2022年2月28日月曜日

2022.02.28 グランド・ジャーニー(字幕版)

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● 「グランド・ジャーニー(字幕版)」(2020年 仏・諾)。フランスとノルウェーの合作映画。

● 「超軽量飛行機を使い,渡り鳥に安全なルートを教えるという,誰もが無茶だと呆れるプロジェクトに夢中」な気象学者クリスチャン(ジャン=ポール・ルーブ)に,元妻のパオラ(メラニー・ドゥーテ)が息子のトマ(ルイ・バスケス)を預けるところから始まる。夏休みはパパと過ごしなさい,と。
 トマはインドア派のスマホ&ゲーム少年で,行くのを嫌がっていたのだが,父親の研究と渡り鳥と軽量飛行機の運転に興味を持つようになる。ここまでが序章。

● 前半は,クリスチャンとトマ,クリスチャンの協力者であるビョルン(フレッド・ソレル)が渡り鳥(雁と1羽のカモメ)を連れて,車で北極圏をめざす。
 が,途中で足止めを余儀なくされる。クリスチャンは役人の指示に反して鳥たちを空に放ってしまう。ここからいくつかのドタバタを経て,結局,トマが単独で鳥たちを連れて予定のルートを進むことになる。少年の冒険譚の始まり。

● 最初はね,荒唐無稽にも程があるぞと思って見ていたんだけども,すぐにトマと鳥たちに引き込まれた。
 市民の善意に助けられて燃料も補給でき,そのうちにメディアも注目するようになり,民衆の応援も受ける。見事にミッション遂行。

● 見どころは2つあって,ひとつは北極圏の風景だ。特に,上空からの風景。
 もうひとつは,トマの軽量飛行機に鳥たちが編隊を組んで,付いてくる様子だ。いくら何でもこの映像はCGだろうと思ったのだけど,そうではないらしい。どうすればこんな映像が撮影できるんだろう。

● 渡り鳥はその数を大きく減らしているらしい。劇中のクリスチャンは渡り鳥を保護するために安全なルートを教えようとしているくらいだから,開発には反対する。自然を壊すなと主張する派だ。
 おそらく,政治的にはリベラルなのだろう。映画界,マスメディアも同じだろう。自然保護派と映画界は相性がいいはずだ。

● 問題は,自然保護派の主張することが本当に自然を保護する結果になるとは限らない場合が少なくないことだ。今で言えば,グリーンエネルギー問題。かえって自然に負荷をかけてしまっているかもしれない。
 それから,自然保護はどういうわけだか利権を作ってしまうということ。自然保護団体には品下れるヤツがけっこう多そうだ。

2022.02.27 作家刑事 毒島真理

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● 「作家刑事 毒島真理」(2020年)。映画ではなく,テレビ東京で放送されたドラマ。原作は中山七里『作家刑事毒島』。

● 主演は佐々木蔵之介。毒島真理(ブスジマ シンリ)を演じる。
 毒島は優秀な警察官だったが定年前に退職。が,刑事技能指導官として再雇用された。売れっ子作家でもある。
 毒島と組む新人刑事に新川優愛。他に,塚地武雅,宮崎香蓮,遊井亮子,高橋洋,村松利史ら。

● 毒島が凄いのは名前だけじゃない。「ずば抜けた推理力と毒舌」の持ち主なのだ。徹夜しないと終わらないくらいの原稿に追われながら,事件を捜査して,しかもユーモアも忘れない。
 どうなんだろ,毒島は長く読みつがれるミステリの探偵というか問題解決人になれるんだろうか。あるいは,ぼくが知らないだけでもうなっているのか。

● 構えないで見て,楽しめる。娯楽映画(ドラマだが)の王道。
 映画を見ながら,難しい社会問題とか人生の深淵とか,そういうものは考えたくないな,とぼくは思ってしまうタイプなので。

2022.02.26 決算! 忠臣蔵

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● 「決算! 忠臣蔵」(2019年)。原作がある。山本博文『「忠臣蔵」の決算書』(新潮新書)。原作者は東京大学史料編纂所教授。
 「大石内蔵助は討ち入り決行までの潜伏期間で使用した費用すべてを帳簿に記録していた」らしい。

● 当時の武士というのは,公務員のようなもの。その公務員に番方と役方があった。両者の対立も描かれる。
 番方は “武官の系統” で役方は “文官の系統” とウィキペディア教授は説明しているが,会社でいえば番方は営業,役方は経理といったところだろうか。病院でいえば番方は医師や看護師で,役方は事務局。

● 瑤泉院は石原さとみ。語りも担当している。劇中の瑤泉院は,大石内蔵助はダメ家老で信用できず,出奔した大野九郎兵衛(西川きよしが演じている)を評価している。
 九郎兵衛は役方のトップ。松の廊下の事件が起きたとき,すでにかなりの高齢だったらしい。

● 大石内蔵助に堤真一。役方の矢頭長助に岡村隆史。岡村隆史の仕事ぶりが見もの。
 他に,濱田岳,荒川良々,妻夫木聡,大地康雄,西村まさ彦,木村祐一,桂文珍,竹内結子,阿部サダヲなど。

