2021年12月30日木曜日

2021.12.29 Jam Films S

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● 「個性派や実力派の監督たちが結集し,それぞれ独自の手法で短編を手掛ける斬新なコンピレーション・オムニバス・フィルムの第3弾」というわけなのだが,第2弾の「Jam Films 2」は昨日でAmazonプライムの対象から外れたらしい。
 あらま,残念。いずれまた戻ってくるだろうけど。

● 2005年の公開。16年前だ。俳優陣はみんな若い。次の7作品。
 1 Tuesday
 監督:薗田賢次
 出演:ZEEBRA,岩堀せり,金井勇太

 2 HEAVEN SENT
 監督:高津隆一
 出演:遠藤憲一,乙葉

 3 ブラウス
 監督:石川均
 出演:小雪,大杉漣

 4 NEW HORIZON
 監督:手島領
 出演:綾瀬はるか

 5 すべり台
 監督:阿部雄一
 出演:石原さとみ,柄本時生,山崎まさよし

 6 α
 監督:原田大三郎
 出演:内山理名,スネオヘアー

 7 スーツ -suit-
 監督:浜本正機
 出演:藤木直人,小西真奈美

● やはり,どれもかなり面白い。「ブラウス」が不気味というか,“魔性の女” 的な演出。クリーニング店の店主は店を閉めて,これからどうなるのか。
 「Tuesday」はうまく騙しやがったなとなる。最初に離婚届が映されるので,奥さんはもう出て行って,ひとりでマンションのこの部屋に住んでいるのか,と思うのだが・・・・・・。
 それ以外の5篇もそれぞれに面白い。「Jam Films 2」を見損ねたのがかなり残念。もっと早くに気づいていれば。

2021年12月29日水曜日

2021.12.28 Jam Films

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● 「Jam Films」(2002年)は「ショートフィルムを集めた日本映画のオムニバス」で,「Jam Films 2」(2004年),「Jam Films S」(2005年)の3本が公開されており,いずれAmazonプライムで見ることができる。
 ただし,とりあえず今年いっぱいでプライム対象から外れる。

● 関連作品に「female」(2005年)があるらしいのだが,こちらはAmazonプライムでは見れないっぽい。

● 次の7作品で構成される。
 1 the messenger -弔いは夜の果てで-
 監督:北村龍平
 出演:魚谷佳苗,北村一輝,坂口拓

 2 けん玉
 監督:篠原哲雄
 出演:山崎まさよし,篠原涼子,山田幸伸,氏家恵,あがた森魚

 3 コールドスリープ
 監督:飯田譲治
 出演:大沢たかお,角田ともみ,筒井康隆

 4 Pandora -Hong Kong Leg-
 監督:望月六郎
 出演:吉本多香美,篠原さとし,麿赤兒

 5 HIJIKI
 監督:堤幸彦
 出演:佐々木蔵之介,秋山菜津子,氏家恵,高橋愛

 6 JUSTICE
 監督:行定勲
 出演:妻夫木聡,綾瀬はるか,クリスチャン・ストームズ,新井浩文

 7 ARITA
 監督:岩井俊二
 出演:広末涼子

● どれも不思議に面白い。映画ってこれでいいのか,とも思った。
 普通の映画が交響曲だとすれば,こういうショートストリーは室内楽のようなものか。だとすると,これはこれであって,普通の映画と比べるものではない。交響曲と室内楽曲が比べるものではないのと同じことだ。

2021年12月28日火曜日

2021.12.27 えんとつ町のプペル

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● 観客動員170万人,興収24億円。大ヒットということになるらしい。
 らしい,と突き放した言い方をしたけれども,公開されたのは去年の今頃,12月25日だ。この時点では緊急事態宣言もマンボウも出ていなかったけれども,けっこう陰鬱な空気だったと記憶する。東京では2週間後の2021年1月8日に緊急事態宣言が出た。
 映画館はモロに影響を受けた。それでも170万人も入ったわけだ。

● 一方で,吉本絡みの話題性もあった。吉本興業 vs 西野亮廣 という構図というかね。
 配給に吉本興業の名が上がっているが,残念ながら吉本興業に明日はない。テレビが大衆から見放されてしまった以上,テレビ番組に所属のタレントや芸人を押し込むのが仕事だった芸能事務所は存在意義を失う。
 吉本の闇営業騒ぎもそこから来ている。吉本が仕事を取って来れなくなったから,芸人が自分で仕事を取って来ようとしたのがそもそもの発端ではないのか。
 吉本興業 vs 西野亮廣 でいえば,勝敗の帰趨はハッキリしている。力のある芸人から吉本を見限って辞めていく。

● 堀江貴文さんなんかは,めっちゃ感動したとTwitterに上げていた。逆に,何これという人もいた。
 ぼくはといえば,映画館に見に行こうとまでは思っていなかった。Amazonプライムで見れるようになったら見ようかな,というくらい。傍観者的でしたよ。

● で,Amazonプライムで見られるようになったので,見たわけだ。正直,これ,そんなに騒ぐほどの映画だったろうか,という印象。
 感動もしかなったし,泣きも笑いもしなかった。映像のきれいさは感じたけれども,これに関しては「君の名は。」を見てしまっているからねぇ。

