2022年3月31日木曜日

2022.03.30 風の中の牝雞

DVD(デジタルリマスター修復版)

● 「風の中の牝雞(かぜのなかのめんどり)」(1948年)。
 戦争が終わって3年後に上映された。戦後,いち早く復活したのが浅草の映画館だったと聞いたことがある。
 人々は満足に喰えない状態でも娯楽を渇望するものだというのが半分,映画人も何もしないで遊んでいるわけにはいかなかったというのが半分,だろうか。

● 「終戦直後の日本の女たちにふりかかった悲劇に小津安二郎が真正面から挑んだ異色問題作」で,どういうストーリーかというと,「戦争が終わり,困窮した生活の中で夫の復員を待ちわびている妻が,子供の病気の治療費のために一度だけ売春をしてしまった。まもなくして夫が帰還。しかし妻は良心の呵責に苦しみ,ついに真相を夫に告白してしまう」というもの。
 田中絹代演じる時子は,“ついに” というよりは至極あっさりと話してしまうのだが,これは話しちゃいかんだろうというね。この議論(?)は劇中でもなされるのだが,どう考えたって話しちゃダメでしょ。

● 秘密を持つのがイヤだっていうのは,荷物を持つのがイヤだというのと同じだもんね。あまりに幼稚でしょうよ。
 男女間で完全なるディスクロージャーを実施してますなんて,あり得ない。隠すつもりがなくて隠していることなんてたくさんあるわけで,そうだからこそ関係は維持される。
 墓場まで持っていく秘密はあって当然。それをできるのが大人だと言ってもいい。

● で,それを聞いた修一(佐野周二)の対応も,どうしよもないクズ男君なのだ。女々しい。「めめしい」は男々しいと書くのがいいかもしれないね。
 貞操に対する考え方というのは,今とはだいぶ違うのだろうけどねぇ。女性に対する縛りがキツかったと思うのだけれども,それにしてもねぇ。

● 根本には負担の不平等が横たわっている。女の負担が多すぎる。で,楽な方の男が優位に立つというのだから,何ともしょうがない。
 最後には,修一が時子に夫婦のあり方について訓示を垂れるんだが,馬鹿野郎,出来損ないの坊主が釈迦に説法するな,と思うしかないよね,これは。

● もうひとつ。時子は尽くしちゃうタイプなんだよね。自分を殺して相手を立てる,徹底的にそうする。これは火に油を注いじゃうよね。損なタイプだねぇ。
 最後はハッピーエンドと言っていいんだろう。とりあえず,形を作ってくれてありがたかった。

● 出演者は,田中絹代と佐野周二の他に,村田知英子,笠智衆,水上令子など。

2022年3月30日水曜日

2022.03.29 宗方姉妹

DVD

● 「宗方姉妹」(1950年)。原作がある。大佛次郎の同名小説。
 「因習にとらわれて生きる姉と奔放な妹を対比させながら変わりゆく家庭の姿を描いている」と言われれば,そのとおり。

● 姉の節子が田中絹代。妹の満里子が高峰秀子。他に,上原謙,高杉早苗,笠智衆,山村聡など。笠智衆が登場しない小津映画ってあるんだろうか。
 印象に残ったのが飲み屋「三銀」の女中役の堀越節子。現代的な風貌と演技。今どきのお嬢さんで通用するような。

● 時代が変わっても変わらない良きものは,間違いなくあるのだろうけれども,さすがに節子の処世術は現代ではあり得ない。報われない苦労をあえて選択するというレベルを超えて,これでは自分を虐待していると今の人なら思うのではないか。
 上原謙の宏が,報われなかったなんてことはありません,それであなたがよりあなたらしくなったのですから,という意味のことを言うシーンがあるのだが,その言い方でまとめきれるものなのか。

● 管理演技という言葉を作ってみた。演技に関して俳優に与えられた自由度はけっこう小さいのではないか。かなり細かく,ああせい,こうせい,という指示が監督から出ているっぽい。
 したがって,破綻なくまとまっているのだけれども,ひょっとすると演じる俳優陣には不完全燃焼感が残ったのではあるまいか。これまた,時代ということだろうか。

