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ジョン・グレンはこれから5作連続で監督を担当し,監督としてはボンドシリーズ最多出場となる。
● 前作の「ムーンレイカー」はボンドシリーズとしてはいささか異色の宇宙編。いくらジェームズ・ボンドでもここまでは無理だろうと言いたくなる荒唐無稽の展開だった。
今回は正気に戻ったというか,雪山や海中でのバトル,その道のプロでも難しいのではないかと思われる登攀でのアクションシーンで画面をつないでいる。それから,今回はお色気も少なめ。
まだ東西冷戦の時代なので,ソ連と西側の対立が背景になっている。
● タイトルの「ユア・アイズ・オンリー」は,劇中の字幕で「読後焼却すべし」と訳されていた。上手いなと思った。
● ボンドが記憶に基づいて完璧なモンタージュを再現する。と,それをコンピュータが照合して,それが誰なのかがわかってしまう。各国が情報を出して,犯罪者の顔写真をすべてデータベース化しているのだが,そうだとしても顔の照合をコンピュータがするというのはすごい。この時点ではSFに属することだったはずだ。
ポータブルな入力端末(ディスプレイ付きのキーボード)も登場する。1981年だと,日本でもワープロ専用機が登場してはいたけれども,現物を見たことがある人はごくごく少数だったろう。ぼくも知らなかった。
● 今回のボンドガールはメリナ・ハブロックを演じたキャロル・ブーケ。美貌と冷静さと頭の切れ味と素早い判断力を備え,ボンドの相棒としてはうってつけ。