● ルビッチの声が芦田愛菜であることに,クレジットを見るまで気づかなかった。母親のローラが小池栄子であることも。スコップが藤森慎吾なのはすぐにわかったけど。

2021年12月24日金曜日

2021.12.24 セブン・チャンス(活弁入り)

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● 「セブン・チャンス(活弁入り)」(1992年)。世界の三大喜劇俳優といえば,チャールズ・チャップリン,ハロルド・ロイド,そしてバスター・キートン。そのキートンの映画もAmazonプライムで見られるのだね。
 澤登翠の活弁を入れたのが1992年であって,元々の無声映画「キートンのセブン・チャンス」が出たのは1925年。1世紀前だ。

● 今日の午後7時までに結婚できれば遺産700万ドルが転がり込んでくる。あと1時間。何とか結婚しなきゃ。
 というところから始まるドタバタ。この1時間はとてつもなく長い。つまり,いろんなことが次々に起こる。
 しかし,実写時間とおおよそ合っているんだよね。リアルタム進行というかね。

● この時代としては大掛かりと言っていいんだろうか。「花嫁候補の大群に追われたキートンが野を駆け,山越え,谷を跳び,岩石が落ちる急斜面を逃げ回る」。
 キートンの映画を見たのは初めてなので,Amazonプライムでこういうものまで見られるのかと,ちょっと感激中。

● チャップリンの「モダン・タイムス」なども見れるんですな。日本映画の古いのもある。田中絹代のなんかも何本か見れる。
 Amazonプライムは宝の山だ。死ぬまで退屈することはなさそうだ。ゆっくり見ていくことにしよう。

2021年12月21日火曜日

2021.12.20 はやぶさ/HAYABUSA

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● 「はやぶ」(2011年)。小惑星探査機「はやぶさ」の7年間,60億キロに渡る旅を支えた人たちを描く。
 「はやぶさ」が地球に戻ってきて,大気圏に突入し,サンプルが入ったカプセルを切り離して自らは燃え尽きる場面では,ぼくも泣きましたよ。

● 主演とナレーターが竹内結子。他に,西田敏行,髙嶋政宏(珍しく,チンピラ役ではなく),佐野史郎,山本耕史,鶴見辰吾,佐藤二朗,蛭子能収,生瀬勝久ら。
 この竹内結子がいなくなってしまったのか,と。何か不思議な気がするよね。

● 主題歌はfumika「たいせつな光」。

● 映画とは関係ないんだけれども,「はやぶさ」の成果って何だったの? 「はやぶさ」が持ち帰ったサンプルで何がわかったんだろう。劇中でも太陽系の誕生云々と言っていたけれども。
 ということではないらしい。サンプルで何がわかったということではなくて,「小惑星から表面の物質(サンプル)を地球に持ち帰る技術を実証」できたことが成果だということ。そのためのプロジェクトだった。

2021.12.18 ジョゼと虎と魚たち

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● 「ジョゼと虎と魚たち」(2003年)。原作は田辺聖子の同名小説。
 田辺作品は「カモカのおっちゃん」シリーズのエッセイ(週刊文春に連載)はあらかた読んでいると思うのだが,小説はあまり読んでいない。この短編小説も読んでいない。
 が,本は買って持っている(かもしれない)。だとすると,30数年間,積読だったことになる。じつは,そういう本が千冊か2千冊か3千冊ほどある。もちろん,もうどうやっても解消することはできない。

● 主演は妻夫木聡と池脇千鶴。20年前の池脇千鶴を見てごらんなさい,ということね。
 他に,上野樹里,江口のりこ,新屋英子,新井浩文。上野樹里はこのとき16歳か。あどけなさを残しているようにも見えるんだけれども,劇中では妻夫木聡と同級生の大学4年生。
 ジョゼ(池脇千鶴)の祖母役の新屋英子の異形ぶりが大迫力。これだけでこの映画を見る価値がある。在日朝鮮人ハルモニ(お婆さん)の一人語り「身世打鈴(シンセタリョン)」を演じること2000回というのは,今,ウィキペディアで知ったこと。

● 妻夫木聡の演技が評価されたようで,最優秀主演男優賞いくつか受賞している。けれども,ぼくが男だからか,どうも池脇千鶴の演技に惹かれちゃう。
 演じやすいのは池脇千鶴で,妻夫木聡の方が立脚点を探す(あるいは作る)のが難しそうではあるんだけど。

● 主題歌はくるり「ハイウェイ」。
 この映画は韓国でも人気になったらしく,韓国でリメイクもされている。韓国版も見てみるか,スルーするか。

2021年12月18日土曜日

2021.12.17 金メダル男

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● 「金メダル男」(2016年)。内村光良が脚本・監督。原作も内村の同名小説。2016年4月から6月まで読売新聞夕刊に連載され,単行本が中央公論新社から発売された。
 「2011年に上演された内村の1人舞台『東京オリンピック生まれの男』を映画化したもの」で,主演も内村光良。清野菜名扮するアイドル歌手の北条頼子が歌っていた「私のサンクチュアリ」も内村の作詞作曲。