● 吉良邸へ討ち入るという大きなプロジェクトを遂行するのだから,お金が要る。使える予算は使える予算は9,500万円(蕎麦いっぱいが16文=480円で計算して)。
 討ち入り志願者は48人より多かったらしいが,それだけの人数を連れて行くには予算が足りず,足切りをしたことになっている。リストラした結果,48人になったのだ。
 無駄金もかなり使っている。これは致し方がない。全部生き金にするなんてわけには行かない。たかるヤツがいるのも,いかにもという感じがする。

● 仇討ちをすれば切腹というのは覚悟していたことになっている。それはそうなのだろう。
 正調忠臣蔵では四十八士の処分を巡って,幕府は大いに悩み,議論を重ねたことになっているが,ルールに照らして処断する話で,悩むところではなかったはずだよね。

2022.02.25 セックスの向こう側 AV男優という生き方

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● 「セックスの向こう側 AV男優という生き方」(2013年)。AV男優のインタビュー集。どういうことを訊いているのか。それはこの映画を見てください。
 わりときれいな言葉で話している。まとまったストーリーに仕立てているというか。嘘はついていないと思うのだが,頭の中で濾過すべきでないものを濾過してしまっている可能性はゼロではないと思う。

● 「2012年,生誕30周年をむかえたアダルトビデオ=AV。ピンク映画から派生し,低予算のビデオ撮りという形でひっそりと生まれたAVは,桜樹ルイ,飯島愛,及川奈央,森下くるみなどのスター女優を生みながら,現在ではメーカー数100社以上,月間販売タイトル推定4,500本,業界年間売上約550億円の巨大市場へと成長を遂げた」。
 以上は2012年の話。今はどうなっているんだろうか。

● 「推定10,000人とも言われる現役AV女優に対し,男優は約70人」しかいない。AVを見るのは男だけだ。女優を見るのであって,男優などどうでもいい。70人もいれば充分ということなのだろう。
 女優の方は入れ替えも激しいだろうが,男優はわりと長くやれるのかもしれない。「彼らが仕事で “からんだ” 女優の数は,1人あたり数千人にも達するという」。

● 登場している男優は次のとおり。

 加藤鷹 日比野達郎 速水健二 山本竜二 平口広美 栗原良平 本一穂 島袋浩 田淵正浩 ミートボール吉野 森山龍二 トニー大木 吉村卓 黒田将稔 しみけん 鳴沢賢一 阿川陽志 森林原人 沢井亮 平井シンジ

 加藤鷹はこの道の先達というか,知名度の高い人なのだと思っているが,彼は話し声の声質がいい。
 しみけん も有名になった。この業界が好きだという。死ぬまでこの仕事ができればという。一方で,業界を突き放して俯瞰している。メタ認知というのだろうか,そういう視点を明瞭に持っている感じがした。
 が,肝はメタ認知がしっかりしているというところにあるのではなく,メタ認知に支配されていないところにある。

● 楽な仕事はないなという印象。AV男優というのはかなり大変な仕事で,男なら誰でもできるというものではなさそうだ。ウンコを喰うという話を聞くと,なおさらそう思う。
 なぜAV男優になったか。結局,金がなくて喰えなかったから,というのが本当のところなのだろうなと思える。彼らがこの仕事を始めた頃,2~6万円の日当をもらえたらしい。

2022年2月27日日曜日

2022.02.24 劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲

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● 「劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲」(1999年)。テレビアニメ「ポケットモンスター」の劇場版第1作。

● オリジナルをコピーして,オリジナルより強いポケモンとして作られたのがミュウツー。彼はしかし,自身の存在意義に疑問を抱き,それが自身を作った人間への不信に至り,自身もまた「オリジナルから,さらに強いポケモンをつくり,人間たちへの逆襲」を図るようになる。
 最終盤でミュウツーのオリジナルであるミュウが現われ,ミュウとミュウツーはバトルへ突入していく。ピカチューとコピーピカチューのバトルもある。

● ミュウツーの声が市村正親。何とも威厳があるというか,重々しいポケモンになった。
 主題歌はオープニングが「めざせポケモンマスター'98」。歌はサトシの声優である松本梨香。エンディングは「風といっしょに」。歌は小林幸子。

2022年2月24日木曜日

2022.02.23 ラジオの恋

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● 時川英之の監督作品をもうひとつ。「ラジオの恋」(2014年)。
 こういう世界があったらいいなというファンタジー。

● 舞台は広島市。広島でなければ成り立たないわけではないけれども,かといって東京を舞台にしたらどうかというと,ちょっと厳しいような気がする。
 地方の中核都市,札幌,仙台,金沢,静岡,広島,福岡といったあたりが,ちょうどいいだろうか。

● ウィキペディア教授によると,「ラジオでカリスマ的な人気を誇るRCCアナウンサー横山雄二のラジオ番組を元に脚本化した映画」であり,「広島市では,2013年に公開されロングラン。ミニシアターの近年の記録を塗り替えた。その反響を受け全国公開へと展開した」とのことだ。

