2021年12月30日木曜日

2021.12.29 Jam Films S

Amazonプライムビデオ

● 「個性派や実力派の監督たちが結集し,それぞれ独自の手法で短編を手掛ける斬新なコンピレーション・オムニバス・フィルムの第3弾」というわけなのだが,第2弾の「Jam Films 2」は昨日でAmazonプライムの対象から外れたらしい。
 あらま,残念。いずれまた戻ってくるだろうけど。

● 2005年の公開。16年前だ。俳優陣はみんな若い。次の7作品。
 1 Tuesday
 監督:薗田賢次
 出演:ZEEBRA,岩堀せり,金井勇太

 2 HEAVEN SENT
 監督:高津隆一
 出演:遠藤憲一,乙葉

 3 ブラウス
 監督:石川均
 出演:小雪,大杉漣

 4 NEW HORIZON
 監督:手島領
 出演:綾瀬はるか

 5 すべり台
 監督:阿部雄一
 出演:石原さとみ,柄本時生,山崎まさよし

 6 α
 監督:原田大三郎
 出演:内山理名,スネオヘアー

 7 スーツ -suit-
 監督:浜本正機
 出演:藤木直人,小西真奈美

● やはり,どれもかなり面白い。「ブラウス」が不気味というか,“魔性の女” 的な演出。クリーニング店の店主は店を閉めて,これからどうなるのか。
 「Tuesday」はうまく騙しやがったなとなる。最初に離婚届が映されるので,奥さんはもう出て行って,ひとりでマンションのこの部屋に住んでいるのか,と思うのだが・・・・・・。
 それ以外の5篇もそれぞれに面白い。「Jam Films 2」を見損ねたのがかなり残念。もっと早くに気づいていれば。

2021年12月29日水曜日

2021.12.28 Jam Films

Amazonプライムビデオ

● 「Jam Films」(2002年)は「ショートフィルムを集めた日本映画のオムニバス」で,「Jam Films 2」(2004年),「Jam Films S」(2005年)の3本が公開されており,いずれAmazonプライムで見ることができる。
 ただし,とりあえず今年いっぱいでプライム対象から外れる。

● 関連作品に「female」(2005年)があるらしいのだが,こちらはAmazonプライムでは見れないっぽい。

● 次の7作品で構成される。
 1 the messenger -弔いは夜の果てで-
 監督:北村龍平
 出演:魚谷佳苗,北村一輝,坂口拓

 2 けん玉
 監督:篠原哲雄
 出演:山崎まさよし,篠原涼子,山田幸伸,氏家恵,あがた森魚

 3 コールドスリープ
 監督:飯田譲治
 出演:大沢たかお,角田ともみ,筒井康隆

 4 Pandora -Hong Kong Leg-
 監督:望月六郎
 出演:吉本多香美,篠原さとし,麿赤兒

 5 HIJIKI
 監督:堤幸彦
 出演:佐々木蔵之介,秋山菜津子,氏家恵,高橋愛

 6 JUSTICE
 監督:行定勲
 出演:妻夫木聡,綾瀬はるか,クリスチャン・ストームズ,新井浩文

 7 ARITA
 監督:岩井俊二
 出演:広末涼子

● どれも不思議に面白い。映画ってこれでいいのか,とも思った。
 普通の映画が交響曲だとすれば,こういうショートストリーは室内楽のようなものか。だとすると,これはこれであって,普通の映画と比べるものではない。交響曲と室内楽曲が比べるものではないのと同じことだ。

2021年12月28日火曜日

2021.12.27 えんとつ町のプペル

Amazonプライムビデオ

● 観客動員170万人,興収24億円。大ヒットということになるらしい。
 らしい,と突き放した言い方をしたけれども,公開されたのは去年の今頃,12月25日だ。この時点では緊急事態宣言もマンボウも出ていなかったけれども,けっこう陰鬱な空気だったと記憶する。東京では2週間後の2021年1月8日に緊急事態宣言が出た。
 映画館はモロに影響を受けた。それでも170万人も入ったわけだ。

● 一方で,吉本絡みの話題性もあった。吉本興業 vs 西野亮廣 という構図というかね。
 配給に吉本興業の名が上がっているが,残念ながら吉本興業に明日はない。テレビが大衆から見放されてしまった以上,テレビ番組に所属のタレントや芸人を押し込むのが仕事だった芸能事務所は存在意義を失う。
 吉本の闇営業騒ぎもそこから来ている。吉本が仕事を取って来れなくなったから,芸人が自分で仕事を取って来ようとしたのがそもそもの発端ではないのか。
 吉本興業 vs 西野亮廣 でいえば,勝敗の帰趨はハッキリしている。力のある芸人から吉本を見限って辞めていく。

● 堀江貴文さんなんかは,めっちゃ感動したとTwitterに上げていた。逆に,何これという人もいた。
 ぼくはといえば,映画館に見に行こうとまでは思っていなかった。Amazonプライムで見れるようになったら見ようかな,というくらい。傍観者的でしたよ。

● で,Amazonプライムで見られるようになったので,見たわけだ。正直,これ,そんなに騒ぐほどの映画だったろうか,という印象。
 感動もしかなったし,泣きも笑いもしなかった。映像のきれいさは感じたけれども,これに関しては「君の名は。」を見てしまっているからねぇ。

● ルビッチの声が芦田愛菜であることに,クレジットを見るまで気づかなかった。母親のローラが小池栄子であることも。スコップが藤森慎吾なのはすぐにわかったけど。

2021年12月24日金曜日

2021.12.24 セブン・チャンス(活弁入り)

Amazonプライムビデオ

● 「セブン・チャンス(活弁入り)」(1992年)。世界の三大喜劇俳優といえば,チャールズ・チャップリン,ハロルド・ロイド,そしてバスター・キートン。そのキートンの映画もAmazonプライムで見られるのだね。
 澤登翠の活弁を入れたのが1992年であって,元々の無声映画「キートンのセブン・チャンス」が出たのは1925年。1世紀前だ。

● 今日の午後7時までに結婚できれば遺産700万ドルが転がり込んでくる。あと1時間。何とか結婚しなきゃ。
 というところから始まるドタバタ。この1時間はとてつもなく長い。つまり,いろんなことが次々に起こる。
 しかし,実写時間とおおよそ合っているんだよね。リアルタム進行というかね。

● この時代としては大掛かりと言っていいんだろうか。「花嫁候補の大群に追われたキートンが野を駆け,山越え,谷を跳び,岩石が落ちる急斜面を逃げ回る」。
 キートンの映画を見たのは初めてなので,Amazonプライムでこういうものまで見られるのかと,ちょっと感激中。

● チャップリンの「モダン・タイムス」なども見れるんですな。日本映画の古いのもある。田中絹代のなんかも何本か見れる。
 Amazonプライムは宝の山だ。死ぬまで退屈することはなさそうだ。ゆっくり見ていくことにしよう。

2021年12月21日火曜日

2021.12.20 はやぶさ/HAYABUSA

Amazonプライムビデオ

● 「はやぶ」(2011年)。小惑星探査機「はやぶさ」の7年間,60億キロに渡る旅を支えた人たちを描く。
 「はやぶさ」が地球に戻ってきて,大気圏に突入し,サンプルが入ったカプセルを切り離して自らは燃え尽きる場面では,ぼくも泣きましたよ。

● 主演とナレーターが竹内結子。他に,西田敏行,髙嶋政宏(珍しく,チンピラ役ではなく),佐野史郎,山本耕史,鶴見辰吾,佐藤二朗,蛭子能収,生瀬勝久ら。
 この竹内結子がいなくなってしまったのか,と。何か不思議な気がするよね。

● 主題歌はfumika「たいせつな光」。

● 映画とは関係ないんだけれども,「はやぶさ」の成果って何だったの? 「はやぶさ」が持ち帰ったサンプルで何がわかったんだろう。劇中でも太陽系の誕生云々と言っていたけれども。
 ということではないらしい。サンプルで何がわかったということではなくて,「小惑星から表面の物質(サンプル)を地球に持ち帰る技術を実証」できたことが成果だということ。そのためのプロジェクトだった。

2021.12.18 ジョゼと虎と魚たち

Amazonプライムビデオ

● 「ジョゼと虎と魚たち」(2003年)。原作は田辺聖子の同名小説。
 田辺作品は「カモカのおっちゃん」シリーズのエッセイ(週刊文春に連載)はあらかた読んでいると思うのだが,小説はあまり読んでいない。この短編小説も読んでいない。
 が,本は買って持っている(かもしれない)。だとすると,30数年間,積読だったことになる。じつは,そういう本が千冊か2千冊か3千冊ほどある。もちろん,もうどうやっても解消することはできない。

● 主演は妻夫木聡と池脇千鶴。20年前の池脇千鶴を見てごらんなさい,ということね。
 他に,上野樹里,江口のりこ,新屋英子,新井浩文。上野樹里はこのとき16歳か。あどけなさを残しているようにも見えるんだけれども,劇中では妻夫木聡と同級生の大学4年生。
 ジョゼ(池脇千鶴)の祖母役の新屋英子の異形ぶりが大迫力。これだけでこの映画を見る価値がある。在日朝鮮人ハルモニ(お婆さん)の一人語り「身世打鈴(シンセタリョン)」を演じること2000回というのは,今,ウィキペディアで知ったこと。

● 妻夫木聡の演技が評価されたようで,最優秀主演男優賞いくつか受賞している。けれども,ぼくが男だからか,どうも池脇千鶴の演技に惹かれちゃう。
 演じやすいのは池脇千鶴で,妻夫木聡の方が立脚点を探す(あるいは作る)のが難しそうではあるんだけど。

● 主題歌はくるり「ハイウェイ」。
 この映画は韓国でも人気になったらしく,韓国でリメイクもされている。韓国版も見てみるか,スルーするか。

2021年12月18日土曜日

2021.12.17 金メダル男

Amazonプライムビデオ

● 「金メダル男」(2016年)。内村光良が脚本・監督。原作も内村の同名小説。2016年4月から6月まで読売新聞夕刊に連載され,単行本が中央公論新社から発売された。
 「2011年に上演された内村の1人舞台『東京オリンピック生まれの男』を映画化したもの」で,主演も内村光良。清野菜名扮するアイドル歌手の北条頼子が歌っていた「私のサンクチュアリ」も内村の作詞作曲。

● 主役・秋田泉一の青年期を演じた知念侑李と,泉一と結婚することになる大人になってからの北条頼子役の木村多江が美味しいところをさらって行った。他に,ムロツヨシ,土屋太鳳,平泉成,宮崎美子,笑福亭鶴瓶。
 チョイ役で,上白石萌歌,大友花恋,温水洋一,高嶋政宏,山崎紘菜(TOHOシネマズに行けば必ず会える人),森川葵,大泉洋,竹中直人,田中直樹,長澤まさみ,柄本時生,ユースケ・サンタマリア,マキタスポーツ。よくこれだけ集めたなという絢爛たる顔ぶれ。