2022年3月29日火曜日

2022.03.28 お茶漬の味

DVD(デジタルリマスター修復版)

● 「お茶漬の味」(1952年)。
主演は佐分利信と木暮実千代。
 他に,鶴田浩二,笠智衆,淡島千景,津島恵子,上原葉子(加山雄三の母),三宅邦子など。津島恵子って若いときはこうだったのか。

● 「地方出身の素朴な夫(茂吉)と夫にうんざりする上流階級出身の妻(妙子),二人のすれ違いと和解が描かれる」のだが,和解の直接のキッカケはない。妻が友人たちに散々たしなめられるのだが,それが理由ではないだろう。
 ちょうどこうなるタイミングだったのだろうなと考えるほかはない。

● 「妙子は初めて夫の心の広さ,結婚生活のすばらしさを感じて,夫を心から愛するようになるのだった」っていうのはねぇ。いやそのとおりの展開なんだけれども,時代背景とでもいうものが大きく影響していますか。
 男尊女卑的な考え方が,建前だけだとしても残っていたのかな,と。中学生のときだったけれども,男のバカと女のリコウは匹敵すると口走った教師がいたっけな。ずいぶん,男に都合のいい話だよねぇ。

● その和解の場面。茂吉と妙子が2人でお茶漬けを用意して食べる。
 このときの木暮実千代の所作は妻のそれではない。銀座の “女給” か旅館の仲居か,職業として給仕して,職業として自らも食べる女,という感じ。
 要するに,色っぽすぎるのだ。こんな夫婦はいないぞ。

● 住込みのお手伝いさんを雇っている上流階層の夫婦の話だ。男たちはもちろん,女たちも煙草を吸う。この頃はそうだったんだろうか。パチンコや競輪も上流階層の遊びだったのだろうか。
 小津映画の特徴のひとつは脚本にある。上流階層の東京弁はこうだったのかと思わせる喋り口(もちろん,違うだろうが)。

2022年3月25日金曜日

2022.03.24 津軽百年食堂

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● 「津軽百年食堂」(2011年)。原作は森沢明夫の同名小説。「青森県が,三代,約100年続く大衆食堂を百年食堂と名付け,観光の目玉の一つとしたことから生まれた作品」であるらしい。

● してみると,この映画はご当地映画ということになるのだろうか。弘前のさくらまつりが主な舞台になる。
 正直,どこぞの大学の映画研究会が作ったのかと思わせる箇所もあった。

● 主演は藤森慎吾,中田敦彦,福田沙紀の3人。中田敦彦は明治末期の弘前で津軽蕎麦の “大森食堂” を始めた初代で,藤森慎吾は四代目の役。
 かとうかず子と藤吉久美子も出ていたが,映画を見ているときにはそうだとはわからなかった。エンディングロールで知った。懐かしいねぇ。

● 寿司もそうだが蕎麦打ちに対しても,実際よりも深遠だと思いたがる癖がぼくらにあるんだろうか。職人の世界は奥が深いのだ,と。なかなか簡単に奥義を極めることはできないものだ,長い修行が必要だ,と。
 実際のところはどうなんだろうか。ついでに申さば,家元なるものが現在でも存在するお茶や花の世界はどうなんだろうか。

2022.03.23 映画ドラえもん 新・のび太の大魔境 ペコと5人の探検隊

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● 「映画ドラえもん 新・のび太の大魔境 ペコと5人の探検隊」(2014年)。1982年の「映画ドラえもん のび太の大魔境」のリメイク版。
 前作も2年前に見ているものの,例によって完全忘却しているので,初めて見るのと同じ新鮮な気分で見ることができる。

● アフリカの中央部に厚い霧に覆われた “ヘビー・スモーカーズ・フォレスト” があった。そこには犬から進化した高等生物が住んでいる。
 しかし,悪い大臣が王子を追放し,国を乗っ取っている。追放された王子とドラえもんたちが王統復活をかけて,大臣一味と激突する。