● 主役・秋田泉一の青年期を演じた知念侑李と,泉一と結婚することになる大人になってからの北条頼子役の木村多江が美味しいところをさらって行った。他に,ムロツヨシ,土屋太鳳,平泉成,宮崎美子,笑福亭鶴瓶。
 チョイ役で,上白石萌歌,大友花恋,温水洋一,高嶋政宏,山崎紘菜(TOHOシネマズに行けば必ず会える人),森川葵,大泉洋,竹中直人,田中直樹,長澤まさみ,柄本時生,ユースケ・サンタマリア,マキタスポーツ。よくこれだけ集めたなという絢爛たる顔ぶれ。

● コメディ。小学生の時に運動会の徒競走で1等賞を取ってから,その幸福感にとりつかれてしまって,そこから抜けられない主人公(秋田泉一)がやらかすハチャメチャ。
 ストーリーではなく,短いシーンの重なりを味わってくれ,という映画。

● 主題歌は桑田佳祐「君への手紙」。

2021年12月17日金曜日

2021.12.16 トワイライト ささらさや

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● 「トワイライト ささらさや」(2014年)。原作は加納朋子の同名小説(幻冬舎文庫)。
 主演は新垣結衣と大泉洋。他に,石橋凌,富司純子,波乃久里子,藤田弓子,小松政夫のベテラン陣。福島リラ,中村蒼,つるの剛士。

● 劇中の舞台になった “ささら” という街は,とにかく正一位稲荷大明神の幟だらけのところで,稲荷大明神が何かのアイコンになっているのかと思ってしまうほど。なっていないのだが。
 電車が走っているところなどはジオラマに見えるように撮影している。ロケ地は秩父らしいのだが,秩父だとわかってしまってはまずかったんでしょうかねぇ。架空性というか虚構性というか,どこだかわからない場所なんだぞというのを強調したかったんでしょうけどねぇ。

● 家族,父と子,というのがテーマなんですか。血は水よりも濃いということ。とするとテーマに新味はない。
 そんなことではなくて,たとえば死んでも成仏できない夫が,生身の人間に乗り移って,妻と話をするシーンの面白さを描きたかったんだろうかね。

● 富司純子,波乃久里子,藤田弓子の3人が演じる登場人物がそれぞれ尖っていて,見どころが多い。富司純子のお夏に仕える嫁役の山下容莉枝も。
 主題歌はコブクロ「Twilight」。

2021年12月16日木曜日

2021.12.15 とんかつDJアゲ太郎

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● 「とんかつDJアゲ太郎」(2020年)。原作はイーピャオ,小山ゆうじろうの同名漫画。
 主演は北村匠海。共演は伊勢谷友介,山本舞香,伊藤健太郎,池間夏海,ブラザー・トム。

● コロナのため,2020年6月19日の公開予定を4ヶ月ほど延期して,10月30日に公開。
 その間に伊勢谷友介の大麻取締法違反の一件があり,さらに伊藤健太郎のひき逃げの件があって,一般社会に話題を提供することになった。

● ストーリーの展開は原作が漫画だからというわけでもないのだろうけど,かなり漫画チック。そんなに都合よく行くかよ,っていう。しかし映画なんだから,こういう展開も許される。
 栗原類の懸命な演技が印象的。主題歌はブルーノ・マーズ「ラナウェイ・ベイビー」。

2021年12月15日水曜日

2021.12.14 世界遺産のクリスマス 欧州3国・映像と音楽の旅

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● ドキュメンタリーというより,観光案内ビデオという感じ。製作は2009年。73分の番組。
 ドイツのリューベック,ブレーメン,クヴェントリンブルク,ドレスデン。チェコのプラハ,チェスキー・クルムロフ。オーストリアのグラーツ,ウィーン。
 以上8都市について,クリスマスマーケットの様子を中心に名所や見どころを紹介する。

● コロナで海外渡航は難しくなっているのだが,難しくなくても海外に行ってみたいという欲求は影を潜めている。加齢に伴う好奇心の摩耗であろうけれども,海外の様子はこうした映像で見るだけでいいやと思っている。
 もちろん,映像ですませるのと実際に現地に赴くのとでは,入ってくる情報量に隔絶した差があるに決まっているが,それでもいいや,と。

● 上記の8つの都市が映し出されるわけだが,ぼくにはどの街も同じに見える。旧市庁舎があって,その前には必ず広場があり,そこでクリスマスマーケットが開かれている。
 バロック,ゴシック,ルネサンスと各様式の塔を持った建物がある(バロックとゴシックでは何が違うのか,ぼくには皆目わからない)。路面電車が走り,人々は石畳の道を歩いている。
 どこも等し並にそうだから,字幕と音声を隠されて,どれがグラーツでどれがドレスデンなのか当ててみろと言われても,当てずっぽうで答えるしかない。

● イルミネーションはクリスマス由来であることがわかりやすく説明される。キリストによってこの世にもたらされた光を象徴するものだ,と。
 イエスの誕生日については聖書には記載がないらしい。冬至の行事と結びつき,1年で最も日が短い日にキリストは光をもたらしたのだ,ということになったそうだ。

2021年12月13日月曜日

2021.12.13 ディア・ドクター

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● 「ディア・ドクター」(2009年)。監督・脚本は西川美和。原作も西川美和「きのうの神さま」(ポプラ社)。
 笑福亭鶴瓶の初主演映画であるらしい。他に,瑛太,余貴美子,八千草薫,香川照之,松重豊,笹野高史,井川遥。

