2021年11月30日火曜日

2021.11.30 フォレスト・ガンプ/一期一会

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● 「フォレスト・ガンプ/一期一会(字幕版)」(1994年)。「心ない人からは嘲りを受けつつも,それ以上に良き心を持つ周囲の人々の協力を受けて数々の成功を収め,同時に幸福を周囲にもたらしていく「うすのろフォレスト」の半生を」描いた作品。

● 「アカデミー賞作品賞ほか6部門を独占した映画史に残る名作」とのこと。たしかにアカデミー賞好みの作品だと思った。
 今日でプライム対象から外れてしまうことが見た理由の第一なのだが,2021年11月の終わりの日にこの映画を見れてラッキーだった。いわゆるいい映画の典型だ。ひとつの桃源郷を描いている。

● “人生は食べてみなければわからない,チョコレートの箱と同じ”― フォレストの母親がフォレストに言う台詞。正確には,フォレストが母親が言っていたと言うのだが。
 このフレーズも人気を博したらしい。そのとおりだもんね。食べてみなきゃわからない。若いときのわかったつもりは,誰もが経験することだが,その “わかった” はわかり方の解像度が粗くて,わかった範疇には入らない。

● フォレスト・ガンプにトム・ハンクス。母親がサリー・フィールド。フォレストの文字どおりの半身だったジェニーはロビン・ライト。
 ベトナム戦争での上官のダン・テイラーがゲイリー・シニーズ。同じくベトナム戦争での戦友,バッバ・ブルーがミケルティ・ウィリアムソン。
 こうして演じた俳優の名前を書き残しておきたくなるくらい,しっとりとしたいい映画だった。

● ストーリーの展開で唯一アレッと思ったのが,フォレストを養護学校ではなく普通の学校に入れるために,母親が学校の入学担当教師に抱かれたところ。
 その行為中の教師の声をフォレストが聞いていたという設定で,観客の笑いを取りに行っているのだが,まぁ,いいのか。

2021.11.29 ビートルズと私

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● ビートルズのドキュメンタリー「ザ・ビートルズ Get Back」が25~27日の3日間,Disney+(ディズニープラス)で独占配信されたらしい。詳しいことは知らないのだが,ビートルズファンの間では盛りあがれる話題だったのだろう。
 3部構成で,それぞれが2時間,計6時間の長大なものなので,映画館で一挙上映というわけにはいかない。

● Amazonプライムで見られるのは「ビートルズと私(字幕版)」(2011年)。基本的にビートルズは出てこない。彼らを知る「50人を超える世界各地の関係者たち」にインタビューを行い,それを85分に編集したもの。
 当然,ビートルズが好きでたくさん聴いたよという人が見てこそ,面白いものだろう。見ておきながらこう言うのも何なのだが,ぼくはその資格に欠ける。

● インタビュイーの中に,アメリカのジョンソン大統領の娘がいた。暗殺されたケネディの後を受けて大統領に就任したばかりの父親に,アメリカにやってくることになっていたビートルズを家(ホワイトハウス)に招待するよう父親に頼んだというエピソードを語っている。
 父親には断られたらしいのだが,ビートルズ現象というのはとんでもない広がりと勢いを持っていたのだなとわかる話だね。

2021.11.24 花戦さ

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● 「花戦さ」(2017年)。原作は鬼塚忠の小説「花いくさ」。
 ストーリーにもちろんリアリティはない。映画なのだからそれでいいのだ。

● 主役の池坊専好(野村萬斎)は記憶障害を持っている。これが専好の性格設定にかなり効果をあげているように見える。
 市川猿之助の豊臣秀吉も迫力がある。が,最も印象に残る登場人物は誰かといえば,森川葵の「れん」だ。異形の娘だから,誰が演じても他とは区別されるだろう。
 
● この時期,農民は食うや食わずのその日暮らしで,将来設計などというのは1ミクロンも考えられなかったはずだが,そういう時代でも専好のような,言うなら無為徒食の輩を養っていたわけだ。不思議な気もするが,そういうものなのだろう。
 芸能といい芸術といい芸事といい,芸が付くものは,生活に潤いをもたらすとか,情緒を養うとか,そういうきれい事のレベルでではなく,もっと形而下的なところで,人間には必要なものなのだろう。

● むしろ芸で遊ぶために生活があるというのが本当なのだ。ホモ・ルーデンスなのだ。遊びをせんとや生まれけむ,なのだ。
 ここでマズローの欲求5段階説を持ちだすのは場違いな感じもするのだが,マズローが言うように欲求の類型がきれいにピラミッド型を描いて,AがあってB,BがあってC,というのはおそらく人間を表していないのだろうと思う。

2021年11月23日火曜日

2021.11.22 ReLIFE リライフ

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● 「ReLIFE リライフ」(2017年)。原作は夜宵草の同名漫画。
 27歳の男が「見た目だけ10歳若返り,1年間限定で高校生活をやり直すという」話。