● 今回はジャイアンがカッコいい。思慮深い哲人になっている。しずかちゃんが機転を利かせて,絶体絶命の危機を打開する。
 王子がのび太とあったときには,子犬に姿を変えていた。のび太は子犬を家に持ち帰って,ペコという名を付けて飼い始める。
 で,ペコが王子だとわかったあとも,王子をペコと読んでペット扱いをしているのだが,それでいいのかね。まずいだろ,さすがに。

● 声優陣に夏目三久と小栗旬がいる。オープニングテーマは「夢をかなえてドラえもん」。エンディングテーマはKis-My-Ft2「光のシグナル」。

● 2年前にも「映画ドラえもん」をまとめて見ている。今月も6本見たのだが,これで過去の「映画ドラえもん」40作をひと通り見たことになる。
 こんなことができるのも,Amazonプライムがあるおかげ。もちろん,他のサブスクもあるし,ABEMA でも見られるらしいのだが,要はインターネットの恩恵と言える。良い時代に間に合ってよかった。

2022.03.22 映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生

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● 「映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生」(2016年)。1989年の「映画ドラえもん のび太の日本誕生」のリメイク版。1989年版は2年前に見ているが,毎度のことながらどんな内容だったか完全に忘れている。
 それゆえ,オリジナル版と比べて,どこがどう変わったとか,オリジナル版の方が良かったとか,具にもつかぬことに気を取られることなく見ることができる。

● 舞台は7万年前の日本。まだ大陸と陸続きで,日本海は湖だった。中国大陸の某所で,平和に暮らしていたヒカリ族が精霊王ギガゾンビとクラヤミ族に襲われ,奴隷として連れ去られる。
 ドラえもんたちがヒカリ族を救うため立ち上がる! 善対悪のわかりやすい構図は毎回同じだ。子供に向けているわけだから。

● もうひとつの糸は,のび太とのび太がの作ったペットであるペガ(ペガサス)・グリ(グリフィン)・ドラコ(ドラゴン)との別れ。
 濃密に苦楽を共にした動物との別れは,アニメであっても刺さるに決まっている。鉄板のシチュエーション。

● それはいいとして,どうもドラえもんの道具が万能すぎる。お誂え向きの道具を出し過ぎじゃないのか。
 と,思いました。まぁ,いいっちゃいいんですけどね,それがこのアニメの面白さを作っている要因の1つでもあるわけなので。

● 主題歌は,オープニングテーマがmao「夢をかなえてドラえもん」。「ハグしちゃお」の次のオープニングテーマ曲になりますか。
 エンディングテーマは山崎まさよし「空へ」。

2022.03.22 映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ

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● 「映画 すみっコぐらし 青い月夜のまほうのコ」(2021年)。「とびだす絵本とひみつのコ」に続く,「すみっコぐらし」の劇場アニメ第2弾。
 ナレーションは前作と同じく,井ノ原快彦と本上まなみが担当している。

● すみっコたちの町にやってきて,帰りそびれた末っ子の魔法使いとすみっコたちの交流がメインテーマになる。
 が,この映画の不思議な魅力はテーマにあるのではなくて,すみっコたちや魔法使いファイブのドジさ加減の按配や,個々の登場人物たちの身体や表情をかたどる線画や,通常のアニメーションではない静止画による動きの表現など,いたって些細なところにある。たぶん。

2022年3月22日火曜日

2022.03.21 カーライル ニューヨークが恋したホテル(字幕版)

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● 「カーライル ニューヨークが恋したホテル(字幕版)」(2019年)。こんなのはAmazonプライムじゃなければ(正確には,ネットのサブスク動画サービスでなければ)見られない動画でしょうかね。

● 「米ニューヨークにある伝説の5つ星ホテルの魅力に迫るドキュメンタリー」。カーライルの正式名称は「ザ・カーライル ア ローズウッド ホテル」というらしい。
 「マンハッタンで1930年に創業し,1泊200万円もするスイートルームを擁する超高級ホテル」で,「数ある上等なホテルの中,英国王室や歴代米大統領,映画スター,ミュージシャン,アスリートといったセレブたちはなぜカーライルを選ぶのか」を探っていく。