● 横山雄二が本人役で出演。つまり,主役。ほかに,「シネマの天使」にも出ていた(こちらの方が先なのだが)末武太。“ラジオの女神” の少女に中野さくら。
 アンガールズの田中卓志と山根良顕。監督も含めて広島の出身者,在住者で固めているのかもしれない。
 広島出身の矢沢永吉の「トラベリン・バス」と「アイ・ラヴ・ユー,OK」が挿入歌に使われてもいる。

2022年2月22日火曜日

2022.02.21 シネマの天使

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● 「シネマの天使」(2015年)。「1892年に芝居小屋としてスタートし」た「広島県福山市の老舗映画館・シネフク大黒座の閉館にまつわるストーリを,実話を織り交ぜつつ,取り壊し間際の実際の大黒座を使って撮影。スタッフや観客,大黒座を取り巻く様々な思いが交錯する様子を,閉館までのドラマとして描く」。

● 主演は,映画初主演となる藤原令子と本郷奏多。他に,石田えり,ミッキー・カーチス,阿藤快,末武太。
 阿藤快はこの映画が上映されている2015年11月14日に急逝したため,本作が彼の遺作となった。

● 福山市の映画館が舞台なのだが,この映画に登場する人物たちは,普通に標準語を話している。福山というと,広島弁とも違った福山弁が話されているのではないかと思うのだが,劇中で使われているのは標準的日本語であって,福山弁ではなかった。
 福山弁でやったら聴衆に意味が伝わらないかといえば,さすがにそんなことはない。ひょっとして,福山だけの話ではない,全国で起きていることだから,ということなんだろうか。
 そんなことはないだろうね。たんに,福山弁は難しすぎたということかね。

● エンディングロールに合わせて,大黒座と同様に消えていった全国各地の老舗映画館が紹介されている。これらの映画館は,申しわけないけれども,消えるべくして消えたのだとぼくは思っている。
 ひと言で言えば,快適な空間ではなくなってしまった。大衆が求める快のレベルがどんどん上昇しているのに,映画館はそれに対応できなかった。たとえば,喫煙対策も後手に回っていただろう。
 お金を払って快適とは申しかねるところに行く人は,映画が本当に好きな人だけに限られる。どの世界でもそうだが,本当に好きな人しか来なくなったら,倒れるしかない。

● シネコンに押されてということではない。シネコンは製作サイドからすれば救世主のはずだ。斜陽化を喰いとめる解を具現化してみせたのがシネコンだった。
 2本立て,3本立てをやめて単発にし,入替え制にして映画が終わったら必ず観客を追いだすようにした。料金は下げない。それでもお客は戻ってきた。
 大衆が求める快に追いついた。何だ,映画がダメなのではなくて,映画を見せる場がダメになっていただけだった,とはっきりさせた。
 何が快なのかを映画館関係者はわかっていなかった。あるいは,わかっていてもそれに対応するための資金もノウハウもなかった。そういうことなんだろうかなぁ。

● 劇中で阿藤快の映写技師が,家で見られるものをわざわざ映画館に来て,暗いところに押し込められて見る人はいないよ,というシーンがあるのだが,これも少し違うと思う。
 映画のDVDがずいぶん安くなったのは事実だし(特に,往年の名画とよばれるもの),インターネットを使ったサブスクの配信サービスが普及したのも事実だけれども,DVDやサブスクの普及が先で,映画館の衰退が後なのではない。映画館の衰退を埋めるようにDVDやサブスクが登場したのだ。

● 大黒座ほどの規模ではないにしても,昭和50年頃までは人口が3万人ほどの小都市なら,映画館は必ず存在した。娯楽の代表が映画という時代の残滓が残っていたのはその頃までだったろう。
 映画の斜陽化が言われていたとき,引き合いに出されたのがテレビだった。テレビによって家庭のリビングが映画館になったのだから,といった言われ方。本当にそうだったのかどうか。検証されたんだろうか。
 そのテレビももはや風前の灯火に見える。インターネットに押されてというより,業界内部の驕りや知的水準の低下があって,勝手に自爆したという印象だ。

● 一方で,映画館で見るのと,自宅でサブスクを使って見るのとでは,同じ映画を見ても視聴体験としては別のものになる。インターネットで見られるのだから映画館は要らない,とはならない。
 ただ,今の娯楽状況は,提供する側から見れば,同業他社(者)だけではなく,自分以外のすべてがライバルだと考えなければいけなくなっている。お金の奪いあいではなく,時間を奪いあっているからだ。大衆の1日24時間のうち,どれだけの時間を自分が提供するサービスに使ってもらえるか。

● そうした映画館が盛況だった時代を良き時代だったとは言わせまい。ぼくがひとりで映画館に行けるようになった頃(小学校の高学年)はすでにその時期は過ぎていたのかもしれないが,ひどい時代だった。
 今から見たら,当時の日本人はマナーはなってない,他人を顧みない。全体的に短気で傍若無人だったと思う。衣食足りて礼節を知るところからはほど遠かった。軽自動車で煽り運転をやって逮捕されるバカが時々出るが,ああいうのが当時は今よりはるかに多かったのではないか。
 年寄りたちが,今の若者は,というのを聞くと,あんたが若者だったときは今の若者より三階級下だったぞ,と毒づきたくなる。あの頃の映画館はあの頃の日本人の身の丈に合っていたものだったのだろう。