● 主演は中川大志と平祐奈。中川大志はこういう役柄が多いですかねぇ。多情多恨というのとは違うけれども,何というのか熱い人。斜に構えるのとは対極にいる人。
 他に,池田エライザ,高杉真宙,岡崎紗絵。池田エライザが高校生らしい高校生の役。最も印象に残るのが,夜明了の千葉雄大。
 
● その千葉雄大を超える存在感を示したのが平祐奈。撮影時は18歳か19歳だったのではないかと思うのだが,女子高校生を演じるときはまさしく女子高校生だし,大人を演じるときには清楚な大人になる。
 その程度のことならできない女優はいないのかもしれないが,この映画ではそこに笑顔と不気味な笑顔(?)の演技が加わるので,印象が強烈になるのだ。

● この映画はやはり若い人のためにあると思う。全体として癒やしの気に満ちている。失意のときに見ると癒やされるというわけには参らないかもしれないが,ふっと息を抜けるくらいの効果はある(たぶん)。
 失意のときに映画を見る気になれるかという問題はあるけれども。

2021.11.22 アヤメくんののんびり肉食日誌

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● 「アヤメくんののんびり肉食日誌」(2017年)。原作は町麻衣による同名漫画。
 主役は黒羽麻璃央と足立梨花。足立梨花,どこかで見た顔だと思った。栃木のご当地映画「キスできる餃子」でヒロインを務めた人ね。ちなみに,「キスできる餃子」の公開は2018年。

● いわゆるメッセージ性はないのだろうと思うし,そんなものはなくていいと思うんだけれども,それにしたってこの映画を撮った理由は何なのだろう。
 要するに,ダメ男とダメ女の恋愛物語だ。彼と彼女の両方に思いを寄せる異性が別にいてという,四角関係が展開する。といって,その四角関係に緊張感があるわけでもない。

● 舞台は理系の大学の研究室。足立梨花演じる椿は出勤前の風俗嬢のような格好で(風俗嬢はこういう格好をしないかもしれないが),どうやっても理系の学生には見えない。これじゃ研究室の中でも浮いてしまって,下手するとイジメに合うかもしれない。
 そこは映画(原作は漫画)だからと納得するしかないのだろうが,椿にそういう格好をさせる理由がわからない。

● 椿はまた,だらしなく酒に酔う。こういう女に惚れる男がいるのか。都合がいいだけの女になってしまうじゃないか。これじゃ先が思いやられるぞ。
 というわけで,何だか不思議な映画だった。

2021年11月22日月曜日

2021.11.21 パンとバスと2度目のハツコイ

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● 「パンとバスと2度目のハツコイ」(2018年)。「スキにならずに,スキでいる。」がキャッチコピーなんだけど,何だか不思議な世界。
 不思議だけれども,居心地のいい世界でもある。劇中の登場人物たちはそれぞれかなり大変な人生になるだろうけど,彼女たちが大変さを引き受けてくれるので,その結果として居心地がいい世界ができあがる?

● ヒロインは乃木坂46の元メンバーの深川麻衣が演じる。映画初出演にして初主演であったらしい。相手役は山下健二郎(三代目J Soul Brothers)。
 他に伊藤沙莉も重要な役どころなのだが,ぼくはヒロインの妹を演じた志田彩良に注目。15日に見た「mellow」では活発明朗な女子高生を演じていたが,今回は少し内向的な美学生(予備校生)。何だかいいんだよねぇ。

● 「私をずっと好きでいてもらえる自信もないし,ずっと好きでいられる自信もない」って,それはみんなそうだよね。てか,ずっと変わらず好きでいるなんて不可能だよね。
 相手をずっと好きでいた人も,ずっと好きでいられた人も,有史以来おそらく1人もいなかったろうし,これからもいないだろう。

● そんなのは人の自然に反する。人はそういう静態には耐えられないものでしょ。もっと動的な,移り変わっていく世界でないと生きられませんよ。
 そういう世界で生きながら,変わらないものに憧れる。わがまま勝手なものですよ。

● だから,ぼくらは誰でも,どこかの時点で,片目を閉じてエイヤッと跳ばなければならない。そうじゃないと人類は滅んでしまうから,ちゃんと跳べるようにできている。いや,跳んでしまうようにできている。
 でもって,こういう映画の世界もいいなぁと思う。そういうものでしょ。

2021年11月21日日曜日

2021.11.19 カジノ・ロワイヤル 1967

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● 「カジノ・ロワイヤル 1967(字幕版)」(1967年)。007シリーズの第1作「ドクター・ノオ」は1962年に公開されているから,この映画はすでに何作か公開されている007シリーズのパロディということになるのだろう。

● ジェームズ・ボンド(デヴィッド・ニーヴン)はすでに職を退いている。しかし,どうしてもボンドの力を借りたいと呼び戻されるところから始まる。
 そこからは次々にドタバタが展開される。女護島もかくやと思わせる女の園に連れ込まれたり,空飛ぶ円盤の中に拉致されたり。
 マネーペニーも若くセクシーな美人。Mが死んでボンドが諜報部トップの座に就く。
 軽妙洒脱なコメディでもあるのだろうが,ぼくにはピンと来ないところもあった。

