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2022年6月17日金曜日

2022.06.17 宇都宮市立視聴覚ライブラリー 20世紀名画座 「我が家の楽園」

宇都宮市立東図書館 2階集会室

● 1938年のアメリカ映画。原作はジョージ・S・カウフマン&モス・ハートの戯曲。
 昭和13年にこういう映画を作っていたのか,アメリカは。今見ても全然古くない。もちろん,劇中人物が乗る自動車はクラシックカーだし,街並みや街路の様子は今とは違うわけだが,それ以外はほぼ違和感を感じない。
 アメリカ人はこの頃にはすでにタイプライターで文書を作っていたのか,という驚きもあり。

● ハッキリとした主役はいない。アリスのジーン・アーサー,トニーのジェームズ・スチュワート,バンダーホフのライオネル・バリモア,カービーのエドワード・アーノルドの4人が主役格。
 この中で最も存在感があるのは,体型ゆえかもしれないのだが,エドワード・アーノルド。

● 当代のコメディアンも出演していて,随所にお笑いがある。コメディでもあるところが,古さを感じさせない理由のひとつかもしれない。
 何が幸せか。何を幸せと感じるか。それも時代の制約を受けるものだと思うのだが,その掘下げ方も現代にジャストフィットする。それも古さを感じさせない理由だろう。

● ラテン気質 vs サクソン気質 の対決のドラマというわけではないのだが,ワーカホリックのカービーとそこから降りたバンダーホフの対比がひとつにはある。
 その頃のワーカホリックなど,今から見ればノンビリしたものではなかったかと思うのだが,劇中には現代と変わらないストレスに見舞われるカービーがいる。
 最後は,カービーはバンダーホフの軍門に降り,それをみて観客は拍手喝采することになる。あるいは,良かった良かったと胸をなでおろすことになる。

● さて,会場は気が滅入るほどに年寄り臭い(→ おまえが言うな)。見事に年寄りばかりだ。後期高齢者が多い。金曜日の昼間に映画を見に来れる人は年寄りしかいないだろうし,こういう昔の映画を若い人は見ないのだろう。
 昔は見る若者がいた。インターネットはおろか,DVDもビデオテープもなかったから,名画座が成り立った。
 とはいえ,この映画は見れて良かった。家で1人で見るのではなく,他の人たちと一緒に大きな画面で見るという見方で見れて良かった。

2015年10月18日日曜日

2015.10.18 宇都宮市立南図書館名作映画会 「或る夜の出来事」

宇都宮市立南図書館 サザンクロスホール

● 1934年のアメリカ映画。富豪の娘エリー(クローデット・コルベール)と新聞記者ピーター(クラーク・ゲーブル)の恋物語。

 といっても,ふたりとも大人なわけで,何より映画なわけで,そこは様々なエピソードやくすぐりを利かせて,愉快痛快な内容になっている。最後はハッピーエンド。

● クラーク・ゲーブルって,日本でいえば三船敏郎のような役者ですか。どんな役をやっても,クラーク・ゲーブルだ。役に没入するというより,あらゆる役を自分に引きずりこむみたいな。

● エリーの父親アンドリュース(ウォルター・コノリー)も面白い役どころ。真剣に愚かな娘を案じていたことが最後にわかる仕掛けになっている。あのままウェストリー(ジェムソン・トーマス)と結婚していたら,必ずエリーは後悔することになったはずでね。
 が,ピーターとの結婚も先が思いやられると思うんだけどねぇ。彼ほどの男は必ず浮気するからな。

 途中で,お金がなくなってヒッチハイクでニューヨークをめざすことになる。エリーが令嬢らしからぬ色じかけで車を止めるのは,方程式どおり(今では古くて使われなくなっているのだろうけど)。安心して見ていることができた。

● こういう展開はリアルではあり得ない。ましてさえない小市民かつ凡人の自分には絶対に起こらない。
 それをスクリーンで追体験して,束の間のカタルシスを味わえるのが,こうした映画の醍醐味なのだろう。

● 名画座が消滅して久しい。今ならDVDをただに近い値段で借りていくらでも見られるのだろう。ひょっとすると,ネットにも転がっているのかもしれない。
 が,そうやって見たいとは思わないんだよなぁ。やはり他の人たちと一緒に,かつてと同じ大きさのスクリーンで見たい。意味のないノスタルジアかもしれないけれど。
 宇都宮市の図書館や視聴覚ライブラリーではけっこうマメに公開してくれてて,ありがたい。