2022年2月21日月曜日

2022.02.20 源氏物語 千年の謎

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● 「源氏物語 千年の謎」(2011年)。原作は高山由紀子の小説『源氏物語 悲しみの皇子』。
 藤原道長と紫式部が男女の関係にあり,光源氏は紫式部が作りだした道長の投影という設定。光源氏が道長の化身である以上,「紫式部が道長を想い続ける限りいつまでも,物語の中で苦しい愛の日々を生き続け」なければならない。

● したがって,光源氏(生田斗真)の話は劇中劇となる。藤原道長(東山紀之)と紫式部(中谷美紀)の話が劇で,その劇世界の中の劇として光源氏の話が進んでいく。

● 劇中劇の中で,最も印象に残るのは田中麗奈の六条御息所。怨霊となって,光源氏の寵愛を受けている夕顔(芦名星)や葵の上(多部未華子)を祟り殺していく。
 絵にしやすいだろうし,誰が演じても観てる人の印象に残りやすいだろう。その意味において田中麗奈でなくてもよかったのかもしれないが,いややっぱり田中麗奈でなくては,とも思わせる。

● その六条御息所も「何とあさましい」と自分を恥じて,都を離れ,伊勢に下る決心をする。葵の上も藤壺中宮(真木よう子)も,命を賭した決心と行動で局面を変えていく。
 一方,光源氏は母の愛を知らずに育ったという同情の余地(?)を残しつつも,大人になることを拒否しているピーターパンであり,一個のモラトリアム人間に過ぎない。“自分探し” にうつつを抜かしている若者と同じだ。「何をしても許される」ことを武器にしている分だけ,タチが悪い。

● 藤原道長と紫式部も同じ関係。男は何をしても遊んでるだけ。実を作っているのは女。
 そういうことを訴えている映画として,ぼくは観たんだけど。

2022年2月20日日曜日

2022.02.19 シーサイドモーテル

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● 「シーサイドモーテル」(2010年)。
 「ダマしてる? ダマされてる? 海もないのに “シーサイド” と名付けられた,山奥のさびれたモーテル。そこに偶然集まったのは,サギ師失格!? インチキなセールスマンと三十路前のコールガール,借金まみれのギャンブラーとその彼女,そこに取り立てにやってきた借金取りにチンピラ見習い,そして伝説の拷問職人・・・・・・などなど,一癖も二癖もあるワケアリ男女11人。運命の一夜は急展開,複雑に絡まりあう4つの密室。朝を迎えるとき,無事チェックアウトするのは誰だ!?」とあれば,見てみたくなるじゃないですか。

● 出演者は次のとおり。
 103号室 生田斗真,麻生久美子
 202号室 山田孝之,成海璃子,玉山鉄二,柄本時生,温水洋一
 203号室 古田新太,小島聖
 102号室 池田鉄洋,山崎真実

● 「複雑に絡まりあう4つの密室」といっても,メインストリームは103号室と202号室を流れている。生田斗真,麻生久美子,山田孝之,玉山鉄二,温水洋一が主要な演者ということになる。
 玉山鉄二のヤクザがナイスガイ。生田斗真と麻生久美子が演じる雅之とキャンディは,純真でいい人という設定。いかがわしいセールスマンであり売春婦であるのに,否応なく付いてしまうであろう疲労や汚れはまったく感じさせない。上場企業の新人サラリーマンと良家の奥様といった感じ。
 いや,いい人といえば,登場人物のすべてがいい人だ。悪人はいない。

● 「一癖も二癖もあるワケアリ男女」は,要するに真っ当ではない職業の人という意味でもあって,企業や役所に就職して出世したりしなかったり,結婚して子供を産んで育ててといった,いうなら普通の世界に何らかの事情があって入れなかった人たちのことだ。
 キャバクラ嬢,ギャンブラー,借金取立人・・・・・・。多様な物語を込めやすい鋳型を持った職業だ。実際にはどうなのかわからないが,社会の表側がそういうものだと決めつけているところがある。

● 主題歌はシャネルズ「ランナウェイ」。

2022年2月19日土曜日

2022.02.15 インスタント沼

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● 「インスタント沼」(2009年)。主演は麻生久美子。他に,風間杜夫,加瀬亮,相田翔子,ふせえり,白石美帆,温水洋一,宮藤官九郎,松重豊,松坂慶子など。
 なにせ,麻生久美子が演じるヒロインの名前が沈丁花ハナメというんだから,シリアスな話のはずがない。

● こういう奇想天外なストーリーの展開を考えつく人って凄いなと思うね。
 ポツンと蔵があって,その蔵の中には土が詰まっていて・・・・・・っていうそのシーンがまず浮かんできて,それを活かす話を考えるんだろうか(違うだろうな)。
 ハナメのアイコンが「しおしおミロ」。ミロにほんの少しの牛乳を入れてかきまぜ,ペースト状にしたものを,ハナメは好んでいるのだが,それがインスタント沼のミニチュアにもなっている。

