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2022年5月21日土曜日

2022.05.20 宇都宮市立視聴覚ライブラリー 20世紀名画座 「ミニヴァー夫人」

宇都宮市立東図書館 2階集会室

● 「ミニヴァー夫人」(1942年)。舞台は第二次大戦中のイギリスだが,アメリカの映画。安穏に暮らしていた田舎の「中産階級」の家庭が,戦争によって大きく変わっていく様子を描いている。
 といっても,どこかに明るさをとどめていて,日本的なジメジメ感はない。乾いている。

● 中産階級といっても,かつての日本の一億総中流の中流ではない。日本語になっているブルジョアが最も近いと思う。大企業のサラリーマン上がりの雇われ社長では,ミニヴァー家の暮らし(メイドや調理人など使用人が何人かいる)は実現できない。上手く行っている非上場企業のオーナー社長の中にはいるかもしれない。
 そういう家庭の話なのだが,戦争という非常事態の中では,ノンブルジョアの一般家庭と同じ地平に置かれることになる。家族の死の可能性において,特別扱いされることはないから。

● ミニヴァー夫人のグリア・ガースンは本作でアカデミー賞主演女優賞を得ている。同じ1942年に公開された「心の旅路」でも主役のポーラを演じていて,こちらも記憶に残る映画だ。その頃の花形女優だったのだろう。
 他に,ウォルター・ピジョン,テレサ・ライト,デイム・メイ・ウィッティ,ヘンリー・トラヴァース,リチャード・ネイ。

● この映画に出ていた俳優は,子役も含めて,たぶん全員が鬼籍に入っているのではないかと思うが,こうして彼らが活き活きと演技している様子をフィルムで見ることができる。100年後,200年後の人たちも同じように見ることができるわけだろう。
 俳優という仕事は,全員がそうだというわけではないにしても,時間を突き抜けることができる特別な職業なのだなと思った。

2018年2月20日火曜日

2018.02.10 宇都宮市民プラザ ウィークエンドシネマ 「嵐が丘」

宇都宮市民プラザ 多目的ホール

● 1939年のアメリカ映画。監督はウィリアム・ワイラー。キャシー(マール・オベロン)とヒースクリフ(ローレンス・オリヴィエ)の恋物語。
 オベロンとオリヴィエが反目しあっていて,撮影はなかなか大変だったとは,Wikipediaから得た豆知識。

● エミリー・ブロンテの原作は読んだことがないんだけど,「嵐が丘」ってハーレクイン・ロマンスの1冊なのかい?
 というのは,キャシーもヒースクリフも大人になりきれてないんだよね。いうなら,大人になれない中年男女の純愛物語といった感じなんだよ。特にキャシーは二重人格的なところがあって,物語の展開がわりと御都合主義だと思ってしまった。
 まぁ,原作と映画とでは,微妙に違うのが常だろう。細部が違うと受ける印象はけっこう違ってくるものだとは思うんだが。

● しかも,2人が純愛を貫くおかげで,周りの人は不幸になっていくんだよね。そうまでして貫かなければならない愛なんて,あっていいのかと思うよ。
 それでも若いときにはやってしまうことがある。でも,いい年こいてもなおっていうのはなぁ。

● ま,これは映画の世界の話。リアルにはないことがあるから映画なのだ。そうなのだと思うことにする。
 が,もう一度見たいかと問われれば,一度で充分というのがぼくの答え。