● コメディ。小学生の時に運動会の徒競走で1等賞を取ってから,その幸福感にとりつかれてしまって,そこから抜けられない主人公(秋田泉一)がやらかすハチャメチャ。
 ストーリーではなく,短いシーンの重なりを味わってくれ,という映画。

● 主題歌は桑田佳祐「君への手紙」。

2021年12月17日金曜日

2021.12.16 トワイライト ささらさや

Amazonプライムビデオ

● 「トワイライト ささらさや」(2014年)。原作は加納朋子の同名小説(幻冬舎文庫)。
 主演は新垣結衣と大泉洋。他に,石橋凌,富司純子,波乃久里子,藤田弓子,小松政夫のベテラン陣。福島リラ,中村蒼,つるの剛士。

● 劇中の舞台になった “ささら” という街は,とにかく正一位稲荷大明神の幟だらけのところで,稲荷大明神が何かのアイコンになっているのかと思ってしまうほど。なっていないのだが。
 電車が走っているところなどはジオラマに見えるように撮影している。ロケ地は秩父らしいのだが,秩父だとわかってしまってはまずかったんでしょうかねぇ。架空性というか虚構性というか,どこだかわからない場所なんだぞというのを強調したかったんでしょうけどねぇ。

● 家族,父と子,というのがテーマなんですか。血は水よりも濃いということ。とするとテーマに新味はない。
 そんなことではなくて,たとえば死んでも成仏できない夫が,生身の人間に乗り移って,妻と話をするシーンの面白さを描きたかったんだろうかね。

● 富司純子,波乃久里子,藤田弓子の3人が演じる登場人物がそれぞれ尖っていて,見どころが多い。富司純子のお夏に仕える嫁役の山下容莉枝も。
 主題歌はコブクロ「Twilight」。

2021年12月16日木曜日

2021.12.15 とんかつDJアゲ太郎

Amazonプライムビデオ

● 「とんかつDJアゲ太郎」(2020年)。原作はイーピャオ,小山ゆうじろうの同名漫画。
 主演は北村匠海。共演は伊勢谷友介,山本舞香,伊藤健太郎,池間夏海,ブラザー・トム。

● コロナのため,2020年6月19日の公開予定を4ヶ月ほど延期して,10月30日に公開。
 その間に伊勢谷友介の大麻取締法違反の一件があり,さらに伊藤健太郎のひき逃げの件があって,一般社会に話題を提供することになった。

● ストーリーの展開は原作が漫画だからというわけでもないのだろうけど,かなり漫画チック。そんなに都合よく行くかよ,っていう。しかし映画なんだから,こういう展開も許される。
 栗原類の懸命な演技が印象的。主題歌はブルーノ・マーズ「ラナウェイ・ベイビー」。

2021年12月15日水曜日

2021.12.14 世界遺産のクリスマス 欧州3国・映像と音楽の旅

Amazonプライムビデオ

● ドキュメンタリーというより,観光案内ビデオという感じ。製作は2009年。73分の番組。
 ドイツのリューベック,ブレーメン,クヴェントリンブルク,ドレスデン。チェコのプラハ,チェスキー・クルムロフ。オーストリアのグラーツ,ウィーン。
 以上8都市について,クリスマスマーケットの様子を中心に名所や見どころを紹介する。

● コロナで海外渡航は難しくなっているのだが,難しくなくても海外に行ってみたいという欲求は影を潜めている。加齢に伴う好奇心の摩耗であろうけれども,海外の様子はこうした映像で見るだけでいいやと思っている。
 もちろん,映像ですませるのと実際に現地に赴くのとでは,入ってくる情報量に隔絶した差があるに決まっているが,それでもいいや,と。

● 上記の8つの都市が映し出されるわけだが,ぼくにはどの街も同じに見える。旧市庁舎があって,その前には必ず広場があり,そこでクリスマスマーケットが開かれている。
 バロック,ゴシック,ルネサンスと各様式の塔を持った建物がある(バロックとゴシックでは何が違うのか,ぼくには皆目わからない)。路面電車が走り,人々は石畳の道を歩いている。
 どこも等し並にそうだから,字幕と音声を隠されて,どれがグラーツでどれがドレスデンなのか当ててみろと言われても,当てずっぽうで答えるしかない。

● イルミネーションはクリスマス由来であることがわかりやすく説明される。キリストによってこの世にもたらされた光を象徴するものだ,と。
 イエスの誕生日については聖書には記載がないらしい。冬至の行事と結びつき,1年で最も日が短い日にキリストは光をもたらしたのだ,ということになったそうだ。

2021年12月13日月曜日

2021.12.13 ディア・ドクター

Amazonプライムビデオ

● 「ディア・ドクター」(2009年)。監督・脚本は西川美和。原作も西川美和「きのうの神さま」(ポプラ社)。
 笑福亭鶴瓶の初主演映画であるらしい。他に,瑛太,余貴美子,八千草薫,香川照之,松重豊,笹野高史,井川遥。

● 山あいの小さな村が舞台。那珂川町の大内の風景を思いだした。実際のロケ地は常陸太田市の西河内地区。

● 何が本物で何が偽物か。無資格診療もそうだが,ベテラン看護師の朱美(余貴美子)に医師以上に正確な見立てと,医師以上に的確な措置をさせることで,そのことを考えさせる。
 嘘は方便なのか,それ以上のものになり得るのか。表には出て来ないけれども,父と子の葛藤。
 そういったことがテーマといえばテーマ。しかし,監督はテーマを突きつけたかったわけではないと思う。いや,そうなのか。

● 演技で言えば,余貴美子ですかねぇ,印象に残るのは。香川照之や笹野高史など,芸達者が揃っている中で,地味に迫力があるっていうか。

2021年12月12日日曜日

2021.12.11 風に立つライオン

Amazonプライムビデオ

● 「風に立つライオン」(2015年)。ウィキペディア教授によれば,まず,さだまさしが1987年に発表した楽曲「風に立つライオン」があって,それに感銘を受けた大沢たかおが,「聴けば聴くほど,歌われた人物について知りたくなる。この歌の世界を映像で見たい,できるならば自分で演じたい」と,さだに映画化を視野に入れた小説(原作)の執筆を直談判し制作されたものである由。
 「大沢の依頼に対してさだがなかなか企画を進めなかったため,大沢は自分でアフリカのドキュメンタリーの仕事を引き受け,それをさだに見せることで本気度をアピールした」ようでもある。

● 「2014年11月に長崎県で撮影がクランクインし,その後はケニアのナイロビで撮影を行っ」た。「敢えて南アフリカのように撮りやすい場所を選ぶのを避けて,ケニアロケを敢行」。「ホテルから撮影現場までは護衛が付き,全員が予防接種を受けて撮影に臨んだ」という。

● さだまさしの楽曲は「ケニアで国際医療活動に従事した実在の日本人医師・柴田紘一郎氏をモデルに」したものだが,映画は東日本大震災を絡ませるなど,フィクション仕立てになっている。

● 主演は大沢たかお。共演は石原さとみ,真木よう子,石橋蓮司。
 特に石原さとみでしょ。よく木村拓哉は誰を演じてもキムタクだと言われるが,石原さとみも誰を演じても石原さとみだ。
 が,そんなのはあたりまえであって,そうじゃない人がいるのかと訊きたいくらいだ。その石原さとみが演じるワカコがちゃんとワカコになっているのが演技の妙というものだ。
 石橋蓮司は今年80歳になる。撮影時は72歳か。そうとわかって見ると,若々しいというかカッコいいなと思う。

2021年12月11日土曜日

2021.12.10 火花

Amazonプライムビデオ

● 「火花」(2017年)。原作は又吉直樹の同名小説。芥川賞受賞作品。ぼくは読んでいない。
 菅田将暉と桐谷健太のW主演。主題歌かもこの2人が歌う「浅草キッド」。

● 芽が出ないお笑い芸人の徳永(菅田将暉)は,神谷(桐谷健太)の才能に驚嘆して弟子にしてもらう。が,神谷は落ちる一方で,仕事も徳永の方が多くなり,というありがちな展開。
 「「笑い」に魅せられ,「現実」に阻まれ,「才能」に葛藤しながら,「夢」に向かって全力で生きる二人の10年間の青春物語」。

● 神谷には,しかし食わせてくれる女性が現れて,自己破産しながらも何とかなっていく。っていうか,自己破産するくらいなんだから,メチャクチャではある。
 そうまでして目指すほどのものなのか,お笑い芸人というのは,と考えるのが普通の人だと思うのだが,世の中には普通の枠に収まりきれない人がいるのだろう。その収まりきれなさを才能と呼ぶのかもしれない。

● 逆にいうと,会社や役所に就職して,定年まで務められるような人には,芸人になる才能はないということになる。これしかないという,やむにやまれぬものがなければならない。
 その “やむにやまれぬもの” はあるべき何ものかを欠落していることから来るもので,その欠落に見合った才能を一方で神様は彼に与えるのだ,と考えるよりしょうがない。

2021年12月9日木曜日

2021.12.09 記憶屋

Amazonプライムビデオ

● 「記憶屋」(2020年)。原作は織守きょうやの同名小説。
 人の記憶を消せるという記憶屋を探す話。もちろん,その縦糸を追う過程で,色々と横糸が延びて行く。広がりのある展開になる。最後は,記憶屋が自分の一番大切な人から自分の記憶を消し去って,離れていく。

● 山田涼介と芳根京子のダブル主演と言っていいと思う。佐々木蔵之介と蓮佛美沙子も重要な役どころで出演。
 佐々木蔵之介が演じるのは優秀な弁護士。そのアシスタントが泉里香の安藤七海。美貌のアシスタント。こんなアシスタントや秘書が居たら,まず家庭崩壊につながるね。
 大企業の秘書室は知らず,自分で仕事を作ってやっていくという人は,アシスタントや秘書を持ってもいいけれども,美人は採用しないのが正解だと本気で思いますよ。

● 主題歌は中島みゆき「時代」。1975年に出ている。半世紀近く前。以後,何度もバージョンアップして生き残っている。生命力の旺盛な歌曲ですよね。

● Amazonプライムは年会費が4,900円。Amazonで買い物をすることはあまりないので,送料無料の恩恵は受けていない。しかし,プライムビデオでこういう映画も見られるのだから,4,900円は超絶安い。
 プライムビデオが目的でプライム会員になった。それ以外のサービスはほぼ全く使っていない。

2021年12月8日水曜日

2021.12.08 テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編

Amazonプライムビデオ

● 「テレビアニメ “竈門炭治郎 立志編” に続く物語 “無限列車編” が劇場版として公開。そして,2021年10月からテレビアニメ「鬼滅の刃」無限列車編,12月からテレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編の放送が決定。無限列車での任務を終えた炭治郎たちの次なる任務を描く遊郭編。鬼殺隊最高位の剣士《柱》の一人,音柱の宇髄天元とともに炭治郎たちが向かうのは鬼の棲む遊郭。新たな戦いが幕を開ける」というわけで,フジテレビで “遊郭編” が始まった。
 Amazonプライムでも引き続き配信。


