宇都宮市立東図書館 2階集会室
この映画はAmazonプライムでも観ることができるのじゃないかと思う。が,深夜にノートパソコンの画面で1人で観るのもいいものではあるのだけれども,大きな画面と画面の左右にあるスピーカからでてくる大音声で,かつ自分以外の人がたくさんいる中で観るのもいいものだというわけだ。
● コロナが永遠に続くのであれば,Amazonプライムや Netflix で自宅観を決め込むのが正解なのだろうが,オミクロンはもはやそれ以前のコロナと同列に置くものではない。欧米ではコロナは終結した。政府が終結宣言を出しさえすれば,それが受け入れられるところまで来ている。
となれば,大勢が一箇所に集まって大画面で観るという,あたりまえの観方が復活して当然。映画は大勢で観るから映画なのだという側面もある。
● というわけで,宇都宮市が実施している上映会に来てみたというわけでした。2018年11月に「宇都宮市民プラザ ウィークエンドシネマ」(現在は休止中)でヴィヴィアン・リー主演の「哀愁」を観て以来になる。
実際のところは,コロナ禍が発生する1年以上前から足が遠のいていたわけだ。
「第二次世界大戦にアメリカが参戦した翌年の1942年に製作が開始され,同年11月26日に公開された」というのだから,何だか余裕綽々だな,アメリカ。戦時中に制作されたからといって,戦意高揚のための映画ではない。そんなことをする必要もなかったのだろう。
● 45年前に一度見ている。20歳前後の自分にこの映画の綾がわかったかどうか。20歳でわからなければ40になっても60になってもわからんよ,とも思うものの,ぼくは極端にオクテだったのでね。
といっても,そんなに複雑な綾が仕組まれているわけではない。かつて愛し合った男女が再開し,ヤケボックリに火がつく話だ。
● 「カサブランカ」と「誰がために鐘は鳴る」におけるイングリッド・バーグマンの,清楚で知的で凛とした美しさ。人類史上のナンバーワンだと,ぼくはずっと思い続けてきた。人類が誕生してから,この世界に存在した最も美しい女性は,この2つの作品におけるイングリッド・バーグマンであることを疑ったことはない。
その美しさがこうしてフィルムに固定されて,おそらくこの先もずっと生き続けるのだ。おかげで,ぼくらもこの上ない眼福に与れるのだ。
ハンフリー・ボガート演じるリックの店で,ピアノを弾いているサムのドーリー・ウィルソンが良かったという人は多いだろう。かく申すぼくもそのひとり。
● 人口に膾炙した有名な台詞も聞くことができた。のだが,今回観たのは吹替版だったのが残念。
イヴォンヌ(マデリーン・ルボー)とリックのやり取り。
昨日の夜はどこにいたの?(Where were you last night?)
昔のことは覚えていない(That’s so long ago, I don’t remember.)
今夜は会える?(Will I see you tonight?)
そんな先のことはわからない(I never make plans that far ahead.)
ま,こんな台詞を実際に吐く男がいたら,そんな男はさっさと捨てちまいな,とぼくも思うし,世の大半の男女も同様だろうけどさ。
「君の瞳に乾杯」(Here's looking at you, kid.)は何度も出てくるんだね。
ここから連想するものは1つしかない。旧約聖書の神の叫びだ。産めよ,増やせよ,地に満てよ。