● 山あいの小さな村が舞台。那珂川町の大内の風景を思いだした。実際のロケ地は常陸太田市の西河内地区。

● 何が本物で何が偽物か。無資格診療もそうだが,ベテラン看護師の朱美(余貴美子)に医師以上に正確な見立てと,医師以上に的確な措置をさせることで,そのことを考えさせる。
 嘘は方便なのか,それ以上のものになり得るのか。表には出て来ないけれども,父と子の葛藤。
 そういったことがテーマといえばテーマ。しかし,監督はテーマを突きつけたかったわけではないと思う。いや,そうなのか。

● 演技で言えば,余貴美子ですかねぇ,印象に残るのは。香川照之や笹野高史など,芸達者が揃っている中で,地味に迫力があるっていうか。

2021年12月12日日曜日

2021.12.11 風に立つライオン

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● 「風に立つライオン」(2015年)。ウィキペディア教授によれば,まず,さだまさしが1987年に発表した楽曲「風に立つライオン」があって,それに感銘を受けた大沢たかおが,「聴けば聴くほど,歌われた人物について知りたくなる。この歌の世界を映像で見たい,できるならば自分で演じたい」と,さだに映画化を視野に入れた小説(原作)の執筆を直談判し制作されたものである由。
 「大沢の依頼に対してさだがなかなか企画を進めなかったため,大沢は自分でアフリカのドキュメンタリーの仕事を引き受け,それをさだに見せることで本気度をアピールした」ようでもある。

● 「2014年11月に長崎県で撮影がクランクインし,その後はケニアのナイロビで撮影を行っ」た。「敢えて南アフリカのように撮りやすい場所を選ぶのを避けて,ケニアロケを敢行」。「ホテルから撮影現場までは護衛が付き,全員が予防接種を受けて撮影に臨んだ」という。

● さだまさしの楽曲は「ケニアで国際医療活動に従事した実在の日本人医師・柴田紘一郎氏をモデルに」したものだが,映画は東日本大震災を絡ませるなど,フィクション仕立てになっている。

● 主演は大沢たかお。共演は石原さとみ,真木よう子,石橋蓮司。
 特に石原さとみでしょ。よく木村拓哉は誰を演じてもキムタクだと言われるが,石原さとみも誰を演じても石原さとみだ。
 が,そんなのはあたりまえであって,そうじゃない人がいるのかと訊きたいくらいだ。その石原さとみが演じるワカコがちゃんとワカコになっているのが演技の妙というものだ。
 石橋蓮司は今年80歳になる。撮影時は72歳か。そうとわかって見ると,若々しいというかカッコいいなと思う。

2021年12月11日土曜日

2021.12.10 火花

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● 「火花」(2017年)。原作は又吉直樹の同名小説。芥川賞受賞作品。ぼくは読んでいない。
 菅田将暉と桐谷健太のW主演。主題歌かもこの2人が歌う「浅草キッド」。

● 芽が出ないお笑い芸人の徳永(菅田将暉)は,神谷(桐谷健太)の才能に驚嘆して弟子にしてもらう。が,神谷は落ちる一方で,仕事も徳永の方が多くなり,というありがちな展開。
 「「笑い」に魅せられ,「現実」に阻まれ,「才能」に葛藤しながら,「夢」に向かって全力で生きる二人の10年間の青春物語」。

● 神谷には,しかし食わせてくれる女性が現れて,自己破産しながらも何とかなっていく。っていうか,自己破産するくらいなんだから,メチャクチャではある。
 そうまでして目指すほどのものなのか,お笑い芸人というのは,と考えるのが普通の人だと思うのだが,世の中には普通の枠に収まりきれない人がいるのだろう。その収まりきれなさを才能と呼ぶのかもしれない。

● 逆にいうと,会社や役所に就職して,定年まで務められるような人には,芸人になる才能はないということになる。これしかないという,やむにやまれぬものがなければならない。
 その “やむにやまれぬもの” はあるべき何ものかを欠落していることから来るもので,その欠落に見合った才能を一方で神様は彼に与えるのだ,と考えるよりしょうがない。

2021年12月9日木曜日

2021.12.09 記憶屋

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● 「記憶屋」(2020年)。原作は織守きょうやの同名小説。
 人の記憶を消せるという記憶屋を探す話。もちろん,その縦糸を追う過程で,色々と横糸が延びて行く。広がりのある展開になる。最後は,記憶屋が自分の一番大切な人から自分の記憶を消し去って,離れていく。

● 山田涼介と芳根京子のダブル主演と言っていいと思う。佐々木蔵之介と蓮佛美沙子も重要な役どころで出演。
 佐々木蔵之介が演じるのは優秀な弁護士。そのアシスタントが泉里香の安藤七海。美貌のアシスタント。こんなアシスタントや秘書が居たら,まず家庭崩壊につながるね。
 大企業の秘書室は知らず,自分で仕事を作ってやっていくという人は,アシスタントや秘書を持ってもいいけれども,美人は採用しないのが正解だと本気で思いますよ。