● 第1話は「音柱・宇髄天元」。
 煉獄さんの家族に煉獄さんが残した言葉を伝えた炭治郎が,我妻善逸,嘴平伊之助とともに,次なる任務に向かう。そこで出逢ったのが音柱・宇髄天元。
 今回は戦いの前のメンツの紹介といったところ。面白いからね,次回を楽しみにしててね,というね。

● 鬼舞辻無惨が富裕な実業家の養子になっている。これからの物語で実業家も絡んでくるのだろう。
 無限列車編は劇場版を見てしまっていたので,先の展開と映像がわかってしまっていた。今回はそれがないので,楽しみが大きい。原作漫画を読んでいないのもラッキー。


(追記 2021.12.14)

● 第2話「遊郭潜入」。宇髄が放った偵察隊3人は,3人とも鬼に捕らえられているらしい。
 次回以降は,炭治郎,善逸,伊之助が3人を救いだす展開になるんだろうか。禰豆子はまだ登場していない。
 炭治郎,善逸,伊之助が女装させられて,コミカルに笑いを取る。今回はまだ序奏の続き。

(追記 2021.12.24)

● 第3話「何者?」。今回からストーリーが動きだした。
 花魁になった鬼たちは,いずれもかなり手強い。善逸はすでに危うい。
 「鬼滅の刃」における鬼は人間の化身でもある。人間のある部分を代表する。というか,それを誇張して表現している。それゆえ,鬼もいたって人間っぽい。

(追記 2021.12.27)

● 第4話「今夜」。炭治郎が上弦の鬼(堕姫)と対峙。本格的な対決シーンは待て次回。鯉夏花魁は無事なのか。これも,待て次回。
 劇中の遊郭(個々の店)はメルヘンチックに描かれている。でなければ鬼が浮き立たないだろう。リアルに描いてしまっては,人間がつまり鬼ということになってしまいそうだ。

(追記 2022.01.04)

● 第5話「ド派手に行くぜ!!」。炭治郎が堕姫に対してヒノカミ神楽を次々に繰り出して応戦。もうすぐ,音柱の宇髄天元がやってきて,堕姫 vs 宇髄 の対戦になるのだろうけど,もう少し炭治郎に任せてみたい感じね。

● 今回は宿泊先のホテルのインターネットテレビで見た。けっこうな大きさの画面になるわけだ。でも,映画館の臨場感にはとうてい及ばないという至極当然の事実を確認した。
 14インチのノートパソコンとの差はさほどにないなという印象。スマホの画面で見てもそんなに変わらないんだろうかなぁ。

(追記 2022.01.11)

● 第6話「重なる記憶」。ヒノカミ神楽で堕姫を追いつめた炭治郎があと一歩のところで力尽きたあとに,満を持して禰豆子登場。
 この長編アニメにおける禰豆子のキャラクターの重要性を知らしめる回。というか,禰豆子を造形できたときに,原作者はこれでイケルと思ったんじゃないか,と。
 その禰豆子がとんでもなく強くなっちゃった。

(追記 2022.01.17)

● 第7話「変貌」。鬼化が進んだ禰豆子が堕姫を圧倒する強さを発揮する。鬼化した禰豆子 vs 堕姫 なのだから,鬼対鬼,女対女の戦いになる。
 が,それだけでは終わらない。鬼化した禰豆子は人間に対しても牙を向ける。
 今回は堕姫の兄,妓夫太郎の登場がメインテーマになると思うのだけど,禰豆子の悲しさのようなものが全面を覆っている。

● 今回も宿泊しているホテルの客室で見た。ホテルのテレビがインターネットテレビではないので,スマホで見た。支障はない。パソコン程度の画面があるに越したことはないけれども,スマホで困ることはない。

(追記 2022.01.24)

● 第8話「集結」。妓夫太郎と堕姫の兄妹は,2人でひとつ。対して,鬼殺隊も宇髄の他に,炭治郎,善逸,伊之助が集結し,いざ,雌雄を決せん。
 煉獄さんと猗窩座もそうだったのだけど,宇髄と妓夫太郎も深いところで互いを理解し合っているというふうなんだよね。相手に対して自分を閉ざさないんだよね。

(追記 2022.02.02)

● 第9話「上弦の鬼を倒したら」。上弦の鬼は強いのだ。柱の宇髄も妓夫太郎に歯が立たない。が,炭治郎,善逸,伊之助の3人は「無限列車編」に比べると格段に逞しくなっていて,堕姫と妓夫太郎に向かっていく。
 炭治郎が戦いの最中に内省に入ってしまうのはどういうことかとは思うんだけど。しかし,これは説明なのでね,芝居の脚本でいえばト書きだ。

● 今回はもうひとつ,雛鶴の宇髄に対する純情も感動の種だな。男の目に映った女になっているし,男の願望が投影された女になっているきらいはある。が,こういうファンタジーは基本的には万人受けするもの。

(追記 2022.02.07)

● 第10話「絶対諦めない」。スタート時点ではもはや絶望的。柱の宇髄は片腕を切り落とされて倒れており,善逸は崩壊した建物の下敷き,伊之助は妓夫太郎の刀で心臓を貫かれている。
 残っているのは,自分のせいだと反省ばかりしている炭治郎と,コンコンと寝ている禰豆子だけだ。普通ならここで終わるんだけどねぇ。

● 炭治郎も善逸も伊之助もいつからこんなに強くなったのか。宇髄も蘇って,ついに妓夫太郎の堕姫の首を切ることができた。
 次回が遊郭編の最終回になる。

● 炭治郎が妓夫太郎と堕姫の兄妹を自分と禰豆子と対比して語るシーンがある。自分たちが鬼になっていたかもしれない,妓夫太郎と堕姫も望んで鬼になったわけではあるまい,立場が入れ替わっていてもおかしくなかった,と。
 もし鬼に落ちても鬼殺隊の誰かが自分の首を切ってくれる,と語るシーンもあって,ジーンとさせる。今まで登場した鬼の中にも,首を切られてホッとした鬼がいたんだろうか。

(追記 2022.02.14)

● 第11話「何度生まれ変わっても」。妓夫太郎&堕姫と鬼殺隊の対決は,前回で決着がついている。
 が,勝つには勝ったものの,宇髄も炭治郎も善逸も伊之助も,妓夫太郎の毒が回って瀕死に至っていたはず。が,禰豆子の超能力(血鬼術)で救われる。これでメデタシメデタシ。

● その後は,妓夫太郎と堕姫の生い立ちの紹介に移る。まともに育てと言われても育つはずがない過酷な状況に置かれていた。
 こんなのは漫画の世界だからねということにしていいと思うのだが,程度の差はあれ,犯罪を犯して刑務所にいる人たちの大半は,これでまともに育てと言われても・・・・・・という人たちだろう。それは現場の警察官がよくわかっているはず。

2021.12.07 私の男

Amazonプライムビデオ

● 「私の男」(2014年)。原作は桜庭一樹の同名小説。直木賞受賞作。
 実の親子の近親関係という,重いというよりグロテスクなテーマを扱っている。全編を覆うのはある種の暗さと救いのなさ。

● 浅野忠信と二階堂ふみが主演。この映画は「第36回モスクワ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され,最優秀作品賞に選ばれるとともに主演の浅野忠信が最優秀男優賞を受賞した」のだが,たしかにこうした映画祭とは相性がいい作品なのだろう。
 しかし,画面を支配しているのは二階堂ふみ。正気と狂気の境というか,突き抜けたゆえに正気に近づいて見える狂気というか,このあたりの演技は彼女の独壇場と言える。
 撮影時,彼女は20歳だったのではないか。20歳でこのテイストが出せますか,そうですか。

● 母親に暴力をふるった淳悟(浅野忠信)が,親戚にあたる花(二階堂ふみ)の両親宅に預けられる。このとき花の母親と男女の仲になり,生まれたのが花。
 花の両親は北海道南西沖地震による津波で亡くなり,花は淳悟に引き取られる。地震のとき背負って助けてくれたのがお父さんだったと,10歳の花が話すシーンがある。
 「生きろ」と私を背負って逃げてくれた,と。だとするとこの父親(花にとっては育ての親)はとんでもなくできた人だよねぇ。

● 淳悟の恋人役が河井青葉。昨日見た「さよなら歌舞伎町」にも出演していたが,「ヌードを辞さない姿勢で,新進監督の作品にも多く出演している」とウィキペディア教授は言っている。
 彼女の行くところ,ヌードや濡れ場が付いてくるのだとしても,ヌードや濡れ場に依存しているわけではない。上手な女優さんだ。

2021年12月7日火曜日

2021.12.06 さよなら歌舞伎町

Amazonプライムビデオ

● 「さよなら歌舞伎町」(2015年)。歌舞伎町のラブホテルが舞台。
 劇中での時間の経過は2日間。主な事件は24時間のうちに起きる。何とも色んなことが起きた濃密すぎる2日間ね。

● ラブホテルの店長の徹(染谷将太)。そのラブホテルに徹の妹の美優(樋井明日香)がAV撮影のためにやってくる。
 そればかりか,同棲中の恋人の沙耶(前田敦子)までが枕営業でご来館(徹は沙耶に,自分はお台場の一流ホテルで働いている,と伝えていた)。

● ラブホテルで掃除のおばさんをやってる里美(南果歩)は,傷害事件を起こしている。共犯の康夫(松重豊)をアパートに匿って,あと1日で成立する時効を待っている。
 そこに,夫も子供もいる刑事の理香子(河井青葉)が,同僚の刑事とやってくる。不倫の最中に里美に気づく。

● 韓国から稼ぎにやってきているヘナ(イ・ウンウ)は,恋人のチョンス(ロイ)にはホステスと伝えているが,じつは売春婦。チョンスは韓国料理店で働いているが,オバサン相手のつばめ稼ぎもしている。
 風俗のスカウトの正也(忍成修吾)は,家出少女の雛子(我妻三輪子)に目星を付けてホテルに連れ込むものの,雛子の不幸すぎる生い立ちを聞いて,彼女に惚れてしまう。

● と,訳ありすぎの登場人物たちがおりなす “群像劇”。里見と康夫の時効はめでたく成立。理香子もめでたく不倫を精算できたらしい。
 ヘナとチョンスは一緒に韓国に帰ることになり,結婚することになるようだ。正也は体を張って足を洗い,雛子を迎えに来る。劇中で唯一のあっぱれな男。あ,チョンスもそうかもしれない。

● 何だか,訳がわからないのが徹。故郷の塩釜に帰る長距離バスに乗り込むのだが,帰ってどうするつもりなんだろうか。
 何もかも嫌になって,いったんリセットというのはわかるんだけれども,一流ホテルに就職するという妄想に掴まっているだけで,具体的には何もしていない。
 でも,まぁ,故郷にしばらく居て,新宿に戻って雛子とよりを戻すのだろうな。

2021年12月6日月曜日

2021.12.05 泥棒役者

Amazonプライムビデオ

● 「泥棒役者」(2017年)。原作,脚本,監督が西田征史。

● しっとりとしたドタバタ劇。主役の大貫はじめを丸山隆平が演じ,市村正親,石橋杏奈,ユースケ・サンタマリア,片桐仁が主要な登場人物を演じる。
 が,はじめを脅して泥棒稼業に引き戻す畠山の宮川大輔が印象に残る演技。はじめの恋人役の高畑充希もさすがの存在感。任せて安心。
 最終盤で片桐はいりと向井理が姉弟として登場するが,弟が向井理であることに気づかなかった。