● 「第三の男」のオーソン・ウェルズが悪役で出演している。「市民ケーン」の監督としても有名なのだろうが,ぼくは見ていない。

2021年11月19日金曜日

2021.11.18 土竜の唄 香港狂騒曲

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● 「土竜の唄 香港狂騒曲」(2016年)。「土竜の唄」第2作。
 底抜けに面白い。宮藤官九郎の脚本の功績が大きいんですかねぇ。

● 今回の初出場組では古田新太が重要な役どころ(破門されたヤクザ)なんだけれども,凄かったのは菜々緒。
 ここまでやらせるのかと思ったし,ここまでやるのが女優なのかとも思った。全裸になるより恥ずかしいのじゃないかと思うんだが。

● まぁ,それを言うなら仲 里依紗もそうだし,だいぶ濃度は薄まるんだけども本田翼もそうだ。女優陣にここまでやらせることで成立している映画でもある。
 生田斗真もすごい。さすがにスタントも使っていたはずだけど。

● 明日公開される「土竜の唄 FINAL」にも菜々緒は出演しているし,第1作で存在感を放った岡村隆史も出るようだ。ということでどうしようか。映画館に見に行くか,Amazonプライムに下りてくるのを待つか。
 主題歌は関ジャニ∞「NOROSHI」。

2021年11月18日木曜日

2021.11.17 土竜の唄 潜入捜査官REIJI

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● 「土竜の唄 潜入捜査官REIJI」(2014年)。原作は高橋のぼるの漫画。監督は三池崇史,脚本は宮藤官九郎。
 2年後に「土竜の唄 香港狂騒曲」が公開された。3作目の「土竜の唄FINAL」が明後日,公開になるっぽい。

● 主演は生田斗真。彼が演じる菊川玲二はダメ警官という設定なのだが,肝は太いし,度胸はあるし,喧嘩も強い。その玲二が暴力団の潜入捜査を命じられ・・・・・・。
 そこから先は徹底的にドタバタ。テンション高く進行するエンタメ映画。

● そのテンションの高さを,元ヤンキー風貌(11歳でジャニーズ事務所に入っているのだから,ヤンキーをやってる暇もなかったろうが)の生田斗真が体当たり熱演。脇を堤真一,山田孝之,仲 里依紗,遠藤憲一,岡村隆史らが固めている。
 主題歌は関ジャニ∞「キング オブ 男!」。

2021年11月17日水曜日

2021.11.16 この道

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● 「この道」(2019年)。北原白秋(大森南朋)と山田耕筰(EXILE AKIRA)の交流を描いたもの。「1918年に文学者の鈴木三重吉が児童雑誌「赤い鳥」を刊行して100周年になるのを記念して製作された映画」であるらしい。

● 北原白秋や山田耕筰がこの映画で描かれているような人物だったのかどうかはわからない。っていうか,おそらく違うと思う。
 それではまったくの単純バカということになってしまう。この映画の北原白秋や山田耕筰は,中学生で発達年齢が止まってしまった薄っぺらな人間だ。それとも,天才というのは単純バカなんだろうか。

● 北原白秋が死ぬ前に,山田耕筰が陸軍の軍服を着て見舞いに来る。で,軍歌しか作れなくなったのを嘆き,いずれまた2人で歌曲を作れる時期が来るというシーンがあるのだが,これも史実なのかどうか。
 つまり,軍部=悪 というのは戦後にできた見方であって(つまり,GHQの情報戦が功を奏した結果であって),戦時中に軍歌しか作れないことを嘆いた詩人や音楽家がいたとは少々考えづらい。
 むしろ,軍歌を作ることに前のめりになっていたのじゃないか。前のめりになってたとまで言うと言い過ぎかもしれないが,意に沿わないけれども軍部には逆らえないからしょうことなしにやっていた,というのは違うと思う。

● この戦争は負ける,自分は欧州にいて欧州を知っている,あんな国と戦争して日本が勝てるわけがない,と山田耕筰が言うシーンもあるのだが,これも同じ。
 そのシーンは,もちろん,映画製作側が挿入したもので,山田耕筰が本当にそう言ったのかどうかなど,知る人は1人もいない。戦後になってから,自分は負けると思っていたと言いだす人はあまた現れたわけだが,さて本当にそうだったのかとなると,どうなんだろうか。

● 複雑性において戦争よりはるかに低いと思われる今回のコロナ禍についても,いわゆる専門家は印象論で語ることしかできなかった。コロナの先行きを過たず予測できた専門家はいない。
 今はネットで発言するから,アーカイブが残ってしまう。必ず検証される。それを知ってか知らずか,自己顕示欲だけでテキトーなことを喋り散らした専門家は,現在は軒並み黙っている。が,コロナ収束後に,じつは自分はと言いだす連中でもあるだろう。
 まして,戦争の先行きを過たず予測できた人が文学者や音楽家の中にどれだけいるか。あれは無謀な戦争だったというのは,歴史が確定した後に,後世の人間が半ば上から目線で言うことだ。渦中にいると見えるものも見えなくなる。

