そのためには,アイドリングが必要。すでに観ている中から,これなら間違いないというのを観て,エンジンを暖める。
● で,選んだのが8月に観たばかりの「恋は雨上がりのように」。映画の紹介サイトで「人生の雨宿りの物語」と表現しているのがあった。
あきら(小松菜奈)が近藤(大泉洋)に向かって大きく踏み出すのは,雨が降っているとき。近藤はあきらの雨宿り先だ。「若さはときに乱暴なもので」(劇中の近藤のセリフ),雨宿り先が必要なときがある。
● 45歳の近藤も雨に降られている。妻とは離婚し,小説家への夢は絶たれ,しかし諦めきれず。離婚の原因も,近藤が夢にしがみついて,家庭を顧みなかったことが理由であることが,示唆されている。
近藤にも雨宿りが必要だった。あきらが雨宿り先。一方通行ではない。
● 悪人がひとりも登場しない。読後感ならぬ観後感がいいのは,それも理由のひとつだと思う。