● いい映画を見れたなという満足感が残った。明日でプライム対象から外れるが,少し待てば戻ってくるだろう。
 主題歌は関ジャニ∞「応答セヨ」。

2021年12月4日土曜日

2021.12.03 弥生,三月 君を愛した30年

Amazonプライムビデオ

● 「弥生,三月 君を愛した30年」(2020年)。「1986年(昭和61年)から2020年(令和2年)までの34年間の3月のある1日を舞台に昭和,平成,令和という3つの時代を跨ぎ,運命に翻弄されながらも一途に互いを愛し続けてきた2人の男女の半生を描く」(ウィキペディア)。
 3月のある1日となれば,2011年3月11日の東日本大震災がストーリー展開上のターニングポイント(の1つ)を作ることになる。

● 東日本大震災のあと,これだけの自然災害を経験すれば,日本も日本人も変わらざるを得ない,と言う識者もいたし,新聞もだいぶそっち方面の記事を流した。が,結局,ぼくらは何も変わらなかった。
 わずか数時間であれだけの人命(18,425人)が失われたのに,イジメはやまないし,わが子を虐待する親もなくならない。特殊詐欺も隆盛を保っている。
 なくても誰も困らない仕事も営々と続けられている。読むに値しないパルプ本を次々に出版しながら,本が売れなくなったと嘆く出版界。作られるそばからゴミステーション行きになる,雑貨と称される商品群。人の迷惑を顧みない訪問販売またはその勧誘。企業が故意にかけてくる迷惑電話。

● いや,そういうことは,とりあえずどうでもいい。
 主演は波瑠(弥生)と成田凌(サンタ:山田太郎 → 山太 → サンタ)。2人は高校の同級生。もうひとり,杉咲花が演じるサクラも仲間だったが,彼女は早逝してしまう。
 しかし,2人が結婚するときに聞いてくれと残したサクラのボイスメッセージが,何というのか絶品。内容はスタッフが作っているのだから,杉咲花には関係ないのだが,声がもうすごいよ。
 上手いという以前の話。いい声なんですよ。生まれる前,母親の子宮の中で羊水に身を任せていたときはこんな感じだったか,と思わせるような。全身を愛撫されてるようなゾクゾク感をくすぐる声というか。

● もうひとつの印象的なシーンは,結婚している弥生がサンタ(この時点でバツイチ)のアパートに泊まって,翌朝,夫に電話をする。その電話を受けた夫(小澤征悦)の表情だ。
 どういう表情を作ればいいのか,かなり難しかったのではないか。高校時代の友だちと会ったので朝まで飲んだと言われたって,朝まで連絡できなかったわけではあるまい,と思う。しかし,彼女がそういうことをする人ではないと信じている。信じてはいるんだけれども・・・・・・という循環が止まらない。
 結局,すべてを察してそれを受け入れる表情を作ったのだが,うん,これしかないですかねぇ。

● 弥生とサンタは高校生のときからつながりを保っている。“好き” を保っている。
 しかし,こういう一筋の道を行く的な生き方は現実にはないものだろう。思春期を過ぎた後,人は何度か脱皮を繰り返す。過去を脱ぎ捨てる。3段ロケットよろしく,過去を切り離していく。

● そうでなければいけない。ぼくの周囲を見回しても,中学校の同級生同士で結婚した人はいない。高校の同級生と結婚した人は1人いるが離婚した。大学の同級生同士の結婚は複数ある。ただし,結婚したのは卒業してから数年の後だ。
 結婚は少なくとも1回は脱皮してからの方がよいとしたものだ。遅すぎる結婚はまだしも,早すぎる結婚はよろしくない。

● この映画で描かれているのはファンタジーであって,そのファンタジーを楽しめばよいものだ。
 自分も弥生やサンタのようにと考える若い人がいるとすれば(いないと思うが),目を瞑って1分間,深呼吸しようね,と言いたい。

2021年12月3日金曜日

2021.12.02 町田くんの世界

Amazonプライムビデオ

● 「町田くんの世界」(2019年)。原作は安藤ゆきの漫画作品。「別冊マーガレット」に連載された。
 主演は細田佳央太と関水渚。細田佳央太はもちろん,関水渚もオーディションで選ばれて,これがデビュー作になったらしい。
 他に,岩田剛典,高畑充希,前田敦子,池松壮亮,戸田恵梨香,佐藤浩市,北村有起哉,松嶋菜々子。実績のある中堅とベテランが脇を固めた。

● 細田佳央太が演じる町田くんは,「“人を愛する才能” だけはズバ抜けてい」て,その代わり,自分がしたことで相手がどう思うか,どう感じるかというのは読めない。
 それで色々とドラマが生まれるのだが,最後は,関水渚が演じる猪原さんがロンドン留学のため成田空港に向かっているところへ,町田くんが引きとめに向かう。ハッピーエンドで終わる。

● だが,彼女はロンドンに留学した方がよかったかもしれないよね。というのも,引きとめに向かうことを決心するまでの町田くんの行動は,あまりにグズで,重要-非重要,緊急-非緊急の判断がまったくできないからだ。
 じれったいったらありゃしない。こういう男は見捨てろ。一緒になったところで,ロクなことにはならんからな。

● 関水渚の好演が印象に残る。高畑充希と前田敦子の高校生もなかなか。
 高畑充希が10歳年下の細田佳央太に “先輩” と呼びかけるところとか,前田敦子の一言居士ぶりはかなりのインパクト。見どころの1つに数えていいと思う。

● ロケは栃木県内でも行われた。宇都宮市のベルモール,宇都宮駅ペデストリアンデッキ,ブラジルコーヒー宇都宮駅前店,オリオン通り,バンバ通りが使われたらしいのだが,ぼくは気づけなかった。
 町田くんと猪原さん,西野くんの3人がボーリングをやったボーリング場は,鹿沼市のヤングボウル。町田くんたちが授業を受けていたのは佐野市の葛生中学校だったらしい。

2021年12月1日水曜日

2021.12.01 TOKYO!

Amazonプライムビデオ

● 「TOKYO!」(2008年)。3話からなるオムニバス映画。フランス・日本・ドイツ・韓国の合作らしいのだが,監督・脚本といったところは,いずれも外国人が担当している。
 この映画は彼らが東京から何を触発されるのかという視点で見た方がいいんだろうか。

● 3つともかなりシュール。まず,「インテリア・デザイン」。英語版の原作があるらしい。
 若い男女が東京にやってきて,色々あるうちに,離れ離れになり,女は椅子になってしまう(誰もいないところでは元に戻る)。それで彼女は幸せになりました,という話。
 藤谷文子を中心に,加瀬亮,伊藤歩,大森南朋,妻夫木聡,でんでん,光石研,石丸謙二郎らが出演している。

● 次は「メルド」。下水道の怪人と呼ばれる男の名がメルド(フランス語で「糞」という意味)。防空壕のようなところに住み,下水道のマンホールからこの世に現れ,悪さをして地下に戻るを繰り返す。
 捕らえられ,裁判にかけられ,死刑を執行されるが,死亡が確認された後に生き返り,忽然と姿を消す。言語も独特。何せ,この言葉を話すのは,メルドを含めて世界に3人しかいないのだ。
 主要な登場人物も外国人。メルドがドゥニ・ラヴァン。メルドの言葉がわかるというフランスの弁護士ヴォランドにジャン=フランソワ・バルメール。
 これは東京じゃなくても成立する。ニューヨークでもロンドンでもパリでも。

● 「シェイキング東京」。引きこもりの男があることがキッカケで外に出た。そこにあったのは全員が引きこもっている街だった。
 香川照之を中心に,蒼井優,竹中直人。荒川良々や松重豊もちょい役で。性格俳優というとちょっと違うのかもしれないが,芸達者が揃った。

● “世界の巨匠たちが見た,光と希望と闇に包まれた真実の東京──” がキャッチフレーズのようなのだが,「メルド」だけではなく,「インテリア・デザイン」も「シェイキング東京」も,東京でなければ成立しないというわけではない。大都市が舞台であればよい。
 大都市が孕んでいる創造性とでもいうものを,3つの形にして見せたということだろうか。

2021年11月30日火曜日

2021.11.30 フォレスト・ガンプ/一期一会

Amazonプライムビデオ

● 「フォレスト・ガンプ/一期一会(字幕版)」(1994年)。「心ない人からは嘲りを受けつつも,それ以上に良き心を持つ周囲の人々の協力を受けて数々の成功を収め,同時に幸福を周囲にもたらしていく「うすのろフォレスト」の半生を」描いた作品。

● 「アカデミー賞作品賞ほか6部門を独占した映画史に残る名作」とのこと。たしかにアカデミー賞好みの作品だと思った。
 今日でプライム対象から外れてしまうことが見た理由の第一なのだが,2021年11月の終わりの日にこの映画を見れてラッキーだった。いわゆるいい映画の典型だ。ひとつの桃源郷を描いている。

● “人生は食べてみなければわからない,チョコレートの箱と同じ”― フォレストの母親がフォレストに言う台詞。正確には,フォレストが母親が言っていたと言うのだが。
 このフレーズも人気を博したらしい。そのとおりだもんね。食べてみなきゃわからない。若いときのわかったつもりは,誰もが経験することだが,その “わかった” はわかり方の解像度が粗くて,わかった範疇には入らない。

● フォレスト・ガンプにトム・ハンクス。母親がサリー・フィールド。フォレストの文字どおりの半身だったジェニーはロビン・ライト。
 ベトナム戦争での上官のダン・テイラーがゲイリー・シニーズ。同じくベトナム戦争での戦友,バッバ・ブルーがミケルティ・ウィリアムソン。
 こうして演じた俳優の名前を書き残しておきたくなるくらい,しっとりとしたいい映画だった。

● ストーリーの展開で唯一アレッと思ったのが,フォレストを養護学校ではなく普通の学校に入れるために,母親が学校の入学担当教師に抱かれたところ。
 その行為中の教師の声をフォレストが聞いていたという設定で,観客の笑いを取りに行っているのだが,まぁ,いいのか。

2021.11.29 ビートルズと私

Amazonプライムビデオ

● ビートルズのドキュメンタリー「ザ・ビートルズ Get Back」が25~27日の3日間,Disney+(ディズニープラス)で独占配信されたらしい。詳しいことは知らないのだが,ビートルズファンの間では盛りあがれる話題だったのだろう。
 3部構成で,それぞれが2時間,計6時間の長大なものなので,映画館で一挙上映というわけにはいかない。

● Amazonプライムで見られるのは「ビートルズと私(字幕版)」(2011年)。基本的にビートルズは出てこない。彼らを知る「50人を超える世界各地の関係者たち」にインタビューを行い,それを85分に編集したもの。
 当然,ビートルズが好きでたくさん聴いたよという人が見てこそ,面白いものだろう。見ておきながらこう言うのも何なのだが,ぼくはその資格に欠ける。