● 特筆すべきは貫地谷しほり。白秋の3人めの妻の菊子を演じているのだが,唯一,リアリティのある登場人物になっていた。
 主題歌は当然,「この道」(作詩:北原白秋/作曲:山田耕筰)。EXILE ATSUSHI が歌っている。

2021年11月16日火曜日

2021.11.15 mellow

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● 「mellow」(2020年)。主演は田中圭。他に,岡崎紗絵,志田彩良ら。
 岡崎紗絵って,「午前0時,キスしに来てよ」で橋本環奈が演じる花澤日奈々の友人役を演じていた人だ。主役級がちゃんと務まる女優さんだ。
 志田彩良も闊達な役が似合う。

● ほのぼのとした癒やしの映画。悪人は出てこない。いい人ばっかり。現実逃避するのにちょうどいい映画化もしれないと思った。

● 田中圭が演じる夏目誠一は男おとこした男じゃなくて,両性具有的に描かれている。花屋をやっているくらいだからね。
 ひと頃,そういう男性がもてはやされたことがあって(とぼくは記憶しているのだが),もっとこの種の男性が幅を利かすことになるだろうと思っていた。販売とか接客とか,ダイレクトに人と接する仕事をする男性は,そういうタイプばかりになってもおかしくないな,と。

● ところが,そうはならなかった。そうそう増えるものではないよということなのだが,何だかそれが不思議なことのようにも思える。

2021.11.14 ブラック・ジャック <オリジナルアニメ>

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● 「ブラック・ジャック <オリジナルアニメ>」(2000年)。わずか10分間の短いアニメ。

● 「お金にがめつくて,嫁に対して口を開けば「お金をちょうだい」と小遣いをせびってばかりいる老婆。そんなおばあちゃんに息子夫婦はうんざり…。ひょんなことからこの一家と知り合ったブラック・ジャックは,やがてこのおばあちゃんが瀕死の重病にかかった幼い息子を救うため,大金を要求する名医に治療してもらった過去がある,と知る」というストーリー。
 1,200万円で息子を治療して治してもらった。その代金をずっと払い続けていた。最後の支払いをしたあとに,母親が脳梗塞で倒れる。すべてを知った息子が,ブラック・ジャックに治療を依頼する。
 ブラック・ジャックは1億円払えるなら請け負うと応じる。息子は一生かかっても払いますから母を助けて下さいと答える。ここでアニメは終わる。

● ブラック・ジャックが1億円を払わせることはないと分かるようになっているのだけれども,それはそれとして,子供が親のために自分の人生を犠牲にするようなことがあってはならないと思う。親が子供のために大金をかけるのはいい。が,逆はダメだ。
 そんなにまでする必要はないというのではない。してはいけないのだ。

● かなりデリケートな問題ではあると思うのだけれども,子供が親の介護のために自分の人生を捨てなければならないのは,決定的に何かがおかしい。
 子供にそうさせる親は,長生きのしすぎだ。そうなる前に死に時があったはずなのだ。それを逃してしまった。過ぎたるは及ばざるに劣る。人の寿命も同じ。

● といって,そこを自分でコントロールできるものかどうか。未体験ゾーンになるので,何ともわからないのだが。
 死ぬべき病気を治してしまってはいけない。死に時は確実に捕まえて,きちんと死ぬ。そうありたいものだ。

2021年11月13日土曜日

2021.11.13 幕間 名画座と呼ばれる映画館がかつてはあった

● 宇都宮市立東図書館で催行される「20世紀名画座」と「日本映画劇場」にはけっこう出かけて見たものだ。
 老人会が出張してきたのかと思うほど,爺さんと婆さんしか集まらないのだが,自分ひとりではなく大勢で同じ映画を見るというのは,映画の見方として相応しいとも思っていた。
 現在の映画館に比べればささやかではあるけれども,一応,大きなスクリーンで見ることができる。

● と,過去形で書いているが,今でも実施されている。昨年からコロナ禍のためにずっと中止が続いていたが,最近,復活したらしい。
 が,ぼくは復帰していない。Amazonプライムで見るようにしたからだ。自由度が甚だしく違う。Amazonプライムなら自宅で,見たい映画を,見たいときに,見ることができる。途中で画面をとめて,休憩を入れながら見ることができる。
 移動コスト(電車賃と時間)がかからない。前の人の頭が邪魔になることもない。

● 「日本映画劇場」で上映する日本の古い映画はAmazonプライムにないものがけっこうありそうなのだが,「20世紀名画座」の方はほぼAmazonプライムで見ることができる。
 ぼくはノートパソコンの画面で見ているので,視聴環境は貧弱なのだが(それでも14インチ画面),昔の映画館を知っている者にとっては耐え難いほどに貧弱ということではない。音響もしかりだ。

