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● 「米ニューヨークにある伝説の5つ星ホテルの魅力に迫るドキュメンタリー」。カーライルの正式名称は「ザ・カーライル ア ローズウッド ホテル」というらしい。
「マンハッタンで1930年に創業し,1泊200万円もするスイートルームを擁する超高級ホテル」で,「数ある上等なホテルの中,英国王室や歴代米大統領,映画スター,ミュージシャン,アスリートといったセレブたちはなぜカーライルを選ぶのか」を探っていく。
● 登場するのは,ジョージ・クルーニー,ウェス・アンダーソン,ソフィア・コッポラ,トミー・リー・ジョーンズ,ナオミ・キャンベル,ジャック・ニコルソン,ロジャー・フェデラー,ハリソン・フォードといった面々。他にもたくさんいるが。
コンドリーザ・ライスもいた。ジョージ・W・ブッシュ政権でアメリカ合衆国国務長官を務めた人。
● スタッフも何人も登場する。その代表はコンシェルジュのドワイト。「吃音症を抱えながら36年間カーライルを支えてきた。上品で温かい接客は宿泊客からもスタッフからも愛されている」という。
彼に限らず,スタッフはセレブであろう宿泊客にかしずくのではなく,対等なフレンドリーな関係を作っている。本当にそうなのか,そういうふうに撮っているのかはわからないが,おそらく前者だろう。
● スタッフと宿泊客がひとつのコミュニティを作っていたのだなという印象を持った。スタッフの異動が少ない。長く働いている。宿泊客も一見さんではなく常連客が多い。
したがって,話の種に一回泊まってみるか,金ならあるぞ,というお方は,お呼びじゃないかもしれない。楽しめないのじゃないか,居心地が悪くて。
● 92分のPR動画だという評価もある。「過去のカーライルホテルを利用した映画スター,スポーツ選手,政治家,王族の写真や映像をオンパレードで紹介していく。それに対して従業員のインタビューを差し込んで展開。終始ホテルを “褒めごろす” 映画の構成となっている」,と。
自分には無縁な場所だと思って見ているからでもあるのだと思うが,このホテルにさほどの魅力は感じない。そこが縁なき衆生の縁のない所以だと思うのだが,この場所に自分を置いてみたいとはあまり思わなかった。
● 1泊で200万円取れる宿泊施設が日本には欠けている,という指摘は以前からある。アラブの石油王に代表される超富裕な層が泊まれるホテルが日本にはない。
金だけは腐るほど持っているが,それ以外の教養や品性やたしなみというものは持ち合わせていない超富裕層がもしいるならば,そいつらからはいくらふんだくってもかまわないと思うが,ふんだくるにしてもふんだくれるだけのノウハウが要る。そのノウハウが日本にはない。