● インタビュイーの中に,アメリカのジョンソン大統領の娘がいた。暗殺されたケネディの後を受けて大統領に就任したばかりの父親に,アメリカにやってくることになっていたビートルズを家(ホワイトハウス)に招待するよう父親に頼んだというエピソードを語っている。
 父親には断られたらしいのだが,ビートルズ現象というのはとんでもない広がりと勢いを持っていたのだなとわかる話だね。

2021.11.24 花戦さ

Amazonプライムビデオ

● 「花戦さ」(2017年)。原作は鬼塚忠の小説「花いくさ」。
 ストーリーにもちろんリアリティはない。映画なのだからそれでいいのだ。

● 主役の池坊専好(野村萬斎)は記憶障害を持っている。これが専好の性格設定にかなり効果をあげているように見える。
 市川猿之助の豊臣秀吉も迫力がある。が,最も印象に残る登場人物は誰かといえば,森川葵の「れん」だ。異形の娘だから,誰が演じても他とは区別されるだろう。
 
● この時期,農民は食うや食わずのその日暮らしで,将来設計などというのは1ミクロンも考えられなかったはずだが,そういう時代でも専好のような,言うなら無為徒食の輩を養っていたわけだ。不思議な気もするが,そういうものなのだろう。
 芸能といい芸術といい芸事といい,芸が付くものは,生活に潤いをもたらすとか,情緒を養うとか,そういうきれい事のレベルでではなく,もっと形而下的なところで,人間には必要なものなのだろう。

● むしろ芸で遊ぶために生活があるというのが本当なのだ。ホモ・ルーデンスなのだ。遊びをせんとや生まれけむ,なのだ。
 ここでマズローの欲求5段階説を持ちだすのは場違いな感じもするのだが,マズローが言うように欲求の類型がきれいにピラミッド型を描いて,AがあってB,BがあってC,というのはおそらく人間を表していないのだろうと思う。

2021年11月23日火曜日

2021.11.22 ReLIFE リライフ

Amazonプライムビデオ

● 「ReLIFE リライフ」(2017年)。原作は夜宵草の同名漫画。
 27歳の男が「見た目だけ10歳若返り,1年間限定で高校生活をやり直すという」話。

● 主演は中川大志と平祐奈。中川大志はこういう役柄が多いですかねぇ。多情多恨というのとは違うけれども,何というのか熱い人。斜に構えるのとは対極にいる人。
 他に,池田エライザ,高杉真宙,岡崎紗絵。池田エライザが高校生らしい高校生の役。最も印象に残るのが,夜明了の千葉雄大。
 
● その千葉雄大を超える存在感を示したのが平祐奈。撮影時は18歳か19歳だったのではないかと思うのだが,女子高校生を演じるときはまさしく女子高校生だし,大人を演じるときには清楚な大人になる。
 その程度のことならできない女優はいないのかもしれないが,この映画ではそこに笑顔と不気味な笑顔(?)の演技が加わるので,印象が強烈になるのだ。

● この映画はやはり若い人のためにあると思う。全体として癒やしの気に満ちている。失意のときに見ると癒やされるというわけには参らないかもしれないが,ふっと息を抜けるくらいの効果はある(たぶん)。
 失意のときに映画を見る気になれるかという問題はあるけれども。

2021.11.22 アヤメくんののんびり肉食日誌

Amazonプライムビデオ

● 「アヤメくんののんびり肉食日誌」(2017年)。原作は町麻衣による同名漫画。
 主役は黒羽麻璃央と足立梨花。足立梨花,どこかで見た顔だと思った。栃木のご当地映画「キスできる餃子」でヒロインを務めた人ね。ちなみに,「キスできる餃子」の公開は2018年。

● いわゆるメッセージ性はないのだろうと思うし,そんなものはなくていいと思うんだけれども,それにしたってこの映画を撮った理由は何なのだろう。
 要するに,ダメ男とダメ女の恋愛物語だ。彼と彼女の両方に思いを寄せる異性が別にいてという,四角関係が展開する。といって,その四角関係に緊張感があるわけでもない。

● 舞台は理系の大学の研究室。足立梨花演じる椿は出勤前の風俗嬢のような格好で(風俗嬢はこういう格好をしないかもしれないが),どうやっても理系の学生には見えない。これじゃ研究室の中でも浮いてしまって,下手するとイジメに合うかもしれない。
 そこは映画(原作は漫画)だからと納得するしかないのだろうが,椿にそういう格好をさせる理由がわからない。

● 椿はまた,だらしなく酒に酔う。こういう女に惚れる男がいるのか。都合がいいだけの女になってしまうじゃないか。これじゃ先が思いやられるぞ。
 というわけで,何だか不思議な映画だった。

2021年11月22日月曜日

2021.11.21 パンとバスと2度目のハツコイ

Amazonプライムビデオ

● 「パンとバスと2度目のハツコイ」(2018年)。「スキにならずに,スキでいる。」がキャッチコピーなんだけど,何だか不思議な世界。
 不思議だけれども,居心地のいい世界でもある。劇中の登場人物たちはそれぞれかなり大変な人生になるだろうけど,彼女たちが大変さを引き受けてくれるので,その結果として居心地がいい世界ができあがる?

● ヒロインは乃木坂46の元メンバーの深川麻衣が演じる。映画初出演にして初主演であったらしい。相手役は山下健二郎(三代目J Soul Brothers)。
 他に伊藤沙莉も重要な役どころなのだが,ぼくはヒロインの妹を演じた志田彩良に注目。15日に見た「mellow」では活発明朗な女子高生を演じていたが,今回は少し内向的な美学生(予備校生)。何だかいいんだよねぇ。

● 「私をずっと好きでいてもらえる自信もないし,ずっと好きでいられる自信もない」って,それはみんなそうだよね。てか,ずっと変わらず好きでいるなんて不可能だよね。
 相手をずっと好きでいた人も,ずっと好きでいられた人も,有史以来おそらく1人もいなかったろうし,これからもいないだろう。

● そんなのは人の自然に反する。人はそういう静態には耐えられないものでしょ。もっと動的な,移り変わっていく世界でないと生きられませんよ。
 そういう世界で生きながら,変わらないものに憧れる。わがまま勝手なものですよ。

● だから,ぼくらは誰でも,どこかの時点で,片目を閉じてエイヤッと跳ばなければならない。そうじゃないと人類は滅んでしまうから,ちゃんと跳べるようにできている。いや,跳んでしまうようにできている。
 でもって,こういう映画の世界もいいなぁと思う。そういうものでしょ。

2021年11月21日日曜日

2021.11.19 カジノ・ロワイヤル 1967

Amazonプライムビデオ

● 「カジノ・ロワイヤル 1967(字幕版)」(1967年)。007シリーズの第1作「ドクター・ノオ」は1962年に公開されているから,この映画はすでに何作か公開されている007シリーズのパロディということになるのだろう。

● ジェームズ・ボンド(デヴィッド・ニーヴン)はすでに職を退いている。しかし,どうしてもボンドの力を借りたいと呼び戻されるところから始まる。
 そこからは次々にドタバタが展開される。女護島もかくやと思わせる女の園に連れ込まれたり,空飛ぶ円盤の中に拉致されたり。
 マネーペニーも若くセクシーな美人。Mが死んでボンドが諜報部トップの座に就く。
 軽妙洒脱なコメディでもあるのだろうが,ぼくにはピンと来ないところもあった。

● 「第三の男」のオーソン・ウェルズが悪役で出演している。「市民ケーン」の監督としても有名なのだろうが,ぼくは見ていない。

2021年11月19日金曜日

2021.11.18 土竜の唄 香港狂騒曲

Amazonプライムビデオ

● 「土竜の唄 香港狂騒曲」(2016年)。「土竜の唄」第2作。
 底抜けに面白い。宮藤官九郎の脚本の功績が大きいんですかねぇ。

● 今回の初出場組では古田新太が重要な役どころ(破門されたヤクザ)なんだけれども,凄かったのは菜々緒。
 ここまでやらせるのかと思ったし,ここまでやるのが女優なのかとも思った。全裸になるより恥ずかしいのじゃないかと思うんだが。

● まぁ,それを言うなら仲 里依紗もそうだし,だいぶ濃度は薄まるんだけども本田翼もそうだ。女優陣にここまでやらせることで成立している映画でもある。
 生田斗真もすごい。さすがにスタントも使っていたはずだけど。

● 明日公開される「土竜の唄 FINAL」にも菜々緒は出演しているし,第1作で存在感を放った岡村隆史も出るようだ。ということでどうしようか。映画館に見に行くか,Amazonプライムに下りてくるのを待つか。
 主題歌は関ジャニ∞「NOROSHI」。

2021年11月18日木曜日

2021.11.17 土竜の唄 潜入捜査官REIJI

Amazonプライムビデオ

● 「土竜の唄 潜入捜査官REIJI」(2014年)。原作は高橋のぼるの漫画。監督は三池崇史,脚本は宮藤官九郎。
 2年後に「土竜の唄 香港狂騒曲」が公開された。3作目の「土竜の唄FINAL」が明後日,公開になるっぽい。

● 主演は生田斗真。彼が演じる菊川玲二はダメ警官という設定なのだが,肝は太いし,度胸はあるし,喧嘩も強い。その玲二が暴力団の潜入捜査を命じられ・・・・・・。
 そこから先は徹底的にドタバタ。テンション高く進行するエンタメ映画。

● そのテンションの高さを,元ヤンキー風貌(11歳でジャニーズ事務所に入っているのだから,ヤンキーをやってる暇もなかったろうが)の生田斗真が体当たり熱演。脇を堤真一,山田孝之,仲 里依紗,遠藤憲一,岡村隆史らが固めている。
 主題歌は関ジャニ∞「キング オブ 男!」。

2021年11月17日水曜日

2021.11.16 この道

Amazonプリアムビデオ

● 「この道」(2019年)。北原白秋(大森南朋)と山田耕筰(EXILE AKIRA)の交流を描いたもの。「1918年に文学者の鈴木三重吉が児童雑誌「赤い鳥」を刊行して100周年になるのを記念して製作された映画」であるらしい。

● 北原白秋や山田耕筰がこの映画で描かれているような人物だったのかどうかはわからない。っていうか,おそらく違うと思う。
 それではまったくの単純バカということになってしまう。この映画の北原白秋や山田耕筰は,中学生で発達年齢が止まってしまった薄っぺらな人間だ。それとも,天才というのは単純バカなんだろうか。

● 北原白秋が死ぬ前に,山田耕筰が陸軍の軍服を着て見舞いに来る。で,軍歌しか作れなくなったのを嘆き,いずれまた2人で歌曲を作れる時期が来るというシーンがあるのだが,これも史実なのかどうか。
 つまり,軍部=悪 というのは戦後にできた見方であって(つまり,GHQの情報戦が功を奏した結果であって),戦時中に軍歌しか作れないことを嘆いた詩人や音楽家がいたとは少々考えづらい。
 むしろ,軍歌を作ることに前のめりになっていたのじゃないか。前のめりになってたとまで言うと言い過ぎかもしれないが,意に沿わないけれども軍部には逆らえないからしょうことなしにやっていた,というのは違うと思う。

