2022年3月4日金曜日

2022.03.03 ラプラスの魔女

Amazonプライムビデオ

● 「ラプラスの魔女」(2018年)。原作は東野圭吾の同名小説。
 ただし,原作に忠実に映画化したわけではないらしい。らしいというのは,ぼくは原作を読んだことがないからだ。
 かつて「第三の新人」と呼ばれた人たち(吉行淳之介,遠藤周作など)の後の小説家の作品は,村上春樹も含めて,ほとんど読んだことがない。

● 主役は櫻井翔なのだが,広瀬すず,福士蒼汰,豊川悦司が展開を作っていく劇中人物を演じる。他に,志田未来,玉木宏,リリー・フランキーなど。
 広瀬すずが出るとなっては,他の俳優はみな喰われてしまう。櫻井翔も福士蒼汰も豊川悦司すらも,霞んでしまう。そういう意味では,広瀬すずを見るためにある映画とも言えるのだが,そう言ってしまっては彼女が出ている映画はすべて彼女を見るためにあることになってしまう。

● 映画の終盤で,甘粕謙人(福士蒼汰)が父親(豊川悦司)に言う少し長い台詞。
 この世界は一部の天才やあなたのような人間たちに動かされているのではない。人間は原子だ。一見,何の変哲もなく,価値もなさそうな人々こそが,重要な構成要素だ。ひとつひとつは凡庸で無自覚に生きていたとしても,集合体となったとき,劇的な物理法則を実現していく。
● この映画はこのことを伝えたくて作られたのかと思うほどなのだが,それだけで2時間の映画を作れるはずもなく,何かを言いたいために作られた映画は,ドキュメンタリーのようなものを除けば,おそらく過去にはなかったし,これからもないのではないかとも思う。
 このあたりは,何ともわからないが,伝えたいメッセージがまずあって,それを伝えるためには何をどう作ればいいかと考えて,映画作りをする監督はまずいないのではあるまいか。

● いや,おもしろい映画だった。ここから芋づる式に次を示してくれるのが Amazonプライムのいいところで,おかげでしばらくは見たい映画に不自由しなさそうだ。
 最近,本を読まなくなったなと思っていても,面白ければ一気通貫で読めるものだし,面白い映画は次々に観ていけるものだ。