● 主題歌は中島みゆき「時代」。1975年に出ている。半世紀近く前。以後,何度もバージョンアップして生き残っている。生命力の旺盛な歌曲ですよね。

● Amazonプライムは年会費が4,900円。Amazonで買い物をすることはあまりないので,送料無料の恩恵は受けていない。しかし,プライムビデオでこういう映画も見られるのだから,4,900円は超絶安い。
 プライムビデオが目的でプライム会員になった。それ以外のサービスはほぼ全く使っていない。

2021年12月8日水曜日

2021.12.08 テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編

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● 「テレビアニメ “竈門炭治郎 立志編” に続く物語 “無限列車編” が劇場版として公開。そして,2021年10月からテレビアニメ「鬼滅の刃」無限列車編,12月からテレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編の放送が決定。無限列車での任務を終えた炭治郎たちの次なる任務を描く遊郭編。鬼殺隊最高位の剣士《柱》の一人,音柱の宇髄天元とともに炭治郎たちが向かうのは鬼の棲む遊郭。新たな戦いが幕を開ける」というわけで,フジテレビで “遊郭編” が始まった。
 Amazonプライムでも引き続き配信。


● 第1話は「音柱・宇髄天元」。
 煉獄さんの家族に煉獄さんが残した言葉を伝えた炭治郎が,我妻善逸,嘴平伊之助とともに,次なる任務に向かう。そこで出逢ったのが音柱・宇髄天元。
 今回は戦いの前のメンツの紹介といったところ。面白いからね,次回を楽しみにしててね,というね。

● 鬼舞辻無惨が富裕な実業家の養子になっている。これからの物語で実業家も絡んでくるのだろう。
 無限列車編は劇場版を見てしまっていたので,先の展開と映像がわかってしまっていた。今回はそれがないので,楽しみが大きい。原作漫画を読んでいないのもラッキー。


(追記 2021.12.14)

● 第2話「遊郭潜入」。宇髄が放った偵察隊3人は,3人とも鬼に捕らえられているらしい。
 次回以降は,炭治郎,善逸,伊之助が3人を救いだす展開になるんだろうか。禰豆子はまだ登場していない。
 炭治郎,善逸,伊之助が女装させられて,コミカルに笑いを取る。今回はまだ序奏の続き。

(追記 2021.12.24)

● 第3話「何者?」。今回からストーリーが動きだした。
 花魁になった鬼たちは,いずれもかなり手強い。善逸はすでに危うい。
 「鬼滅の刃」における鬼は人間の化身でもある。人間のある部分を代表する。というか,それを誇張して表現している。それゆえ,鬼もいたって人間っぽい。

(追記 2021.12.27)

● 第4話「今夜」。炭治郎が上弦の鬼(堕姫)と対峙。本格的な対決シーンは待て次回。鯉夏花魁は無事なのか。これも,待て次回。
 劇中の遊郭(個々の店)はメルヘンチックに描かれている。でなければ鬼が浮き立たないだろう。リアルに描いてしまっては,人間がつまり鬼ということになってしまいそうだ。

(追記 2022.01.04)

● 第5話「ド派手に行くぜ!!」。炭治郎が堕姫に対してヒノカミ神楽を次々に繰り出して応戦。もうすぐ,音柱の宇髄天元がやってきて,堕姫 vs 宇髄 の対戦になるのだろうけど,もう少し炭治郎に任せてみたい感じね。

● 今回は宿泊先のホテルのインターネットテレビで見た。けっこうな大きさの画面になるわけだ。でも,映画館の臨場感にはとうてい及ばないという至極当然の事実を確認した。
 14インチのノートパソコンとの差はさほどにないなという印象。スマホの画面で見てもそんなに変わらないんだろうかなぁ。

(追記 2022.01.11)

● 第6話「重なる記憶」。ヒノカミ神楽で堕姫を追いつめた炭治郎があと一歩のところで力尽きたあとに,満を持して禰豆子登場。
 この長編アニメにおける禰豆子のキャラクターの重要性を知らしめる回。というか,禰豆子を造形できたときに,原作者はこれでイケルと思ったんじゃないか,と。
 その禰豆子がとんでもなく強くなっちゃった。

(追記 2022.01.17)

● 第7話「変貌」。鬼化が進んだ禰豆子が堕姫を圧倒する強さを発揮する。鬼化した禰豆子 vs 堕姫 なのだから,鬼対鬼,女対女の戦いになる。
 が,それだけでは終わらない。鬼化した禰豆子は人間に対しても牙を向ける。
 今回は堕姫の兄,妓夫太郎の登場がメインテーマになると思うのだけど,禰豆子の悲しさのようなものが全面を覆っている。

● 今回も宿泊しているホテルの客室で見た。ホテルのテレビがインターネットテレビではないので,スマホで見た。支障はない。パソコン程度の画面があるに越したことはないけれども,スマホで困ることはない。

(追記 2022.01.24)

● 第8話「集結」。妓夫太郎と堕姫の兄妹は,2人でひとつ。対して,鬼殺隊も宇髄の他に,炭治郎,善逸,伊之助が集結し,いざ,雌雄を決せん。
 煉獄さんと猗窩座もそうだったのだけど,宇髄と妓夫太郎も深いところで互いを理解し合っているというふうなんだよね。相手に対して自分を閉ざさないんだよね。