● この戦争は負ける,自分は欧州にいて欧州を知っている,あんな国と戦争して日本が勝てるわけがない,と山田耕筰が言うシーンもあるのだが,これも同じ。
 そのシーンは,もちろん,映画製作側が挿入したもので,山田耕筰が本当にそう言ったのかどうかなど,知る人は1人もいない。戦後になってから,自分は負けると思っていたと言いだす人はあまた現れたわけだが,さて本当にそうだったのかとなると,どうなんだろうか。

● 複雑性において戦争よりはるかに低いと思われる今回のコロナ禍についても,いわゆる専門家は印象論で語ることしかできなかった。コロナの先行きを過たず予測できた専門家はいない。
 今はネットで発言するから,アーカイブが残ってしまう。必ず検証される。それを知ってか知らずか,自己顕示欲だけでテキトーなことを喋り散らした専門家は,現在は軒並み黙っている。が,コロナ収束後に,じつは自分はと言いだす連中でもあるだろう。
 まして,戦争の先行きを過たず予測できた人が文学者や音楽家の中にどれだけいるか。あれは無謀な戦争だったというのは,歴史が確定した後に,後世の人間が半ば上から目線で言うことだ。渦中にいると見えるものも見えなくなる。

● 特筆すべきは貫地谷しほり。白秋の3人めの妻の菊子を演じているのだが,唯一,リアリティのある登場人物になっていた。
 主題歌は当然,「この道」(作詩:北原白秋/作曲:山田耕筰)。EXILE ATSUSHI が歌っている。

2021年11月16日火曜日

2021.11.15 mellow

Amazonプライムビデオ

● 「mellow」(2020年)。主演は田中圭。他に,岡崎紗絵,志田彩良ら。
 岡崎紗絵って,「午前0時,キスしに来てよ」で橋本環奈が演じる花澤日奈々の友人役を演じていた人だ。主役級がちゃんと務まる女優さんだ。
 志田彩良も闊達な役が似合う。

● ほのぼのとした癒やしの映画。悪人は出てこない。いい人ばっかり。現実逃避するのにちょうどいい映画化もしれないと思った。

● 田中圭が演じる夏目誠一は男おとこした男じゃなくて,両性具有的に描かれている。花屋をやっているくらいだからね。
 ひと頃,そういう男性がもてはやされたことがあって(とぼくは記憶しているのだが),もっとこの種の男性が幅を利かすことになるだろうと思っていた。販売とか接客とか,ダイレクトに人と接する仕事をする男性は,そういうタイプばかりになってもおかしくないな,と。

● ところが,そうはならなかった。そうそう増えるものではないよということなのだが,何だかそれが不思議なことのようにも思える。

2021.11.14 ブラック・ジャック <オリジナルアニメ>

Amazonプライムビデオ

● 「ブラック・ジャック <オリジナルアニメ>」(2000年)。わずか10分間の短いアニメ。

● 「お金にがめつくて,嫁に対して口を開けば「お金をちょうだい」と小遣いをせびってばかりいる老婆。そんなおばあちゃんに息子夫婦はうんざり…。ひょんなことからこの一家と知り合ったブラック・ジャックは,やがてこのおばあちゃんが瀕死の重病にかかった幼い息子を救うため,大金を要求する名医に治療してもらった過去がある,と知る」というストーリー。
 1,200万円で息子を治療して治してもらった。その代金をずっと払い続けていた。最後の支払いをしたあとに,母親が脳梗塞で倒れる。すべてを知った息子が,ブラック・ジャックに治療を依頼する。
 ブラック・ジャックは1億円払えるなら請け負うと応じる。息子は一生かかっても払いますから母を助けて下さいと答える。ここでアニメは終わる。

● ブラック・ジャックが1億円を払わせることはないと分かるようになっているのだけれども,それはそれとして,子供が親のために自分の人生を犠牲にするようなことがあってはならないと思う。親が子供のために大金をかけるのはいい。が,逆はダメだ。
 そんなにまでする必要はないというのではない。してはいけないのだ。

● かなりデリケートな問題ではあると思うのだけれども,子供が親の介護のために自分の人生を捨てなければならないのは,決定的に何かがおかしい。
 子供にそうさせる親は,長生きのしすぎだ。そうなる前に死に時があったはずなのだ。それを逃してしまった。過ぎたるは及ばざるに劣る。人の寿命も同じ。

● といって,そこを自分でコントロールできるものかどうか。未体験ゾーンになるので,何ともわからないのだが。
 死ぬべき病気を治してしまってはいけない。死に時は確実に捕まえて,きちんと死ぬ。そうありたいものだ。

2021年11月13日土曜日

2021.11.13 幕間 名画座と呼ばれる映画館がかつてはあった

● 宇都宮市立東図書館で催行される「20世紀名画座」と「日本映画劇場」にはけっこう出かけて見たものだ。
 老人会が出張してきたのかと思うほど,爺さんと婆さんしか集まらないのだが,自分ひとりではなく大勢で同じ映画を見るというのは,映画の見方として相応しいとも思っていた。
 現在の映画館に比べればささやかではあるけれども,一応,大きなスクリーンで見ることができる。

● と,過去形で書いているが,今でも実施されている。昨年からコロナ禍のためにずっと中止が続いていたが,最近,復活したらしい。
 が,ぼくは復帰していない。Amazonプライムで見るようにしたからだ。自由度が甚だしく違う。Amazonプライムなら自宅で,見たい映画を,見たいときに,見ることができる。途中で画面をとめて,休憩を入れながら見ることができる。
 移動コスト(電車賃と時間)がかからない。前の人の頭が邪魔になることもない。

● 「日本映画劇場」で上映する日本の古い映画はAmazonプライムにないものがけっこうありそうなのだが,「20世紀名画座」の方はほぼAmazonプライムで見ることができる。
 ぼくはノートパソコンの画面で見ているので,視聴環境は貧弱なのだが(それでも14インチ画面),昔の映画館を知っている者にとっては耐え難いほどに貧弱ということではない。音響もしかりだ。

● 昭和の御代には名画座というものがあった。普通の映画館よりも安い値段で,たいていは3本立て入れ替えなしで,往年の映画を上映していた。
 その頃,映画は斜陽と言われていたが,シネコンの登場で,映画界も活気を取り戻したように見受けられる。環境は画期的に快適なものになった。一回ごとに完全入れ替えだから,映画館を仮眠室の代わりに使う人もいなくなった。映画を見るための施設としては純化されたし,健全化されたと言ってもいいかもしれない。

● が,名画座はこれでとどめを刺されたように思う。2本立て,3本立てがなくなったこと。二度繰り返して見ることもできなくなったこと。
 名画座に行く人というのはある種のオタク気質があったように思う。自分に無茶振りをする。その無茶振りが許されなくなったとあっては,足は遠のく。
 まぁ,しかし,昭和も50年代に入ると,名画座の多くは赤字だったのではないかと思う。観客はだいぶ少なくなっていたのではなかったか。

● ビデオ再生装置が家庭に普及しだすのは昭和55年頃だったと記憶する。テレビにつなぐことによって家庭で映画を見ることができるようになった。VHSビデオテープのレンタルショップも生まれた。シネコンの登場前から名画座は風前の灯だったわけだ。
 現在ではデジタル化されて,著作権が切れたDVDが安く手に入る。名画座にかかっていたような映画のDVDは公共図書館にもある。パソコンがあればタダで見ることができるようになっている。

● そこに来て,Amazonプライムのような定額制の配信サービスが登場したとあっては,公共機関の上映サービスもいつまで続くかわからない。
 現時点では年寄りたちが集まってきてくれるが,これから年寄りになる人はパソコンもスマホも普通に使える。年寄りもネットに違和感がない人たちばかりになる。

● 名画座という箱はなくなっても,往年の映画を見るためのアクセスは格段に良くなっている。時に名画座がなくなったことを嘆く人がいるのだが,名画座はなくなっても名画を視聴する環境はかえって向上している。
 ここをクサすとすれば,パソコンの小さな画面で見ても見たことにはならないよ,という言い方を持ってくるしかないだろう。それは半ばは正しいかもしれないのだが,今のパソコンをなめるなよという反論もまた,充分に可能だろう。

2021.11.12 孤独のグルメ

Amazonプライムビデオ

● 三浦展『下町はなぜ人を惹きつけるのか?』(光文社新書)にこんな一文があった。
 今でも,門前仲町で有名な居酒屋に行くと,「おきゃん」とはこういう感じかという女性が切り盛りしている。テレビドラマ『孤独のグルメ』にもその店が出てきて,女性役を浅野温子が演じていたが,口調も身のこなしも本物そっくりだった。(p141)
● おきゃん? よく聞く言葉だが,わかったようでよくわからないところがある。それでは浅野温子が出る回の『孤独のグルメ』をぼくも見てみよう。
 と思って,Amazonプライムビデオのトップ画面で,“孤独のグルメ 門前仲町” で検索してみたら,トップのトップが門前仲町だった。シーズン1(2012年)の第1話が「江東区 門前仲町のやきとりと焼きめし」。

● で,それを見てみたんだけども,浅野温子が出るやつじゃなかった。“孤独のグルメ 浅野温子” で検索してもそれらしきものはひっかからない。
 「孤独のグルメ」を片っ端からチェックしてみたんだけど,結局,浅野温子が出ているのは見つからず。ゆえに,おきゃんとはどういうものかも確認できなかった。

● まぁ,でもね,門前仲町,良さげな酒場が並んでますなぁ。ぼくが良さげと感じるのは,昭和チックということでもあるんですけどね。
 チェーンではない小体な酒場ってなると,だいたい昭和チックになりませんか。ゆったりとは真逆の,ぎゅうぎゅうに詰めて座り,隣の人と肘と肘がぶつかるような感じの。

● はい,それから約2時間後。Amazonプライムビデオのトップ画面ではなくて,Googleの検索窓から “孤独のグルメ 浅野温子” で検索してみた。ら。シーズン5(2015年)が表示されまして。
 その第2話が「江東区清澄白河のポパイベーコンとサンマクンセイ刺」となっていて,ひょっとしてこれかと思いつつ見てみたら,これがアタリでございました。門前仲町ではなくて清澄白河だったんですなぁ。

● 浅野温子が見事にお客を捌いておりました。なるほど,こういうのをおきゃんというのか。とすると,女性のかなり多くがおきゃん成分を持っているねぇ。
 宇都宮の居酒屋でもこんな感じの店員さんを見たことがあるような気がする。が,見なかったような気もする。

● この映画(じゃない,これはテレビ東京で放送されたものだが)に出てくるお客さんには女性も多い。それが美人揃い。女優さんが演じているんだから当然っちゃ当然なんだが,こんな居酒屋があったら,そりゃあ日参するでしょうなぁ。

2021年11月11日木曜日

2021.11.11 新宝島

Amazonプライムビデオ

● 「新宝島」(1965年)は虫プロダクション制作の単発テレビアニメ。フジテレビ系列で放送された。ウィキペディア教授に教えてもらった。
 この時期,まだカラーにはなっていない。カラー放送自体は始まっていたはずだが,カラーに対応している受信機が少なかったんだろうか。