● 昭和の御代には名画座というものがあった。普通の映画館よりも安い値段で,たいていは3本立て入れ替えなしで,往年の映画を上映していた。
 その頃,映画は斜陽と言われていたが,シネコンの登場で,映画界も活気を取り戻したように見受けられる。環境は画期的に快適なものになった。一回ごとに完全入れ替えだから,映画館を仮眠室の代わりに使う人もいなくなった。映画を見るための施設としては純化されたし,健全化されたと言ってもいいかもしれない。

● が,名画座はこれでとどめを刺されたように思う。2本立て,3本立てがなくなったこと。二度繰り返して見ることもできなくなったこと。
 名画座に行く人というのはある種のオタク気質があったように思う。自分に無茶振りをする。その無茶振りが許されなくなったとあっては,足は遠のく。
 まぁ,しかし,昭和も50年代に入ると,名画座の多くは赤字だったのではないかと思う。観客はだいぶ少なくなっていたのではなかったか。

● ビデオ再生装置が家庭に普及しだすのは昭和55年頃だったと記憶する。テレビにつなぐことによって家庭で映画を見ることができるようになった。VHSビデオテープのレンタルショップも生まれた。シネコンの登場前から名画座は風前の灯だったわけだ。
 現在ではデジタル化されて,著作権が切れたDVDが安く手に入る。名画座にかかっていたような映画のDVDは公共図書館にもある。パソコンがあればタダで見ることができるようになっている。

● そこに来て,Amazonプライムのような定額制の配信サービスが登場したとあっては,公共機関の上映サービスもいつまで続くかわからない。
 現時点では年寄りたちが集まってきてくれるが,これから年寄りになる人はパソコンもスマホも普通に使える。年寄りもネットに違和感がない人たちばかりになる。

● 名画座という箱はなくなっても,往年の映画を見るためのアクセスは格段に良くなっている。時に名画座がなくなったことを嘆く人がいるのだが,名画座はなくなっても名画を視聴する環境はかえって向上している。
 ここをクサすとすれば,パソコンの小さな画面で見ても見たことにはならないよ,という言い方を持ってくるしかないだろう。それは半ばは正しいかもしれないのだが,今のパソコンをなめるなよという反論もまた,充分に可能だろう。

2021.11.12 孤独のグルメ

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● 三浦展『下町はなぜ人を惹きつけるのか?』(光文社新書)にこんな一文があった。
 今でも,門前仲町で有名な居酒屋に行くと,「おきゃん」とはこういう感じかという女性が切り盛りしている。テレビドラマ『孤独のグルメ』にもその店が出てきて,女性役を浅野温子が演じていたが,口調も身のこなしも本物そっくりだった。(p141)
● おきゃん? よく聞く言葉だが,わかったようでよくわからないところがある。それでは浅野温子が出る回の『孤独のグルメ』をぼくも見てみよう。
 と思って,Amazonプライムビデオのトップ画面で,“孤独のグルメ 門前仲町” で検索してみたら,トップのトップが門前仲町だった。シーズン1(2012年)の第1話が「江東区 門前仲町のやきとりと焼きめし」。

● で,それを見てみたんだけども,浅野温子が出るやつじゃなかった。“孤独のグルメ 浅野温子” で検索してもそれらしきものはひっかからない。
 「孤独のグルメ」を片っ端からチェックしてみたんだけど,結局,浅野温子が出ているのは見つからず。ゆえに,おきゃんとはどういうものかも確認できなかった。

● まぁ,でもね,門前仲町,良さげな酒場が並んでますなぁ。ぼくが良さげと感じるのは,昭和チックということでもあるんですけどね。
 チェーンではない小体な酒場ってなると,だいたい昭和チックになりませんか。ゆったりとは真逆の,ぎゅうぎゅうに詰めて座り,隣の人と肘と肘がぶつかるような感じの。

● はい,それから約2時間後。Amazonプライムビデオのトップ画面ではなくて,Googleの検索窓から “孤独のグルメ 浅野温子” で検索してみた。ら。シーズン5(2015年)が表示されまして。
 その第2話が「江東区清澄白河のポパイベーコンとサンマクンセイ刺」となっていて,ひょっとしてこれかと思いつつ見てみたら,これがアタリでございました。門前仲町ではなくて清澄白河だったんですなぁ。

● 浅野温子が見事にお客を捌いておりました。なるほど,こういうのをおきゃんというのか。とすると,女性のかなり多くがおきゃん成分を持っているねぇ。
 宇都宮の居酒屋でもこんな感じの店員さんを見たことがあるような気がする。が,見なかったような気もする。

● この映画(じゃない,これはテレビ東京で放送されたものだが)に出てくるお客さんには女性も多い。それが美人揃い。女優さんが演じているんだから当然っちゃ当然なんだが,こんな居酒屋があったら,そりゃあ日参するでしょうなぁ。

2021年11月11日木曜日

2021.11.11 新宝島

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● 「新宝島」(1965年)は虫プロダクション制作の単発テレビアニメ。フジテレビ系列で放送された。ウィキペディア教授に教えてもらった。
 この時期,まだカラーにはなっていない。カラー放送自体は始まっていたはずだが,カラーに対応している受信機が少なかったんだろうか。