(追記 2022.02.02)

● 第9話「上弦の鬼を倒したら」。上弦の鬼は強いのだ。柱の宇髄も妓夫太郎に歯が立たない。が,炭治郎,善逸,伊之助の3人は「無限列車編」に比べると格段に逞しくなっていて,堕姫と妓夫太郎に向かっていく。
 炭治郎が戦いの最中に内省に入ってしまうのはどういうことかとは思うんだけど。しかし,これは説明なのでね,芝居の脚本でいえばト書きだ。

● 今回はもうひとつ,雛鶴の宇髄に対する純情も感動の種だな。男の目に映った女になっているし,男の願望が投影された女になっているきらいはある。が,こういうファンタジーは基本的には万人受けするもの。

(追記 2022.02.07)

● 第10話「絶対諦めない」。スタート時点ではもはや絶望的。柱の宇髄は片腕を切り落とされて倒れており,善逸は崩壊した建物の下敷き,伊之助は妓夫太郎の刀で心臓を貫かれている。
 残っているのは,自分のせいだと反省ばかりしている炭治郎と,コンコンと寝ている禰豆子だけだ。普通ならここで終わるんだけどねぇ。

● 炭治郎も善逸も伊之助もいつからこんなに強くなったのか。宇髄も蘇って,ついに妓夫太郎の堕姫の首を切ることができた。
 次回が遊郭編の最終回になる。

● 炭治郎が妓夫太郎と堕姫の兄妹を自分と禰豆子と対比して語るシーンがある。自分たちが鬼になっていたかもしれない,妓夫太郎と堕姫も望んで鬼になったわけではあるまい,立場が入れ替わっていてもおかしくなかった,と。
 もし鬼に落ちても鬼殺隊の誰かが自分の首を切ってくれる,と語るシーンもあって,ジーンとさせる。今まで登場した鬼の中にも,首を切られてホッとした鬼がいたんだろうか。

(追記 2022.02.14)

● 第11話「何度生まれ変わっても」。妓夫太郎&堕姫と鬼殺隊の対決は,前回で決着がついている。
 が,勝つには勝ったものの,宇髄も炭治郎も善逸も伊之助も,妓夫太郎の毒が回って瀕死に至っていたはず。が,禰豆子の超能力(血鬼術)で救われる。これでメデタシメデタシ。

● その後は,妓夫太郎と堕姫の生い立ちの紹介に移る。まともに育てと言われても育つはずがない過酷な状況に置かれていた。
 こんなのは漫画の世界だからねということにしていいと思うのだが,程度の差はあれ,犯罪を犯して刑務所にいる人たちの大半は,これでまともに育てと言われても・・・・・・という人たちだろう。それは現場の警察官がよくわかっているはず。

2021.12.07 私の男

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● 「私の男」(2014年)。原作は桜庭一樹の同名小説。直木賞受賞作。
 実の親子の近親関係という,重いというよりグロテスクなテーマを扱っている。全編を覆うのはある種の暗さと救いのなさ。

● 浅野忠信と二階堂ふみが主演。この映画は「第36回モスクワ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され,最優秀作品賞に選ばれるとともに主演の浅野忠信が最優秀男優賞を受賞した」のだが,たしかにこうした映画祭とは相性がいい作品なのだろう。
 しかし,画面を支配しているのは二階堂ふみ。正気と狂気の境というか,突き抜けたゆえに正気に近づいて見える狂気というか,このあたりの演技は彼女の独壇場と言える。
 撮影時,彼女は20歳だったのではないか。20歳でこのテイストが出せますか,そうですか。

● 母親に暴力をふるった淳悟(浅野忠信)が,親戚にあたる花(二階堂ふみ)の両親宅に預けられる。このとき花の母親と男女の仲になり,生まれたのが花。
 花の両親は北海道南西沖地震による津波で亡くなり,花は淳悟に引き取られる。地震のとき背負って助けてくれたのがお父さんだったと,10歳の花が話すシーンがある。
 「生きろ」と私を背負って逃げてくれた,と。だとするとこの父親(花にとっては育ての親)はとんでもなくできた人だよねぇ。

● 淳悟の恋人役が河井青葉。昨日見た「さよなら歌舞伎町」にも出演していたが,「ヌードを辞さない姿勢で,新進監督の作品にも多く出演している」とウィキペディア教授は言っている。
 彼女の行くところ,ヌードや濡れ場が付いてくるのだとしても,ヌードや濡れ場に依存しているわけではない。上手な女優さんだ。

2021年12月7日火曜日

2021.12.06 さよなら歌舞伎町

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● 「さよなら歌舞伎町」(2015年)。歌舞伎町のラブホテルが舞台。
 劇中での時間の経過は2日間。主な事件は24時間のうちに起きる。何とも色んなことが起きた濃密すぎる2日間ね。

● ラブホテルの店長の徹(染谷将太)。そのラブホテルに徹の妹の美優(樋井明日香)がAV撮影のためにやってくる。
 そればかりか,同棲中の恋人の沙耶(前田敦子)までが枕営業でご来館(徹は沙耶に,自分はお台場の一流ホテルで働いている,と伝えていた)。