● 原作は手塚治虫の同名漫画ではなく,スチーブンソンの小説『宝島』。といっても,忠実に映像化しているわけではない。
 善人側だった人(?)たちも最後は宝にあてられて正気を失ってしまうのに,悪党の首領が唯一,そうなることを免れたという話。

● 声優は当時の粋を集めて綺羅星の如し。
 海賊シルバー(狼)が加藤武,ジム少年(ウサギ)が田上和枝,船長(熊)が若山弦蔵,トリローニ(豚)が藤岡琢也,ピュー(山猫)が熊倉一雄。

● この頃,日本は二重構造が色濃く残っていた。都市と田舎の生活格差や商工業と農業・大企業と中小企業の所得格差が存在していた。今とは違う。
 都市部ではテレビの普及は終えていたかも知れないが,田舎では急速に普及している最中だったか。後半戦に入っていたとは思うが。

● 14型とか18型という言葉があった。14インチのブラウン管テレビをテレビ台の上に置いて,家族全員で見ていたのだ。近所の人が来ることもあった。こちらが近所の家まで見に言ったこともある。
 近くで見ると目に悪いから,2メートル以上離れて見なさいと言われたものだ。
 爺婆は相撲を見たがり,子供はアニメやヒーロードラマを見たがって,両者がマジでチャンネル争いをしたのだ。

● 14インチ画面のノートパソコンで見ながら(画面の解像度は当時とは比較にならない),そうしたことを思いだした。ノスタルジアに誘われた。
 もちろん,あの時代が良かったとは1mmも思わないが,こうしたアニメを夢中になって見ていたのは間違いない。それが幸せな時間だったことも間違いない。

2021.11.11 映画 みんな!エスパーだよ!

Amazonプライムビデオ

● 「映画 みんな!エスパーだよ!」(2015年)。原作は若杉公徳の漫画「みんな!エスパーだよ!」。
 わざわざタイトルに “映画” と入れているのは,TVドラマ版もあったからだと思う。

● 原作は「日本の地方の男子高校生を主人公とするコメディ漫画とされるが,超能力の危険性を描いたSF漫画でもある」らしいのだが,映画の方はSF臭は限りなく小さくて,もっぱらコメディ色に染まっている。

● しかも,エロティックコメディ。平成版「ハレンチ学園」とでもいうか。
 「悪のエスパーによる人類滅亡の序章【世界エロ化計画】が始まる」というんだからね。悪のエスパーを応援したくなるくらいものなんだけどね。C級娯楽映画と言っていいんでしょうねぇ。

● 主演は染谷将太。あと,池田エライザと真野恵里菜。脇を高橋メアリージュンや安田顕らが固める。
 池田エライザはひょっとして,これがデビュー作になるんだろうか。今の池田エライザはこんなシーンは撮らせてくれないかもよ。いや,撮らせるかな。そこは女優だから。

2021年11月10日水曜日

2021.11.09 Inside My Borders

Amazonプライムビデオ

● 「Inside My Borders」(2020年)。
 「世界を揺るがしたCovidのパンデミックは,多くの人々の旅行方法にも影響を及ぼし,海外への旅行や目的地の発見の可能性を制限しています。しかし,これは,イタリアの場所を訪問する機会を得たミケーレ・サンナにとっては問題ではありませんでした」というのが紹介文。

● イタリア南部の自然の中を自転車で走って,映像を紹介するというもの。
 Michele Sanna が1人で撮影しているんだろうか。自身が出発するところや坂道を下っていくシーンもあるのだが,予め機材を設置したうえで走って映し,カメラの視野を抜けたところで引き返して,機材を回収する。そういう撮り方をしているんだろうか。それとも撮影スタッフが動向しているんだろうか。

● ぼくらは水田に代表される水っぽい風景を好む民族じゃないかと思っているのだが,彼らは乾いたところが好きなようだ。
 なぜなのか。乾いたところで生まれ育ったからだと考えるほかはない。彼らにとって世界とはそういうものだろう。

● 登場人物は厳密には Michele Sanna のみではないのだが,事実上,旅行者であり語り手である彼しか出てこない。彼がイタリア語で喋り,画面に英語の字幕が出る。
 したがって,正確な意味はわからないのだが,基本,それで支障はない。自然を愛でる動画であって,起承転結のストーリーがあるわけではないし,人対人の会話があるわけでもない。
 Michele Sanna の独白だけなので,画面の景色を見ていれば,こんなことを言っているのだろうと想像がつく。その想像で困るところは何もない。

2021年11月9日火曜日

2021.11.08 蚤とり侍

Amazonプライムビデオ

● 「
とり侍」(2018年)。原作は松重男の同名の小説短編集。
 主役は阿部寛。豊川悦司,斎藤工,寺島しのぶ,風間杜夫,大竹しのぶ,松重豊,前田敦子らが脇を固めている。

● 主人公の寛之進が,理不尽な理由で “猫ののみとり” を行う江戸の貧乏長屋に左遷されてしまう。そこから話が始まるのだが,“猫ののみとり” とは「表向きは飼い猫の蚤除けで日銭を稼ぐが,女性客の求めがあれば売春も行う,江戸時代に実在した裏稼業であった」。江戸期のホスト業のようなものか。
 空想の産物ではなく,江戸期に実際にあった職業らしい。そこに眼を付けたところで,勝ちが約束されたようなものではないか。面白くならないはずがない。

● 「生真面目なエリート侍が,様々な出会いを通じて新たな生き甲斐を見つけていく様をユーモラスに描いた時代劇コメディ」。
 たとえば,豊川悦司の清兵衛が前田敦子の妻から,股間にうどん粉を塗りつけられるという場面がある。浮気封じのためなのだが,当然,うどん粉なんてどこにもあるわけで。しかし,敵は一枚上手だったという。
 そうした小道具を散りばめてあるので,それらも楽しみながら2時間弱を過ごすことができる。

2021年11月7日日曜日

2021.11.06 ラブ・クレイジー セックスだけの関係

Amazonプライムビデオ

● 「ラブ・クレイジー セックスだけの関係(字幕版)」(2020年 アメリカ)。
 「裕福な女性2人が失業中の男性2人を自宅のプールハウスに滞在させる代わりに,彼女たちへの性の奉仕を提案」して始まる。これにタイトルを加味すると,どんだけエロい映画なんだろうと期待に胸を膨らませることになるだろうが,じつはコミカルな純愛映画といっていい内容。
 ベッドシーンはあるんだけれども,どぎつい描写はない。オッパイの露出すらない。

● ジョー(ヨハン・アーブ)とスタニー(スティーヴィー・ロング)が仕事を首になった失業者の2人組。アン(クリステン・カー)とドナ(アンバー・ベンソン)が裕福な女性の2人組。
 ジョーとアン,スタニーとドナが恋仲になって・・・・・・という展開。ほとんど,この4人芝居で進行する。

● 小体なという言い方があるが,その小体な感じがする。洒落ている。
 ラストの後味もいい。スタニーがいいところを拐っていったという感じですかね。

2021年11月6日土曜日

2021.11.06 ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス

Amazonプライムビデオ

● 「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス(字幕版)」(2017年 アメリカ)。Amazonプライムでは,次のように紹介している。
≪世界最大級の〈知の殿堂〉ニューヨーク公共図書館の知られざる舞台裏を描いた,劇場大ヒットの話題作!≫
世界中の図書館員の憧れの的であり,NY有数の観光スポット。本作の主役は,荘厳な19世紀初頭のボザール様式の建築で知られる本館と92の分館からなる世界最大級の〈知の殿堂〉ニューヨーク公共図書館だ。文学,芸術などの分野でも多くの人材を育て,またNY市民の生活に密着した敷居の低い図書館。その活動は,我々の固定観念を打ち壊す。映画には,リチャード・ドーキンス博士,エルヴィス・コステロやパティ・スミスなど著名人も多数登場するが,カメラは図書館の内側の,観光客は決して立ち入れないSTAFF ONLYの舞台裏を見せていく。司書やボランティアの姿,幹部たちの会議…ここでしか見られない図書館の姿は必見!!
● 写真のような壮麗な図書館の内部を紹介していくのではない。この図書館で開催されるセミナーやワークショップ,講演会,音楽会,さらには図書館側の運営会議の様子が坦々と映される。
 それが3時間25分も続くのだ。その中にはたしかにリチャード・ドーキンスなどの著名人が登場するのだけれども,格調が高すぎるというのか,べダンチックが勝ちすぎるというのか。

● 坦々と続くセミナーやワークショップの様子を3時間以上も見続けるのは,かなりの苦行だった。というか,あと1時間というところでついに匙を投げた。もういいやと思ってしまった。
 図書館の周辺を映してくれているだろうから,まだ行ったことのないニューヨークにいる気分を味わえるかもしれないとの期待は,叶えられなかった。ニューヨークの街並が映ることがなくはないのだけれども,ほんの少し。
 
● ただ,今さらながらに知ったこともある。図書館には膨大な本が集積されているわけだが,図書館が提供するのは読書の喜びではないということだ。
 では何を提供するのか。調べるための手段を提供する。図書館の本義は市民が何ごとかを調べたいというときに,それを手助けすることにある。そのために図書館というシステムはある。

● 利用者が使っているノートパソコンは図書館のものではなくて,利用者が個人のものを持ち込んでいるのだろうが,Macばかりが映っていた。図書館スタッフが会議中に開いているパソコンもMac。たまぁにDELLが映ることもあったけどね。
 図書館が備えているパソコンもMacなんだろうか。ひょっとすると,民主党支持者と共和党支持者ではMacの使用者比率が違ったりするのかね。民主党支持者はMacを好むんだろうかね。つまり,Macユーザーにはリベラルが多いんだろうか。

2021年11月5日金曜日

2021.11.05 居眠り磐音

Amazonプライムビデオ

● 「居眠り磐音」(2019年)。Amazonプライムで見られるのは今日まで。といっても,じきにプライム対象に戻るだろうけど。

● 主人公の坂崎磐音(松坂桃李)は,「故郷・豊後関前藩で起きた,ある哀しい事件により,2人の幼馴染を失い,祝言を間近に控えた許嫁の奈緒を残して脱藩」ということになるのだが,その哀しい事件の初発というのがとにもかくにもバカバカしい。こんなバカはいないだろうというバカが事件を引き起こす。
 まぁ,それがないと話が始まらないのだが,ここの設定だけはどうにかならなかったのか。原作は小説だから,つまり文字で表現するから,バカバカしさを消すこともできようが,映像でこれはなぁ。
 原作を外れてでも,もう少しリアリティをまとわせて欲しかったかな。リアリティというか,それはありかもねと思えるキッカケを拵えて欲しかった。

● けれども,その後は面白かった。おこんの木村文乃,金兵衛(おこんの父親)の中村梅雀,阿波屋有楽斎の柄本明など,芸達者が脇を固めるのだが,高尾太夫の中村ゆりがどういうわけだか,見終えた後もチラチラ残っている。
 続編を見たい。坂崎磐音をシリーズものの剣豪に仕立てるのは難しいですかなぁ。刀をダランと下げた構えではインパクトに欠けますかねぇ。

