DVD(デジタルリマスター修復版)
● 「子どもたちがオナラ遊びに興じる場面が出てくるが,「オナラ」を使ったギャグは小津監督がサイレント時代から温めていたアイデアだという」。
オナラ遊びというのは,劇中の男の子の遊びで,自在に屁をひれるように訓練するという趣向。軽石を擦って飲むとできるようになると信じられている。
● この作品には主演者はいない。林家の兄弟(設楽幸嗣,島津雅彦)が主役だと言えば言えるが,佐田啓二,久我美子,沢村貞子,笠智衆,三宅邦子,東野英治郎,杉村春子らが出演。
印象に残ったのは,押売りの男の殿山泰司。歳をとって飄々とした風情にあふれるようになる前はこうだったのか,と。あと,丸山みどり役の泉京子。現代でも通用する様式(?)の美貌。
● テレビが誕生して間もない頃。テレビのある家に子供たちが集まるシーンもある。1959年が皇太子ご成婚の年で,テレビの普及が200万台を超えたらしいのだが,この時期にテレビを買えるのはかなり凄いというか,だいぶ早いというか。どっと普及するのはここから5年くらいしてからではなかったか。
都市なればこそという気がする。小津映画の舞台は都市だ。都市と都市で暮らす人たちの様相を記録してくれているという一面もあると思う。当時の農村は舞台にしようがなかったろうが。