● ラブホテルで掃除のおばさんをやってる里美(南果歩)は,傷害事件を起こしている。共犯の康夫(松重豊)をアパートに匿って,あと1日で成立する時効を待っている。
 そこに,夫も子供もいる刑事の理香子(河井青葉)が,同僚の刑事とやってくる。不倫の最中に里美に気づく。

● 韓国から稼ぎにやってきているヘナ(イ・ウンウ)は,恋人のチョンス(ロイ)にはホステスと伝えているが,じつは売春婦。チョンスは韓国料理店で働いているが,オバサン相手のつばめ稼ぎもしている。
 風俗のスカウトの正也(忍成修吾)は,家出少女の雛子(我妻三輪子)に目星を付けてホテルに連れ込むものの,雛子の不幸すぎる生い立ちを聞いて,彼女に惚れてしまう。

● と,訳ありすぎの登場人物たちがおりなす “群像劇”。里見と康夫の時効はめでたく成立。理香子もめでたく不倫を精算できたらしい。
 ヘナとチョンスは一緒に韓国に帰ることになり,結婚することになるようだ。正也は体を張って足を洗い,雛子を迎えに来る。劇中で唯一のあっぱれな男。あ,チョンスもそうかもしれない。

● 何だか,訳がわからないのが徹。故郷の塩釜に帰る長距離バスに乗り込むのだが,帰ってどうするつもりなんだろうか。
 何もかも嫌になって,いったんリセットというのはわかるんだけれども,一流ホテルに就職するという妄想に掴まっているだけで,具体的には何もしていない。
 でも,まぁ,故郷にしばらく居て,新宿に戻って雛子とよりを戻すのだろうな。

2021年12月6日月曜日

2021.12.05 泥棒役者

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● 「泥棒役者」(2017年)。原作,脚本,監督が西田征史。

● しっとりとしたドタバタ劇。主役の大貫はじめを丸山隆平が演じ,市村正親,石橋杏奈,ユースケ・サンタマリア,片桐仁が主要な登場人物を演じる。
 が,はじめを脅して泥棒稼業に引き戻す畠山の宮川大輔が印象に残る演技。はじめの恋人役の高畑充希もさすがの存在感。任せて安心。
 最終盤で片桐はいりと向井理が姉弟として登場するが,弟が向井理であることに気づかなかった。

● いい映画を見れたなという満足感が残った。明日でプライム対象から外れるが,少し待てば戻ってくるだろう。
 主題歌は関ジャニ∞「応答セヨ」。

2021年12月4日土曜日

2021.12.03 弥生,三月 君を愛した30年

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● 「弥生,三月 君を愛した30年」(2020年)。「1986年(昭和61年)から2020年(令和2年)までの34年間の3月のある1日を舞台に昭和,平成,令和という3つの時代を跨ぎ,運命に翻弄されながらも一途に互いを愛し続けてきた2人の男女の半生を描く」(ウィキペディア)。
 3月のある1日となれば,2011年3月11日の東日本大震災がストーリー展開上のターニングポイント(の1つ)を作ることになる。

● 東日本大震災のあと,これだけの自然災害を経験すれば,日本も日本人も変わらざるを得ない,と言う識者もいたし,新聞もだいぶそっち方面の記事を流した。が,結局,ぼくらは何も変わらなかった。
 わずか数時間であれだけの人命(18,425人)が失われたのに,イジメはやまないし,わが子を虐待する親もなくならない。特殊詐欺も隆盛を保っている。
 なくても誰も困らない仕事も営々と続けられている。読むに値しないパルプ本を次々に出版しながら,本が売れなくなったと嘆く出版界。作られるそばからゴミステーション行きになる,雑貨と称される商品群。人の迷惑を顧みない訪問販売またはその勧誘。企業が故意にかけてくる迷惑電話。

● いや,そういうことは,とりあえずどうでもいい。
 主演は波瑠(弥生)と成田凌(サンタ:山田太郎 → 山太 → サンタ)。2人は高校の同級生。もうひとり,杉咲花が演じるサクラも仲間だったが,彼女は早逝してしまう。
 しかし,2人が結婚するときに聞いてくれと残したサクラのボイスメッセージが,何というのか絶品。内容はスタッフが作っているのだから,杉咲花には関係ないのだが,声がもうすごいよ。
 上手いという以前の話。いい声なんですよ。生まれる前,母親の子宮の中で羊水に身を任せていたときはこんな感じだったか,と思わせるような。全身を愛撫されてるようなゾクゾク感をくすぐる声というか。

● もうひとつの印象的なシーンは,結婚している弥生がサンタ(この時点でバツイチ)のアパートに泊まって,翌朝,夫に電話をする。その電話を受けた夫(小澤征悦)の表情だ。
 どういう表情を作ればいいのか,かなり難しかったのではないか。高校時代の友だちと会ったので朝まで飲んだと言われたって,朝まで連絡できなかったわけではあるまい,と思う。しかし,彼女がそういうことをする人ではないと信じている。信じてはいるんだけれども・・・・・・という循環が止まらない。
 結局,すべてを察してそれを受け入れる表情を作ったのだが,うん,これしかないですかねぇ。