2021.11.04 ロンドン・エディンバラ・ロンドン

Amazonプライムビデオ

● 「ロンドン・エディンバラ・ロンドン(字幕版)」(2020年 イギリス)。これは何かというと,ロンドンからエディンバラまで自転車で往復するという,ブルベだね,1400kmブルベ。
 そのドキュメンタリーだ。したがって登場人物はブルベに参加した人たちだ。

● 寝るところと食べるところを主催者側が提供している。食べるのなんか上げ膳据え膳だ。こんな至れり尽くせりのブルベがあったのかと思った。
 それとも,コースと開催時期の関係で,主催者がそこまでのサービスを提供しないと競技が成立しないような過酷な条件があるんだろうか。

 このブルベがいかに過酷なもので,参加者はどのようにして最後まで頑張り抜いたかという,感動物語にしたいようだ。
 参加者もいかに大変かを語ってやまない。困難なことに挑戦している稀有なチャレンジャーなのだ,自分は。と,自分で自分に酔ってしまっている人もけっこういるようなのだが,あれは撮影側からの要請なんだろうか。
 寝るところを提供してもらっていながら,他の人の鼾がうるさくて眠れなかったと曰ってしまう,サイクリストの風上にも置けない参加者もいる。文句があるなら外で寝ろと思ってしまった(外では寝させてもらえないのかもしれないけど)。

● 「5日間の忍耐と試練の旅」とあるので,1400kmを宿泊・食事付きで5日間で走ればいいわけだ。単純計算で1日280km。
 この程度なら,スラッとやってのける人が日本国内にもかなりの数,いるんじゃないか。もちろん,ぼくはできないけど。

● どんな自転車で参加しているのかも興味があった。日本で言うロードバイクっていうのは,イギリスでは少ないんだろうか。けっこう太いタイヤを履いている。
 ハンドルもドロップは少なくて,フラットに近いのが多い。ブルホーンバー装着がデフォルトなんだろうか。
 過半の自転車が泥除けを付けていた。シングルギアの人もいた。リカンベントも。ミニベロは1回だけ映った。

2021年11月3日水曜日

2021.11.02 千夜一夜物語

Amazonプライムビデオ

● 「千夜一夜物語」(1969年)。虫プロダクション製作の劇場用アニメ。ウィキペディア教授は「日本初の大人のためのアニメーション映画」と言っている。
 この時代としては,前衛的と言ってもいいような映像。たぶん18禁ではなかったのだと思うが,SEXシーンも含めて,官能的な描写がふんだんにある。抽象的な表現が多いのだが。
 でもって,その描写に惚れ惚れするというかな。この時代にここまでのアニメを作れていたんですねぇ。

● 声優陣も綺羅星のごとくだ。青島幸男,芥川比呂志,岸田今日子,小池朝雄,橋爪功,三谷昇,加藤治子ら。青島幸男の上手さが知れる。
 冒頭に女奴隷市のシーンが有る。女奴隷を競りにかけるわけだが,そのシーンの野次馬の声を,遠藤周作,吉行淳之介,北杜夫,小松左京,筒井康隆が担当していたらしい。これまた綺羅星のごとくだ。
 その場面だけ見直してみたのだが,誰がどの声なのかは当然ながらわからない。

● 主人公のアルディンはかなり身勝手な青年だ。快楽追求派で,惚れて連れだしたミリアムが死んでも,振り返ることはしない。マーディアを利用するだけ利用して,彼女を捨てて女護ヶ島の快楽を取る。そのマーディアはそれでもアルディンを忘れずに,15年後も彼を守る働きをする。
 イプセンの「ペール・ギュント」を連想させるところがあるが,アルディンの性格を造形するうえで「ペール・ギュント」も参考にしているのだろうか。

● 興行的にも成功したが,それでも虫プロの収支は赤字だったようだ。制作費を湯水のごとく使ったから。ともあれ,本作の成功で次の「クレオパトラ」につながっていく。
 それらもAmazonプライムで見ることができるんだろうか。なら,見ていこうと思うのだが。

2021年10月30日土曜日

2021.10.30 ランボー 最後の戦場

Amazonプライムビデオ

● 「ランボー 最後の戦場(字幕版)」(2008年 アメリカ)。主演,監督,脚本がシルヴェスター・スタローン。
 よくわからないのだが,これっていうのは監督がピッチャーで4番打者の野球チームのようなものか。なら,上手く行くわけがないだろう。
 野球のアナロジーで捉えてしまうのは間違いなんだろうけどね。

● 舞台はミャンマー。ミャンマーの軍人が悪役になっている。ロケはタイ北部で行われたらしい。

● どうも後味が悪い。理由はミャンマー軍人の描き方。たぶん,彼らはこうじゃないんだよね。いや,これは映画なんだからってことなんだけども,それにしても。
 彼らの残虐ぶりはむしろ欧米的だと思われる。制作側が自分たちの性格・性質を投影させているだけで,アジア人をこういうふうに描いてはいけないような気がする。
 しかし,観客もアメリカ人であることを想定しているんだろうから,わかりやすくしようとすれば,こうなるしかないのかねぇ。

● ここでのランボーはもはやランボーではない。単なる戦闘マシーンになってしまっている。たんに強いだけの,何の面白味もない男。ここでも,いや,そういう映画を作ろうとしたんだから,と言われるはずだが。
 いったいランボーは何を考えて傭兵隊と一緒に戦うことにしたのかもわからない。“ボート屋” に徹すればよかったのじゃないか。

● 戦闘地帯に乗り込もうとするNGOの面々の愚鈍さ。自分は正しいと居直る体質,上から目線体質,人の意見を聞かない体質。
 彼らが乗りこんだために,迫害されていたカレン族の被害は拡大してしまったかもしれない。正義の味方のつもりのトラブルメーカーだ。そういうふうに描いているわけだが。

● ランボー(という作品)をランボーたらしめていたのはトラウトマン大佐であったこともわかる。彼が登場しない本作は,やはりランボーではないのだ(大佐役のリチャード・クレンナは2003年にすい臓癌で死去)
 とにかく,よくわからん。戦闘シーンを見てくれ,という映画なのだろうかな。

2021年10月29日金曜日

2021.10.29 007 / ノー・タイム・トゥ・ダイ

TOHO CINEMAS 宇都宮

● 26日にAmazonプライムビデオで 007 シリーズの過去24作を見終えた。ので,いよいよ上映中の「ノー・タイム・トゥ・ダイ」を見に行くかと思って,27日に TOHO CINEMAS 宇都宮に行った。が,見るつもりでいた15:30からの上映がその日はなくて,虚しく帰ってきたのだった。
 訳あって車が使えないので,また行くのは面倒だなぁと思いもしたんだけども,やっぱこれを見ないわけにはいかない。いや,見たいと思った。で,今日,見てきた。今日は15:30からの上映があった。
 ちなみに,見たのは字幕版。吹替版はすでに上映されていないようだ。

● 映画はもっぱら Amazonプライムビデオで見るのがあたりまえになった。ノートパソコンで見ている。
 そのパソコンの電源が入らなくなったので,9月に買い替えた。画面も14インチとそれまでより大きくなり,スピーカーも良くなった。パソコンの外側から聞こえてくるような臨場感も味わえる。
 これはいいと大いに満足しているのだが,映画館で見るのは,当然だけれども,それとは比較にならない。特にこういうアクション系の映画は一層そうだ。
 映画館で見るのでなければ映画を見るとは言えないのではないか,という気分になってくる。

● その音響効果もあって,迫力のある映画だと思った。見て正解だった。見なきゃいけませんよ,劇場でね。
 前作の「スペクター」は2015年だったから6年ぶりになる。コロナ禍がなければ,もっと早く完成していたのだろう。
 監督はキャリー・ジョージ・フクナガが務めているが,元々はダニー・ボイル監督で始まったようだ。どうも,色々とあったらしい。ツワモノが集まるとそうなる。色々あるのが傑作を生むための条件なのかもしれないね。

● ストーリーの展開もね。最後はこうなるのかという驚きもあってね。
 っていうか,この結末は何となく知ってはいましたよ。何となく知ってはいたけれども(ウィキペディアにストーリーの詳細が載っている),実際に見てみると 007 シリーズはこれで終わってしまうのか,最後の作品を劇場で見ることができたのか,と少し感傷的な気分になりましたよ。
 これでは歴代ボンドの誰がナンバーワンかと問われれば,ダニエル・クレイグと答えるしかなくなるじゃないか。
 でも,ロールエンドの最後に JAMES BOND WILL RETURN とあった。それが本当なら(本当なんだろうけど),どういう形で RETURN させるんだろうか。

● 前作で登場した女医のマドレーヌ・スワン(レア・セドゥ)が今回も登場。ボンドガールが2作連続となるのは初めてだ。ボンドは引退して,彼女とイタリアで暮らしているという設定。
 そこで事件が起こり,彼女と別れてしまう。劇中では一挙に5年後に飛ぶ。ボンドはジャマイカで引退後の暮らしを楽しんでいる。マドレーヌには娘がいた。ボンドとの間にできた子に決まっている。

● ボンドが釣った魚を抱えて家に戻ってくるシーンがあった。立派なのを2匹釣ったのだが,自分で料理するんだろうか。
 引退後に外国で暮らすというのは,イギリスではわりとあることなんだろうか。それともボンドは特別? できたら前者であって欲しい。さすがは7つの海を制覇した大英帝国らしいなと思うことができるから。日本とは違うわい,と。
 日本でもバブル期には,定年退職後の余生を東南アジアで過ごすなんてのが雑誌で特集されたりしたことがあったけど。実際にやったバカもいたらしい。

● 引退したボンドに代わって,ノーミ(ラシャーナ・リンチ)が新たな 007 になっている。黒人女性の 007。そのラシャーナ・リンチが何だかカッコよかった。
 アナ・デ・アルマスが演じたCIAエージェントであるパロマもなかなか。男性観客へのサービスなんでしょうかねぇ。
 ナオミ・ハリスが演じるマネーペニーがボンドのあとのエージェントになるという設定でもよかったのじゃないかと思うのは,素人すぎますかなぁ。

● 数年前にシネマイレージカードを作って,チケットはそのカードで購入している。ぼくのようなロートルはシニア割引があるので,歳を取るのも悪いことばかりではないなぁと思いながら割引料金で見てきたのだが,今回は “会員” のところをタップしてみた。
 会員価格もシニア割引と同じ1,200円なのだが,シニア割引より会員価格の方が何となくカッコいいので,以後もこちらで買おうと思う。が,“会員” という項目は今までは表示されなかったような気がするのだけど,前からあったんですかねぇ。

● 平日の午後とあって,館内は空いていた。お客の数はちょうど10人。
 うち5人がたぶん定年後のオッサン(ぼくを含む)。2人が学生とおぼしき男性。2人がアラフォー女性。2人とも1人で見に来ていた。子なしの専業主婦か。1人が壮年男性。サービス業で今日が休みだったんだろうか。