● 登場人物たちは,底抜けに明るい楽天家。何だかいろいろと大変そうなんだけど,ケ・セラ・セラで生きてるラテン系の人たち。
 自分も同じようにやっていいんじゃないかと錯覚しそうになりますよ。やっていいと言われても,できないでしょうけどね。

2022.02.15 RANMARU 神の舌を持つ男

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● 「RANMARU 神の舌を持つ男」(2016年)。
 主演は向井理なのだが,木村文乃と佐藤次郎を加えて,トリプル主役のような感じ。他に,木村多江,市原隼人,財前直見,黒谷友香。

● 財前直見はフジテレビのドラマ「お水の花道 女30歳ガケップチ」の印象がすべて。それから23年が経つんだなぁ。
 橋の下をたくさんの水が流れたわけだが,そんなに急いで流れてくれなくてもいいのに,と思うね。

● 向井理が扮する朝永蘭丸は「絶対舌感」という特殊能力を持つという設定。しかも,伝説の三助の孫という。
 色っぽいシーンがあるんですかねぇ。ところが意外にそうでもないのだった。

● 劇中の舞台は鬼灯村(ほおずきむら)という名前。老婆たちの怪しげな舞踊や呪詛と思われるシーンがあったりして,「八ツ墓村」のコミカル版だと思えばいいのかもしれないが,その言い方で連想されるよりずっとコミカル色が濃い(たぶん)。コミカルサスペンスというのかもしれないが,力点はコミカルにある。

● 主題歌は坂本冬美「女は抱かれて鮎になる」。石川さゆりの「天城越え」に似ているような。
 歌自体にコミカル性は皆無なんだけれども,これが映画のエンディングに流れると,コミカルの総仕上げになる感じ。

2022年2月15日火曜日

2022.02.13 劇場版ポケットモンスター ココ

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● 「劇場版ポケットモンスター ココ」(2020年)。「ポケットモンスター」の劇場版第23作とのこと。ポケモンの映画を見るのは,たぶん初めてだと思う。
 ポケモン・ザルードに育てられた少年・ココと育てた「トーチャン」の交情が一番太い縦糸で,そこにサトシや「治癒の泉」の人間への利用を研究している「ビオトープ・カンパニー」が絡んでくる。

● 興行収入はポケモンシリーズ最低で終わったらしい。といっても20億円なので,決して悪くはないのだろうけどねぇ。
 この年は「鬼滅の刃 無限列車編」の超大ヒットがあったし,一方でコロナの逆風が吹いた。そういうことが影響しているのだろう。

● でも,ごめん,ぼくはあまり面白いとは感じなかった。
 子を持つとは自分より大事なものができることだ,という「トーチャン」の台詞に考えさせられるところがあったけれども,それくらいかな。悪役もイマイチ迫力がないし。

● ココに上白石萌歌が,ココを育てた「トーチャン」に中村勘九郎が,「ビオトープ・カンパニー」の研究員カレンに中川翔子が,それぞれ声優出演しているのだが,見ているときには全然気づけなかった。
 エンディングテーマは木村カエラ「ただいまとおかえり」。

2022年2月13日日曜日

2022.02.12 がじまる食堂の恋

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● 「がじまる食堂の恋」(2014年)。舞台は沖縄の名護。ご当地映画のようだ。
 ウィキペディア教授によると,「名護市の地域再生事業のプロジェクトの一環として作られたものであ」り,「平成25年度地域中小商業支援事業(地域商業再生事業)制度を活用して製作され」た。「地元企業で名護まち活性化有限責任事業組合(LLP)を設立し,企画・製作を担当し映画の権利を有している」とのこと。

● しかし,映画自体にご当地臭は薄い。名護でなければ成り立たないわけではない。そういう要素はほぼ皆無。
 テーマは恋愛だからだ。都会的な洒落た感じの恋愛譚だと,ぼくには思えた。爽やかな佳作。

● 都会的だと感じたのは主演が波瑠だからってのもある。風貌も発散する空気も,都会代表という感じね。
 彼女の特徴はもうひとつあって,年齢より大人びて見えることだ。撮影時は23歳だったかと思うのだが,もっと落ち着いた大人に見える。

● 出演は他に,小柳友,桜田通,竹富聖花(春花)。竹富聖花に注目。
 音楽も印象に残る。上田禎が担当。

2022年2月12日土曜日

2022.02.11 第13回鹿沼市民文化センター名作映画祭

鹿沼市民文化センター 大ホール

日光線車内
● 3〜5時に寝て,正午近くに起きる生活。ぼくに午前中はない。が,今朝は死ぬ思いで7時半に起きた。宇都宮からJR日光線で鹿沼に向かっている。
 10日から11日にかけて大雪というから,どうなることかと思ってたんだが,大したことはなかった。道路はほぼ無雪。が,日陰はアイスバーン状態のところもあり。午前中は車を使っての不要不急の外出は避けた方がいいかも。コロナよりちょっとだけ怖い。

