2020年10月17日土曜日

2020.10.17 禅 ZEN

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● 「禅 ZEN」(2009年)。原作は大谷哲夫の小説『永平の風 道元の生涯』。
 主人公を正義感に富み,能力に溢れ,慈愛に満ちた完全無欠のヒーローとして描かれると,特に映像の場合は薄っぺらな印象になる。仏教の開祖ともなれば,クリーンさも強調されがちだから尚更だ。
 かといって,道元が凡庸なはずもない。凄さを描くのが難しいジャンルだと思う。

● 画面に華を添えているのは内田有紀。男オンリーでは白黒になってしまって,色彩感が出ない。
 登場人物たち(特に笹野高史)の中国語がそれらしく聞こえるのに驚いた。

● 臨終に際して,中村勘太郎の道元は,弟子たちに一瞬たりとも懈怠するなと説く。それは普通の人にはできませんよね。
 日本史の授業で鎌倉仏教は易行を特徴とすると習った記憶があるのだが,禅は考え方も修法も易行とは対極にあるもので,鎌倉仏教全体をそのように括ってしまうのは間違いでしょうねぇ。