● 原作は手塚治虫の同名漫画ではなく,スチーブンソンの小説『宝島』。といっても,忠実に映像化しているわけではない。
 善人側だった人(?)たちも最後は宝にあてられて正気を失ってしまうのに,悪党の首領が唯一,そうなることを免れたという話。

● 声優は当時の粋を集めて綺羅星の如し。
 海賊シルバー(狼)が加藤武,ジム少年(ウサギ)が田上和枝,船長(熊)が若山弦蔵,トリローニ(豚)が藤岡琢也,ピュー(山猫)が熊倉一雄。

● この頃,日本は二重構造が色濃く残っていた。都市と田舎の生活格差や商工業と農業・大企業と中小企業の所得格差が存在していた。今とは違う。
 都市部ではテレビの普及は終えていたかも知れないが,田舎では急速に普及している最中だったか。後半戦に入っていたとは思うが。

● 14型とか18型という言葉があった。14インチのブラウン管テレビをテレビ台の上に置いて,家族全員で見ていたのだ。近所の人が来ることもあった。こちらが近所の家まで見に言ったこともある。
 近くで見ると目に悪いから,2メートル以上離れて見なさいと言われたものだ。
 爺婆は相撲を見たがり,子供はアニメやヒーロードラマを見たがって,両者がマジでチャンネル争いをしたのだ。

● 14インチ画面のノートパソコンで見ながら(画面の解像度は当時とは比較にならない),そうしたことを思いだした。ノスタルジアに誘われた。
 もちろん,あの時代が良かったとは1mmも思わないが,こうしたアニメを夢中になって見ていたのは間違いない。それが幸せな時間だったことも間違いない。

2021.11.11 映画 みんな!エスパーだよ!

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● 「映画 みんな!エスパーだよ!」(2015年)。原作は若杉公徳の漫画「みんな!エスパーだよ!」。
 わざわざタイトルに “映画” と入れているのは,TVドラマ版もあったからだと思う。

● 原作は「日本の地方の男子高校生を主人公とするコメディ漫画とされるが,超能力の危険性を描いたSF漫画でもある」らしいのだが,映画の方はSF臭は限りなく小さくて,もっぱらコメディ色に染まっている。

● しかも,エロティックコメディ。平成版「ハレンチ学園」とでもいうか。
 「悪のエスパーによる人類滅亡の序章【世界エロ化計画】が始まる」というんだからね。悪のエスパーを応援したくなるくらいものなんだけどね。C級娯楽映画と言っていいんでしょうねぇ。

● 主演は染谷将太。あと,池田エライザと真野恵里菜。脇を高橋メアリージュンや安田顕らが固める。
 池田エライザはひょっとして,これがデビュー作になるんだろうか。今の池田エライザはこんなシーンは撮らせてくれないかもよ。いや,撮らせるかな。そこは女優だから。

2021年11月10日水曜日

2021.11.09 Inside My Borders

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● 「Inside My Borders」(2020年)。
 「世界を揺るがしたCovidのパンデミックは,多くの人々の旅行方法にも影響を及ぼし,海外への旅行や目的地の発見の可能性を制限しています。しかし,これは,イタリアの場所を訪問する機会を得たミケーレ・サンナにとっては問題ではありませんでした」というのが紹介文。

● イタリア南部の自然の中を自転車で走って,映像を紹介するというもの。
 Michele Sanna が1人で撮影しているんだろうか。自身が出発するところや坂道を下っていくシーンもあるのだが,予め機材を設置したうえで走って映し,カメラの視野を抜けたところで引き返して,機材を回収する。そういう撮り方をしているんだろうか。それとも撮影スタッフが動向しているんだろうか。

● ぼくらは水田に代表される水っぽい風景を好む民族じゃないかと思っているのだが,彼らは乾いたところが好きなようだ。
 なぜなのか。乾いたところで生まれ育ったからだと考えるほかはない。彼らにとって世界とはそういうものだろう。

● 登場人物は厳密には Michele Sanna のみではないのだが,事実上,旅行者であり語り手である彼しか出てこない。彼がイタリア語で喋り,画面に英語の字幕が出る。
 したがって,正確な意味はわからないのだが,基本,それで支障はない。自然を愛でる動画であって,起承転結のストーリーがあるわけではないし,人対人の会話があるわけでもない。
 Michele Sanna の独白だけなので,画面の景色を見ていれば,こんなことを言っているのだろうと想像がつく。その想像で困るところは何もない。

2021年11月9日火曜日

2021.11.08 蚤とり侍

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● 「
とり侍」(2018年)。原作は松重男の同名の小説短編集。
 主役は阿部寛。豊川悦司,斎藤工,寺島しのぶ,風間杜夫,大竹しのぶ,松重豊,前田敦子らが脇を固めている。

● 主人公の寛之進が,理不尽な理由で “猫ののみとり” を行う江戸の貧乏長屋に左遷されてしまう。そこから話が始まるのだが,“猫ののみとり” とは「表向きは飼い猫の蚤除けで日銭を稼ぐが,女性客の求めがあれば売春も行う,江戸時代に実在した裏稼業であった」。江戸期のホスト業のようなものか。
 空想の産物ではなく,江戸期に実際にあった職業らしい。そこに眼を付けたところで,勝ちが約束されたようなものではないか。面白くならないはずがない。

