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実の親子の近親関係という,重いというよりグロテスクなテーマを扱っている。全編を覆うのはある種の暗さと救いのなさ。
● 浅野忠信と二階堂ふみが主演。この映画は「第36回モスクワ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され,最優秀作品賞に選ばれるとともに主演の浅野忠信が最優秀男優賞を受賞した」のだが,たしかにこうした映画祭とは相性がいい作品なのだろう。
しかし,画面を支配しているのは二階堂ふみ。正気と狂気の境というか,突き抜けたゆえに正気に近づいて見える狂気というか,このあたりの演技は彼女の独壇場と言える。
撮影時,彼女は20歳だったのではないか。20歳でこのテイストが出せますか,そうですか。
● 母親に暴力をふるった淳悟(浅野忠信)が,親戚にあたる花(二階堂ふみ)の両親宅に預けられる。このとき花の母親と男女の仲になり,生まれたのが花。
花の両親は北海道南西沖地震による津波で亡くなり,花は淳悟に引き取られる。地震のとき背負って助けてくれたのがお父さんだったと,10歳の花が話すシーンがある。
「生きろ」と私を背負って逃げてくれた,と。だとするとこの父親(花にとっては育ての親)はとんでもなくできた人だよねぇ。
● 淳悟の恋人役が河井青葉。昨日見た「さよなら歌舞伎町」にも出演していたが,「ヌードを辞さない姿勢で,新進監督の作品にも多く出演している」とウィキペディア教授は言っている。
彼女の行くところ,ヌードや濡れ場が付いてくるのだとしても,ヌードや濡れ場に依存しているわけではない。上手な女優さんだ。