● なぜ鹿沼に来たのかといえば,鹿沼市民文化センターで映画4本立てを見るため。“鹿沼市民文化センター名作映画祭” というやつ。2010年度の第2回,2012年度の第4回,2013年度の第5回は見ている。
 以後,パタッと見なくなった。今回は第13回なので連続7回見過ごしている(去年はコロナで開催を中止したのかもしれないけど)。前売りチケットを買っていながら,当日気乗りがしなくて行かなかったこともある。

● そうなったについては,特に理由があるわけでもない。が,強いていうと,ひとつには,類似の催しが宇都宮市立図書館でも行われているのを知ったことだ。
 そのため,年1回の鹿沼での催しに出向くのが億劫になったということはあると思う。宇都宮に比べると,鹿沼は遠いわけで。
 ではなぜ今回は行ったのか。よくわからんのですわ。チケットは宇都宮市文化会館で買ったんだけど,この映画祭のチラシを見たら,スッとカウンターに行って買ってたんですよ。

● といっても,鹿沼市の独自の事業ではなくて,国立映画アーカイブ(独立行政法人国立美術館が運営する国立映画機関)が主催する “優秀映画鑑賞推進事業” という,名前を知ったら鑑賞するのを遠慮したくなるような事業に,鹿沼市が乗っているということ。
 栃木県では1箇所で1回(1日)の開催。ちなみに,秋田県では6箇所で開催。愛知県と鹿児島県では開催なし。
 国立映画アーカイブは東京の京橋にある。旧日活本社ビルを改装工事して使用しているらしい。京橋まで行けば色々見れるんでしょう。京橋まで行けば。

● 映画じたいは,いずれも Amazonプライムで見ることができるのかと思うんだけど,違うのは大画面と音響だ。画面はノートパソコンの14インチで我慢するとしても,音響はパソコンではどうにもならない。
 どうにかなるように設備を追加して大音声を流すと,隣近所に迷惑という以前に,家族から苦情の嵐が飛んでくるだろう。防音室を作る必要がある。つまり,自宅ではいかんともしがたい。
 ので,Amazonプライムや Netflix でたいていの映画は見ることができるとしても,映画館で見ることをやめない方がいいだろうし,こうした催事を捉えることを億劫がらない方がいいと思った。音響がこれだけ違うと,同じ画面を見ていても,視聴体験としては別のものになるだろうから。

● お客さんは年寄りばっか。中年はいるが,若者はいない。年寄しかいない所に若者は来ないよね。
 優秀映画だろうとなんだろうと,昔の映画に対する需要は細る一方だ。ここにいる年寄りたちは10年後にはだいぶ減っている。ひょっとしたら,ぼくもいないかもしれない。
 それを補うだけの新規参入は,絶対と言っていい,ない。総人口が減る一方なんだから仕方がない。
 大ホールなので席は余裕で選べる。自分でラッキーナンバーだと思っている17にちなんで,17列の17番に座った。

● 開映は10時。4本目が終わるのは20時。途中で眠くなることもなく,全部ちゃんと見れた。

● 1本目は「キツツキと雨」(2012年)。監督は沖田修一。
 第24回東京国際映画祭で審査員特別賞,第8回ドバイ国際映画祭で最優秀脚本賞・最優秀編集賞・最優秀男優賞(役所広司)を受賞。

● 「職人気質の木こりの男(役所広司)と,ゾンビ映画の撮影でやって来た気弱な新人映画監督(小栗旬)の青年との交流を描く」とあるのだが,この監督は職業としてではなく,映画の好きな若者がお金をかき集めてきて,趣味で映画を撮っているのだろうと思ってた。
 何せ,現場を放棄して東京に帰っちゃおうとするんだからね。職業監督でこれやったら,次はないどころじゃないでしょ。レッドカード以上でしょ。

● その気の弱い若者が,人のいい森の男と妙に噛み合う。何でなんだろと思うんだけども,不自然さはなく,自然な展開。
 森の男にすれば,自分の息子のように思えたのかもしれない。若者からすれば,自信のなかった自作脚本を初めて認めてくれた男にかすかな光をもらったと思ったのかもしれない。
 出演者はほかに,高良健吾,臼田あさ美,古舘寛治など。

● 2本目は「Shall we ダンス?」(1996年)。監督は周防正行。
 日本アカデミー賞で最優秀作品賞はじめ各賞独占。

● 四半世紀前になるんですねぇ。この映画は話題にもなったし,社交ダンスを始める人が増えたという話だったし,映画館で見ることはなかったのだが,テレビの地上波放送か何かで一度は見たと思っていた。
 のだが,今日,見てもワンシーンすら思いだすことはなかったから,見たというのは記憶が捏造したものかもしれない。

