劇場公開は1995年11月。30年前になるわけだけれども,1995年なんてついこの間のことのような。大人になってからの30年なんて過ぎてみれば短いものだ。1日1日は長いことがずいぶんあったけど。
● 映画紹介サイトの解説によれば,「福井県丸岡町が町起こしのために募集した “一筆啓上” から生まれたベストセラー『日本一短い「母」への手紙』の映画化。単行本に収録された230通の中から,「あの人と幸せでしょうか,お母さん。父さんは無口を通し逝きました」という短い手紙をモチーフに,オリジナル・ストーリーで脚本化したのは伊藤亮二と澤井信一郎」とある。
● 子を置いて,好きな男と出奔した母親を十朱幸代,娘を裕木奈江,息子を原田龍二,出奔された夫を小林稔侍が演じている。
裕木奈江といえばTVドラマの「ポケベルが鳴らなくて」しか知らない。しかも,この役をやったことで,劇中人物と本人が混同され,嫌いな女優としてバッシングを受け,日本を離れざるを得なかったと聞く。あまりにバカげた話なのだが,彼女の演技力を証明する逸話になるのかもしれない。
● 他に,別所哲也,鈴木砂羽,加藤治子,江守徹,村井國夫。原日出子と勝野洋も出ていたのだが,気づかなかった。
十朱幸代の成熟の美を愛でる映画かもしれませんね。キレイなものですわ。
● 出奔した母親をどう造形するかが肝だったろう。銀座で雇われマダムをやっていることにした。画にしやすいのだろうが,リアルでは,絶対と言っていいだろう,あり得ない。
さらに,出奔先でも荷物を抱えさせ,健気な女性にしている。
● 午前中の「美女と野獣」はガラガラだったのだが,この映画は後期高齢者で満席状態。
観客予備軍は後期高齢者で,彼らの興味を引かない最近の映画では客を呼べないということのようだ。
● この上映会はDVDを使っているのだが,今回は16㎜映写機が2台,スタンバっていた。映写機による放映になった。それがうまく動かなくて,上映開始が遅れるというハプニングが発生。
DVDがないわけがないと思うのだが,映写機を使ったのには何かわけがあるんだろうか。DVDが持つ情報量はフィルムに負けないと思うんだが。