものだ。
高梨槐多(岸部一徳)の職場(市役所)にはそれぞれのデスクにパソコンが配置されている。
劇中の時代設定は公開時と同じと考えていいのだろうか。ずいぶんと昔のように感じられたのだが,20年前はこんなだったろうか。バブルが弾けて失われた10年と言われていたときだけど。
● 出演は,他に,渡辺美佐子,香川照之,杉本哲太,鈴木砂羽など。
美奈子は本好きなのだが,タイトルは,読書できるのは大切なものを失ってから,の意なんだろうか。具体的には想い人ということなんだが。
● 美奈子も槐太も皆川敏子(渡辺美佐子)も,重い事情を抱えている。にもかかわらず,誠実に生きている。
そういうところが感情移入を誘う理由になっている。後味の良さを作ってもいる。