● 登場する俳優がそれぞれ持ち味を発揮している。竹中直人と渡辺えり子が双璧で,徳井優と田口浩正がコミカル担当。2人とも上手い。柄本明もいい持ち味で。彼が演じる三輪の魅力でもあるかもしれない。原日出子も存在感を示し,草村礼子もはまり役。
 しかし,主演の役所広司と草刈民代がコケちゃうと話にならないわけだ。役所広司は安心して見ていられる俳優だ。となると,草刈民代の健闘が大きいってことになりますか。

● 劇中で,ヨーロッパでは音楽とダンスは教養のひとつになっている,という台詞があった。貴族の時代以来の伝統かね。フォーマルな社交にダンスはつきものってことなんですかね。
 もうひとつ。ダンスは女性の方が男性よりも3倍早く上達する,という意味の台詞もあった。社交ダンスに限らず,舞踊とはそういうもので,女性がやった方が切れが出るらしい。
 となれば,どうしたってダンスは女性の世界になりがちだ。だからこそ,付け入る空きがあると考えるのが男性的思考というものでしょうな。

● 見て良かったなぁと思える映画。これ,パソコンの画面じゃなくて,ホールの大画面で見られて良かった。
 主題歌は大貫妙子「シャル・ウィ・ダンス?」。

● 3本目は「死に花」(2004年)。監督は犬童一心。原作は太田蘭三の同名小説。
 今日見た4作の中で最も面白く,高揚したのがこれ。爺たちがハチャメチャやる話なので,感情移入しやすかったってのもある。山﨑努がかっこ良すぎ。歳をとってもカッコ良くいられるんだっていうね。
 もちろん,フィクションだからこそだし,若いときから鍛えに鍛えてきた肉体の持ち主が演じるからこそではあるのだけれども,それでも爺には救いになるわけですよ。同年代にこういう人がいるんだ,って。

● 年寄り5人がトンネルを掘って,銀行からお宝を頂いちゃおうという話なんだから,これはもう面白いわけですよ。
 何せ,金持ちたちだから穴を掘るための機材は揃っちゃうんだな。しかも,まんまと成功しちゃう。あり得ない展開で成功する。ほんと,痛快。こういうハチャメチャは大歓迎だ。
 爺たちの真剣な遊び。爺でもこういう形で人に貢献(?)できるのかもなぁ。貢献というか,笑ってもらえる。笑ってもらえれば,それだけで爺としちゃ充分だからさ。

● 出演は山﨑努,宇津井健,青島幸男,谷啓,長門勇,藤岡琢也。マドンナに松原智恵子。爺にもマドンナはいた方がいいのだ。
 さらに色を添えるのが,このとき23歳だった星野真里。若い女性が入ると,そりゃぁ面白くなる。
 ほかに,喋らなくても存在感抜群の森繁久彌。加藤治子。ワンシーンしかないんだけど,妖しい美貌で強い印象を残した戸田菜穂。

● 舞台は東京の介護ケア付き有料老人ホーム。登場人物たちはそこの入所者。したがって,人生で(少なくとも経済的には)成功を収めた人たちのはずだ。
 でも,死ぬときはそんなにぼくらと変わらないね。っていうか,変わりようがないっちゃないわけだよね。最後のひと息を吸うときはね。

● ぼくなら,こういう施設よりホテルに住みたい。集団活動など1ミリだってさせられたくないもんな。
 今どきのホテルはバリアフリーは問題ないし,食事は都市部のホテルなら街中で好きなものを選べるのだし,何より年寄りと付き合わなくてすむわけだから。
 ホテルの方が安くあがる。帝国ホテルが1ヶ月宿泊で36万円というプランを出した。これはコロナ禍の特殊事情によるものだが,そこまでの低料金ではないとしても,ホテルの方が圧倒的にコスパがいいのじゃないか。
 運営する側が,ホテルはプロなのに対して,有料老人ホームはしょせん素人。ま,ホテルだと最後の最期をどうするかの問題が残るわけだけど。

● 撮影の現場は北千住ではないか。綾瀬川が隅田川に合流するところではなかろうか。
 「青島幸男,藤岡琢也,森繁久彌は,この映画が遺作となった」。青島幸男なんか,都知事を辞めた後にこういう映画を残して死んだんだから,羨ましいっちゃ羨ましい。唯一,何で都知事なんかになったかねぇ,とは思う。そういう時代だったかね。

● 4本目は「がんばっていきまっしょい」(1998年)。監督は磯村一路。原作は敷村良子の同名小説。
 この映画は「小規模公開ながら,地道な宣伝で評判を呼び,異例のロングラン上映を記録した」らしい。

● 舞台は1970年代の「伊予東高校」女子ボート部。「伊予東高校」のモデルは松山東高校。
 劇中の高校生たちが実在すれば,現在は還暦を過ぎているわけね。人生は夢幻の如くなり。

● 主演は田中麗奈。このとき18歳か。この映画が彼女のデビュー作。
 他に,清水真実,葵若菜,真野きりな,久積絵夢,松尾政寿,中嶋朋子,本田大輔,森山良子,白竜など。すでに俳優を辞めた人もいる。

