宇都宮市立東図書館 2階集会室
Amazonプライムでも見られるのだが,電車賃と時間をかけて出かけていった。
● 出演は木暮実千代,若尾文子,浪花千栄子。この3人が物語を進めていく。
浪花千栄子は小津作品の「彼岸花」で見ている。テンポのいい台詞回しが印象的だったが,ここでも早口の京都弁でまくし立てる感じが,清々しいというか。1.5倍速の京都弁なのだが,極めて明瞭で聞きやすい。
現在88歳の若尾文子がこのとき20歳(劇中では16歳)。これだけでも見る価値があるんちゃいますか。
● 芸妓がお金のため,あるいは業界のために,好きでもない男と寝ることは是か非か。従来の規準では当然あり得べし。が,今どき(劇中の)価値観では受け入れがたい。
結局,木暮実千代の美代春は拒み切ることができずに応じるのだが,そこで吹っ切れたような明るさを感じさせてエンディングになる。美代春にすれば,吹っ切るしかないわけでもある。
処女性の価値も減じた。というか,処女という言葉があまり使われなくなった。そういうものに女性が振り回されることが減っているのであれば,今の方がいいに決っている。
● 金曜日の日中にこういう映画を見に来ることができるのは,原則,老人に限られる。無惨なほどの平均年齢。
月に1回,連続する金・土曜日に同じ映画を上映するのだが,金曜日は土曜日よりも来場者がグッと少ない。どちらも年寄りばかりなのは同じだが。
こうした文化事業の多くは老人福祉事業にもなっている。年寄り退屈対策事業というとさらに正確だ。ぼくも年寄りの末席を汚す者だから,これはこれでありがたいのだが・・・・・・。