DVD(デジタルリマスター修復版)
他に,鶴田浩二,笠智衆,淡島千景,津島恵子,上原葉子(加山雄三の母),三宅邦子など。津島恵子って若いときはこうだったのか。
● 「地方出身の素朴な夫(茂吉)と夫にうんざりする上流階級出身の妻(妙子),二人のすれ違いと和解が描かれる」のだが,和解の直接のキッカケはない。妻が友人たちに散々たしなめられるのだが,それが理由ではないだろう。
ちょうどこうなるタイミングだったのだろうなと考えるほかはない。
● 「妙子は初めて夫の心の広さ,結婚生活のすばらしさを感じて,夫を心から愛するようになるのだった」っていうのはねぇ。いやそのとおりの展開なんだけれども,時代背景とでもいうものが大きく影響していますか。
男尊女卑的な考え方が,建前だけだとしても残っていたのかな,と。中学生のときだったけれども,男のバカと女のリコウは匹敵すると口走った教師がいたっけな。ずいぶん,男に都合のいい話だよねぇ。
● その和解の場面。茂吉と妙子が2人でお茶漬けを用意して食べる。
このときの木暮実千代の所作は妻のそれではない。銀座の “女給” か旅館の仲居か,職業として給仕して,職業として自らも食べる女,という感じ。
要するに,色っぽすぎるのだ。こんな夫婦はいないぞ。
● 住込みのお手伝いさんを雇っている上流階層の夫婦の話だ。男たちはもちろん,女たちも煙草を吸う。この頃はそうだったんだろうか。パチンコや競輪も上流階層の遊びだったのだろうか。
小津映画の特徴のひとつは脚本にある。上流階層の東京弁はこうだったのかと思わせる喋り口(もちろん,違うだろうが)。