● 女子ボート部を作るところから始まり,ドベから這いあがって県大会で準優勝。残念ながら,全国大会には行けなかったけれど。
 この子たち,このあと,どんな人生を歩んだんだろうなぁ。特に,田中麗奈演じる篠村悦子は腰を傷めたうえに,貧血を頻発している。ちょっと心配になるよね。と思うくらいに,映画に入り込めた。

● 今日はいい映画を4つも見たなぁ。満ち足りた気分で鹿沼市民文化センターを後にしましたよ。

2022.02.08 ONE PIECE STAMPEDE

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● 「ONE PIECE STAMPEDE」(2019年)。「漫画『ONE PIECE』を原作としたテレビアニメの劇場版第14作」目になるらしい。
 興行的にも「2019年8月9日の公開開始から8月12日までの4日間で興行収入16億4632万円」を記録し,「2020年3月14日時点で100億円を突破している」。本作に限らず,「ONE PIECE」は鉄板と言っていいのだろう。

● 海賊万博に海賊たちが集い,「海賊王(ロジャー)の遺した宝探し」のコンペティションに挑む。ロジャー海賊団に属してロジャーの後継者と目されたダグラス・バレットとルフィーの対決となるわけだが・・・・・・。
 劇中の登場人物は多士済々で,クロコダイルまで登場する。ウソップが準主役的な役回り。

● 万博の主催者ブエナ・フェスタをユースケ・サンタマリアが,万博の司会進行を務めたアンとドナルド・モデラートを指原莉乃と山里亮太が務めていたことは,見終えた後で知った。見ているときには気づかなかった。

● その昔,テレビ放送のクロコダイルとの戦いを固唾を飲んで見守っていた頃の興奮は,正直,感じなかったね。どうせ,ルフィーが負けるわけないもんね,的な。
 それを言うなら,クロコダイルにだって負けるはずはなかったのだけども,あのときのクロコダイルの悪役ぶりは見事だったからねぇ。

2022年2月8日火曜日

2022.02.07 映画 怪物くん

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● 「映画 怪物くん」(2011年)。出演は大野智,八嶋智人,上島竜兵,チェ・ホンマン,川島海荷,濱田龍臣,上川隆也,北村一輝,松岡昌宏,稲森いずみ,鹿賀丈史。

● 目に余るワガママ,「うるさーーい!!」とすぐに拗ねる幼児性などなど,怪物くんはどうしようもないヤツなわけですよ。
 その怪物くんが,第4コーナーにさしかかるあたりからとんでもない活躍を始める。完全なるヒーローに変身する。
 成長物語というのではない。極端にダメだったのが逆方向に触れて,大勢の人たちを危機から救う。最初からいいヤツだったり優等生だったヤツには,そんな芸当はできない。
 この展開って,受ける型の定番の1つになるんだろうか。

● 要するに,怪物くんは子供なんだよね。劇中では王位を継ぐかという年齢なんだけども,シンボル的にはそれよりずっと幼い子供。だから「伝説のカレー」にも執着する。
 その子供が最後には神的な働きをする。こういう話って神話にもあるんだろうか。スサノオなんかそうなのかねぇ。

● 主題歌は嵐「Monster」。

● テレビを見ないからなのだと思うんだけども,稲森いずみに久しぶり感があった(10年前の映画なんだけど)。2005年のフジテレビのドラマ「曲がり角の彼女」は全部リアルタイムで見た。このときは釈由美子も良かったよね。
 2008年のNHK大河ドラマ「篤姫」では滝山役で出演していた。これがクールビューティーでねぇ。

● じつはヘビースモーカーらしいと騒がれたりもしたようだ。どうでもいいじゃんね,そんなの。
 彼女と個人的なお付き合いをするなんて,ぼくらにはあり得ないことなんだから。私的な性格とか行情なんかはどうでもいいよね。演じているときの彼女がぼくらにとっての全てなわけですよ。

2022.02.05 新解釈・三國志

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● 「新解釈・三國志」(2020年)。興行収入が40億円を超えたヒット作。話題にもなったので,見る前からどういう映画なのかは何となく知っていた。何となく知っているのも知っているうちに数えていいのであれば,だが。
 乱世からトーナメントが進むにつれて,残る人物が絞られてくる。最後は魏・蜀・呉となるわけだが,描かれるのは「赤壁の戦い」まで。

● 主演は大泉洋。他に,ムロツヨシ,橋本環奈,小栗旬,賀来賢人,佐藤二朗,渡辺直美,山田孝之,西田敏行など。ヒット作になりそうな出演者ではあるよね。
 コメディに乗ったストーリー展開。それゆえ,細部の作り込みが大事になるのだと思うのだが,この役者たちなら細部は任せてしまっても問題なしなんでしょうねぇ。

● 劉備玄徳は天下統一なんか端からやる気はなかったとか,諸葛孔明の知恵袋は奥さんの黄夫人だったとか,斬新な「新解釈」を施しているので,これは三国志なんだろうかというところまで行くわけだ。
 けれども,現在に伝わっている三国志がどれほど史実に基づいているのかといえば,ほとんど作り話に近いわけだろうから,このような「新解釈」も当然,許容される。

● 主題歌は福山雅治「革命」。