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テーマはラーメン道に邁進する人たちを映像に載せること。主には松戸の「中華蕎麦とみ田」の店主である「富田治への1年以上におよぶ密着取材を中心に」,いくつかの人気ラーメン店の店主のインタビューを加えている。
● 富田さんは「ラーメンほど熱狂的な信者のいる食べものはない。そのラーメンバカたちを魅了するには,作り手もそれ以上のラーメンバカ(ヘッズ)じゃないといけない」と語る。
高校生の頃はけっこうなツッパリをやっていたようなのだが,「大勝軒」の山岸一雄に出会って,山岸に魅せられ,直ちに弟子入りしてラーメン道に踏み入れたという。
ツッパリをしていた高校生の頃はどうだったのか知らないけれど,現在の富田さんは酒も煙草もやらない。もちろん,休日にはラーメンを食べ歩く。家族で「東池袋大勝軒」に出向く様子が映画にも収められている。「ラーメン二郎」も好きらしい。
● ラーメンは芸術だとか,ラーメンは自分の表現だと語る店主もいる。細部へのこだわりを維持できるかどうかが,ラーメン道を極めるために必要な1番目の資質になるのかもしれない。細部にこだわれないようでは,そもそも土俵に立てない。
決して楽な仕事ではない。麺を茹でるのでも,茹で時間をはじめ,ゆるがせにできなことがいくつもある。気を張っていなければならない。
腹がくちればいい,極端に不味くなければそれでいい,という人間には想像できないことがたくさんあるに違いない。
● あまたあるラーメン店の中で,ここまでやっているところは少ないだろう。最低賃金に近い賃金しか払わずにバイトを雇って,ほとんどバイトだけで回している店もあると思う。
その場合,賃金以外の報酬を与えうる店主であればいいけれども,そういう店主も少ないだろうから,できては消えるを繰り返すことになる。競争激甚なレッドオーシャンだからなでもあるわけだが。
● 「大勝軒」で修行した人が暖簾を分けてもらって店を出す。そういう「大勝軒」に行ったことが3回あるが,正直,3回とも富士そばの醤油ラーメンの方が旨いと思った。
東京駅前,KITTE地階に「松戸富田麺絆」がある。「中華蕎麦とみ田」で修行した富田さんの弟子が出した店だろうか。あるいは「中華蕎麦とみ田」の直営なんだろうか。ここははっきり旨い。だから,混んでいる。