● 「生真面目なエリート侍が,様々な出会いを通じて新たな生き甲斐を見つけていく様をユーモラスに描いた時代劇コメディ」。
 たとえば,豊川悦司の清兵衛が前田敦子の妻から,股間にうどん粉を塗りつけられるという場面がある。浮気封じのためなのだが,当然,うどん粉なんてどこにもあるわけで。しかし,敵は一枚上手だったという。
 そうした小道具を散りばめてあるので,それらも楽しみながら2時間弱を過ごすことができる。

2021年11月7日日曜日

2021.11.06 ラブ・クレイジー セックスだけの関係

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● 「ラブ・クレイジー セックスだけの関係(字幕版)」(2020年 アメリカ)。
 「裕福な女性2人が失業中の男性2人を自宅のプールハウスに滞在させる代わりに,彼女たちへの性の奉仕を提案」して始まる。これにタイトルを加味すると,どんだけエロい映画なんだろうと期待に胸を膨らませることになるだろうが,じつはコミカルな純愛映画といっていい内容。
 ベッドシーンはあるんだけれども,どぎつい描写はない。オッパイの露出すらない。

● ジョー(ヨハン・アーブ)とスタニー(スティーヴィー・ロング)が仕事を首になった失業者の2人組。アン(クリステン・カー)とドナ(アンバー・ベンソン)が裕福な女性の2人組。
 ジョーとアン,スタニーとドナが恋仲になって・・・・・・という展開。ほとんど,この4人芝居で進行する。

● 小体なという言い方があるが,その小体な感じがする。洒落ている。
 ラストの後味もいい。スタニーがいいところを拐っていったという感じですかね。

2021年11月6日土曜日

2021.11.06 ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス

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● 「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス(字幕版)」(2017年 アメリカ)。Amazonプライムでは,次のように紹介している。
≪世界最大級の〈知の殿堂〉ニューヨーク公共図書館の知られざる舞台裏を描いた,劇場大ヒットの話題作!≫
世界中の図書館員の憧れの的であり,NY有数の観光スポット。本作の主役は,荘厳な19世紀初頭のボザール様式の建築で知られる本館と92の分館からなる世界最大級の〈知の殿堂〉ニューヨーク公共図書館だ。文学,芸術などの分野でも多くの人材を育て,またNY市民の生活に密着した敷居の低い図書館。その活動は,我々の固定観念を打ち壊す。映画には,リチャード・ドーキンス博士,エルヴィス・コステロやパティ・スミスなど著名人も多数登場するが,カメラは図書館の内側の,観光客は決して立ち入れないSTAFF ONLYの舞台裏を見せていく。司書やボランティアの姿,幹部たちの会議…ここでしか見られない図書館の姿は必見!!
● 写真のような壮麗な図書館の内部を紹介していくのではない。この図書館で開催されるセミナーやワークショップ,講演会,音楽会,さらには図書館側の運営会議の様子が坦々と映される。
 それが3時間25分も続くのだ。その中にはたしかにリチャード・ドーキンスなどの著名人が登場するのだけれども,格調が高すぎるというのか,べダンチックが勝ちすぎるというのか。

● 坦々と続くセミナーやワークショップの様子を3時間以上も見続けるのは,かなりの苦行だった。というか,あと1時間というところでついに匙を投げた。もういいやと思ってしまった。
 図書館の周辺を映してくれているだろうから,まだ行ったことのないニューヨークにいる気分を味わえるかもしれないとの期待は,叶えられなかった。ニューヨークの街並が映ることがなくはないのだけれども,ほんの少し。
 
● ただ,今さらながらに知ったこともある。図書館には膨大な本が集積されているわけだが,図書館が提供するのは読書の喜びではないということだ。
 では何を提供するのか。調べるための手段を提供する。図書館の本義は市民が何ごとかを調べたいというときに,それを手助けすることにある。そのために図書館というシステムはある。

● 利用者が使っているノートパソコンは図書館のものではなくて,利用者が個人のものを持ち込んでいるのだろうが,Macばかりが映っていた。図書館スタッフが会議中に開いているパソコンもMac。たまぁにDELLが映ることもあったけどね。
 図書館が備えているパソコンもMacなんだろうか。ひょっとすると,民主党支持者と共和党支持者ではMacの使用者比率が違ったりするのかね。民主党支持者はMacを好むんだろうかね。つまり,Macユーザーにはリベラルが多いんだろうか。

2021年11月5日金曜日

2021.11.05 居眠り磐音

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● 「居眠り磐音」(2019年)。Amazonプライムで見られるのは今日まで。といっても,じきにプライム対象に戻るだろうけど。

