2015年10月18日日曜日

2015.10.18 宇都宮市立南図書館名作映画会 「或る夜の出来事」

宇都宮市立南図書館 サザンクロスホール

● 1934年のアメリカ映画。富豪の娘エリー(クローデット・コルベール)と新聞記者ピーター(クラーク・ゲーブル)の恋物語。

 といっても,ふたりとも大人なわけで,何より映画なわけで,そこは様々なエピソードやくすぐりを利かせて,愉快痛快な内容になっている。最後はハッピーエンド。

● クラーク・ゲーブルって,日本でいえば三船敏郎のような役者ですか。どんな役をやっても,クラーク・ゲーブルだ。役に没入するというより,あらゆる役を自分に引きずりこむみたいな。

● エリーの父親アンドリュース(ウォルター・コノリー)も面白い役どころ。真剣に愚かな娘を案じていたことが最後にわかる仕掛けになっている。あのままウェストリー(ジェムソン・トーマス)と結婚していたら,必ずエリーは後悔することになったはずでね。
 が,ピーターとの結婚も先が思いやられると思うんだけどねぇ。彼ほどの男は必ず浮気するからな。

 途中で,お金がなくなってヒッチハイクでニューヨークをめざすことになる。エリーが令嬢らしからぬ色じかけで車を止めるのは,方程式どおり(今では古くて使われなくなっているのだろうけど)。安心して見ていることができた。

● こういう展開はリアルではあり得ない。ましてさえない小市民かつ凡人の自分には絶対に起こらない。
 それをスクリーンで追体験して,束の間のカタルシスを味わえるのが,こうした映画の醍醐味なのだろう。

● 名画座が消滅して久しい。今ならDVDをただに近い値段で借りていくらでも見られるのだろう。ひょっとすると,ネットにも転がっているのかもしれない。
 が,そうやって見たいとは思わないんだよなぁ。やはり他の人たちと一緒に,かつてと同じ大きさのスクリーンで見たい。意味のないノスタルジアかもしれないけれど。
 宇都宮市の図書館や視聴覚ライブラリーではけっこうマメに公開してくれてて,ありがたい。

2015年10月17日土曜日

2015.10.17 宇都宮市立視聴覚ライブラリー 20世紀名画座 「我が道を往く」

宇都宮市立東図書館 2階集会室

● 公開は1944年。昭和19年。つまり,アメリカが太平洋戦争を戦っていた最中(しかし勝利は決定的になっていた)のことだ。
 が,この映画に戦争臭はまったくない。

● 舞台はニューヨークの下町(場末?)にあるセント・ドミニク教会。45年前にこの教会を建てて,ずっと神父を務めているフィッツギボン老神父(バリー・フィッツジェラルド)のところに,若いチャック・オマリー神父(ビング・クロスビー)が助手として赴任してくる。
 じつは,この教会は赤字でどうにもならない状態だったため,おまえが行って立て直してこいと“司教さま”の命令を受けた隠密剣士(?)だった。

● オマリーは歌もピアノも巧く,作曲の才能もあって,札付きの不良少年たちを聖歌隊に取りこんでしまう人なつこさを備えていて,美人のオペラ歌手リンデン(リーゼ・スティーヴンス)に思いを寄せられる伊達男である。
 羨ましい限りだ。主人公はかくあるべし。

● 終盤,フィッツギボンが心血を注いだ教会が焼け落ちてしまう。
 が,オマリーが作った曲がレコード会社に売れ,再建のめどがついたところで,オマリーに異動辞令が出る。

● 18歳の家で娘キャロル(ジーン・ヘザー)がキュート。楽天的でバカっぽくて,でも情があってほんとは賢いんだぞ,という役どころ。
 メインはオマリーとフィッツギボンの絡み。フィッツギボンを演じたバリー・フィッツジェラルドが,この映画の屋台骨を支えている。

● タイトルの「我が道を往く」は劇中でオマリーが歌う歌から取ったものと思われる。オマリーもフィッツギボンもリンデンもキャロルも,わが道を行っているわけだけれども。
 もちろん,映画の中の話だから,おとぎ話ではある。そのおとぎ話のカタルシス効果を味わえる。