● 弥生とサンタは高校生のときからつながりを保っている。“好き” を保っている。
 しかし,こういう一筋の道を行く的な生き方は現実にはないものだろう。思春期を過ぎた後,人は何度か脱皮を繰り返す。過去を脱ぎ捨てる。3段ロケットよろしく,過去を切り離していく。

● そうでなければいけない。ぼくの周囲を見回しても,中学校の同級生同士で結婚した人はいない。高校の同級生と結婚した人は1人いるが離婚した。大学の同級生同士の結婚は複数ある。ただし,結婚したのは卒業してから数年の後だ。
 結婚は少なくとも1回は脱皮してからの方がよいとしたものだ。遅すぎる結婚はまだしも,早すぎる結婚はよろしくない。

● この映画で描かれているのはファンタジーであって,そのファンタジーを楽しめばよいものだ。
 自分も弥生やサンタのようにと考える若い人がいるとすれば(いないと思うが),目を瞑って1分間,深呼吸しようね,と言いたい。

2021年12月3日金曜日

2021.12.02 町田くんの世界

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● 「町田くんの世界」(2019年)。原作は安藤ゆきの漫画作品。「別冊マーガレット」に連載された。
 主演は細田佳央太と関水渚。細田佳央太はもちろん,関水渚もオーディションで選ばれて,これがデビュー作になったらしい。
 他に,岩田剛典,高畑充希,前田敦子,池松壮亮,戸田恵梨香,佐藤浩市,北村有起哉,松嶋菜々子。実績のある中堅とベテランが脇を固めた。

● 細田佳央太が演じる町田くんは,「“人を愛する才能” だけはズバ抜けてい」て,その代わり,自分がしたことで相手がどう思うか,どう感じるかというのは読めない。
 それで色々とドラマが生まれるのだが,最後は,関水渚が演じる猪原さんがロンドン留学のため成田空港に向かっているところへ,町田くんが引きとめに向かう。ハッピーエンドで終わる。

● だが,彼女はロンドンに留学した方がよかったかもしれないよね。というのも,引きとめに向かうことを決心するまでの町田くんの行動は,あまりにグズで,重要-非重要,緊急-非緊急の判断がまったくできないからだ。
 じれったいったらありゃしない。こういう男は見捨てろ。一緒になったところで,ロクなことにはならんからな。

● 関水渚の好演が印象に残る。高畑充希と前田敦子の高校生もなかなか。
 高畑充希が10歳年下の細田佳央太に “先輩” と呼びかけるところとか,前田敦子の一言居士ぶりはかなりのインパクト。見どころの1つに数えていいと思う。

● ロケは栃木県内でも行われた。宇都宮市のベルモール,宇都宮駅ペデストリアンデッキ,ブラジルコーヒー宇都宮駅前店,オリオン通り,バンバ通りが使われたらしいのだが,ぼくは気づけなかった。
 町田くんと猪原さん,西野くんの3人がボーリングをやったボーリング場は,鹿沼市のヤングボウル。町田くんたちが授業を受けていたのは佐野市の葛生中学校だったらしい。

2021年12月1日水曜日

2021.12.01 TOKYO!

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● 「TOKYO!」(2008年)。3話からなるオムニバス映画。フランス・日本・ドイツ・韓国の合作らしいのだが,監督・脚本といったところは,いずれも外国人が担当している。
 この映画は彼らが東京から何を触発されるのかという視点で見た方がいいんだろうか。

● 3つともかなりシュール。まず,「インテリア・デザイン」。英語版の原作があるらしい。
 若い男女が東京にやってきて,色々あるうちに,離れ離れになり,女は椅子になってしまう(誰もいないところでは元に戻る)。それで彼女は幸せになりました,という話。
 藤谷文子を中心に,加瀬亮,伊藤歩,大森南朋,妻夫木聡,でんでん,光石研,石丸謙二郎らが出演している。

● 次は「メルド」。下水道の怪人と呼ばれる男の名がメルド(フランス語で「糞」という意味)。防空壕のようなところに住み,下水道のマンホールからこの世に現れ,悪さをして地下に戻るを繰り返す。
 捕らえられ,裁判にかけられ,死刑を執行されるが,死亡が確認された後に生き返り,忽然と姿を消す。言語も独特。何せ,この言葉を話すのは,メルドを含めて世界に3人しかいないのだ。
 主要な登場人物も外国人。メルドがドゥニ・ラヴァン。メルドの言葉がわかるというフランスの弁護士ヴォランドにジャン=フランソワ・バルメール。
 これは東京じゃなくても成立する。ニューヨークでもロンドンでもパリでも。

● 「シェイキング東京」。引きこもりの男があることがキッカケで外に出た。そこにあったのは全員が引きこもっている街だった。
 香川照之を中心に,蒼井優,竹中直人。荒川良々や松重豊もちょい役で。性格俳優というとちょっと違うのかもしれないが,芸達者が揃った。

● “世界の巨匠たちが見た,光と希望と闇に包まれた真実の東京──” がキャッチフレーズのようなのだが,「メルド」だけではなく,「インテリア・デザイン」も「シェイキング東京」も,東京でなければ成立しないというわけではない。大都市が舞台であればよい。
 大都市が孕んでいる創造性とでもいうものを,3つの形にして見せたということだろうか。