● 主人公の坂崎磐音(松坂桃李)は,「故郷・豊後関前藩で起きた,ある哀しい事件により,2人の幼馴染を失い,祝言を間近に控えた許嫁の奈緒を残して脱藩」ということになるのだが,その哀しい事件の初発というのがとにもかくにもバカバカしい。こんなバカはいないだろうというバカが事件を引き起こす。
 まぁ,それがないと話が始まらないのだが,ここの設定だけはどうにかならなかったのか。原作は小説だから,つまり文字で表現するから,バカバカしさを消すこともできようが,映像でこれはなぁ。
 原作を外れてでも,もう少しリアリティをまとわせて欲しかったかな。リアリティというか,それはありかもねと思えるキッカケを拵えて欲しかった。

● けれども,その後は面白かった。おこんの木村文乃,金兵衛(おこんの父親)の中村梅雀,阿波屋有楽斎の柄本明など,芸達者が脇を固めるのだが,高尾太夫の中村ゆりがどういうわけだか,見終えた後もチラチラ残っている。
 続編を見たい。坂崎磐音をシリーズものの剣豪に仕立てるのは難しいですかなぁ。刀をダランと下げた構えではインパクトに欠けますかねぇ。

2021.11.04 ロンドン・エディンバラ・ロンドン

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● 「ロンドン・エディンバラ・ロンドン(字幕版)」(2020年 イギリス)。これは何かというと,ロンドンからエディンバラまで自転車で往復するという,ブルベだね,1400kmブルベ。
 そのドキュメンタリーだ。したがって登場人物はブルベに参加した人たちだ。

● 寝るところと食べるところを主催者側が提供している。食べるのなんか上げ膳据え膳だ。こんな至れり尽くせりのブルベがあったのかと思った。
 それとも,コースと開催時期の関係で,主催者がそこまでのサービスを提供しないと競技が成立しないような過酷な条件があるんだろうか。

 このブルベがいかに過酷なもので,参加者はどのようにして最後まで頑張り抜いたかという,感動物語にしたいようだ。
 参加者もいかに大変かを語ってやまない。困難なことに挑戦している稀有なチャレンジャーなのだ,自分は。と,自分で自分に酔ってしまっている人もけっこういるようなのだが,あれは撮影側からの要請なんだろうか。
 寝るところを提供してもらっていながら,他の人の鼾がうるさくて眠れなかったと曰ってしまう,サイクリストの風上にも置けない参加者もいる。文句があるなら外で寝ろと思ってしまった(外では寝させてもらえないのかもしれないけど)。

● 「5日間の忍耐と試練の旅」とあるので,1400kmを宿泊・食事付きで5日間で走ればいいわけだ。単純計算で1日280km。
 この程度なら,スラッとやってのける人が日本国内にもかなりの数,いるんじゃないか。もちろん,ぼくはできないけど。

● どんな自転車で参加しているのかも興味があった。日本で言うロードバイクっていうのは,イギリスでは少ないんだろうか。けっこう太いタイヤを履いている。
 ハンドルもドロップは少なくて,フラットに近いのが多い。ブルホーンバー装着がデフォルトなんだろうか。
 過半の自転車が泥除けを付けていた。シングルギアの人もいた。リカンベントも。ミニベロは1回だけ映った。

2021年11月3日水曜日

2021.11.02 千夜一夜物語

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● 「千夜一夜物語」(1969年)。虫プロダクション製作の劇場用アニメ。ウィキペディア教授は「日本初の大人のためのアニメーション映画」と言っている。
 この時代としては,前衛的と言ってもいいような映像。たぶん18禁ではなかったのだと思うが,SEXシーンも含めて,官能的な描写がふんだんにある。抽象的な表現が多いのだが。
 でもって,その描写に惚れ惚れするというかな。この時代にここまでのアニメを作れていたんですねぇ。

● 声優陣も綺羅星のごとくだ。青島幸男,芥川比呂志,岸田今日子,小池朝雄,橋爪功,三谷昇,加藤治子ら。青島幸男の上手さが知れる。
 冒頭に女奴隷市のシーンが有る。女奴隷を競りにかけるわけだが,そのシーンの野次馬の声を,遠藤周作,吉行淳之介,北杜夫,小松左京,筒井康隆が担当していたらしい。これまた綺羅星のごとくだ。
 その場面だけ見直してみたのだが,誰がどの声なのかは当然ながらわからない。

● 主人公のアルディンはかなり身勝手な青年だ。快楽追求派で,惚れて連れだしたミリアムが死んでも,振り返ることはしない。マーディアを利用するだけ利用して,彼女を捨てて女護ヶ島の快楽を取る。そのマーディアはそれでもアルディンを忘れずに,15年後も彼を守る働きをする。
 イプセンの「ペール・ギュント」を連想させるところがあるが,アルディンの性格を造形するうえで「ペール・ギュント」も参考にしているのだろうか。

● 興行的にも成功したが,それでも虫プロの収支は赤字だったようだ。制作費を湯水のごとく使ったから。ともあれ,本作の成功で次の「クレオパトラ」につながっていく。
 それらもAmazonプライムで見ることができるんだろうか。なら,見ていこうと思うのだが。