● 登場するのは,ジョージ・クルーニー,ウェス・アンダーソン,ソフィア・コッポラ,トミー・リー・ジョーンズ,ナオミ・キャンベル,ジャック・ニコルソン,ロジャー・フェデラー,ハリソン・フォードといった面々。他にもたくさんいるが。
 コンドリーザ・ライスもいた。ジョージ・W・ブッシュ政権でアメリカ合衆国国務長官を務めた人。

● スタッフも何人も登場する。その代表はコンシェルジュのドワイト。「吃音症を抱えながら36年間カーライルを支えてきた。上品で温かい接客は宿泊客からもスタッフからも愛されている」という。
 彼に限らず,スタッフはセレブであろう宿泊客にかしずくのではなく,対等なフレンドリーな関係を作っている。本当にそうなのか,そういうふうに撮っているのかはわからないが,おそらく前者だろう。

● スタッフと宿泊客がひとつのコミュニティを作っていたのだなという印象を持った。スタッフの異動が少ない。長く働いている。宿泊客も一見さんではなく常連客が多い。
 したがって,話の種に一回泊まってみるか,金ならあるぞ,というお方は,お呼びじゃないかもしれない。楽しめないのじゃないか,居心地が悪くて。

● 92分のPR動画だという評価もある。「過去のカーライルホテルを利用した映画スター,スポーツ選手,政治家,王族の写真や映像をオンパレードで紹介していく。それに対して従業員のインタビューを差し込んで展開。終始ホテルを “褒めごろす” 映画の構成となっている」,と。
 自分には無縁な場所だと思って見ているからでもあるのだと思うが,このホテルにさほどの魅力は感じない。そこが縁なき衆生の縁のない所以だと思うのだが,この場所に自分を置いてみたいとはあまり思わなかった。

● 1泊で200万円取れる宿泊施設が日本には欠けている,という指摘は以前からある。アラブの石油王に代表される超富裕な層が泊まれるホテルが日本にはない。
 金だけは腐るほど持っているが,それ以外の教養や品性やたしなみというものは持ち合わせていない超富裕層がもしいるならば,そいつらからはいくらふんだくってもかまわないと思うが,ふんだくるにしてもふんだくれるだけのノウハウが要る。そのノウハウが日本にはない。

2022.03.20 映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団

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● 「映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団」(2011年)。1986年の「映画ドラえもん のび太と鉄人兵団」のリメイク版。元のも2年前にAmazonプライムで見ているが,中身はすっかり忘れている。
 ので,リメイクであることを意識しないで見ることができるのはありがたい。

● メカトピア星のロボットたちが地球に攻めてくるのを,ドラえもんやのび太たちがメカトピアの “労働ロボット” のリルル,ピッポと協力して防ぐ話。
 テーマはのび太たちとリルル,ピッポの交流。

● ネットで評判を繙くと,けっこう辛口のコメントを見かける。オリジナル版になくてもいい話を加えただけだとか,感動させようとするのが見え見えで,それでは逆に感動できないとか。
 貶すのには快感が伴うからね。自分が制作側と同じ地平に立てているような快い錯覚に堕ちることができる。が,素人が思いつくようなことを制作側が見逃すことはない。放映時間の中で展開のスピードや起伏を考えて,“本譜” の順を踏んでいるのだ。

2022年3月18日金曜日

2022.03.17 映画ドラえもん のび太の新魔界大冒険  7人の魔法使い

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● 「映画ドラえもん のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使い」(2007年)。1984年の「映画ドラえもん のび太の魔界大冒険」のリメイク版。
 その1984年版は2年前にAmazonプライムで見ているが,細部はおろかストーリーまで忘れ果てている。ので,リメイク版はどこがどう変わっているのか,一切わからない。

● 問題を作った道具が「もしもボックス」なのと,劇中のヒロインが美夜子なのは同じだ。それだけは確認できる。
 放映時間もリメイク版の方が長いのじゃないかと思う。約2時間だ。

● 7人の魔法使いとは,ドラえもん,のび太,ジャイアン,スネ夫,しずかちゃん,ドラミ,美夜子のことでありましょうね。
 声優陣はレギュラーのほか,美夜子が相武紗季,満月博士(美夜子の父親)が河本準一,メジューサ(美夜子の母親)が久本雅美。いずれも,最後のエンドロールで知った。見ているときには,まったくわかりませんです。
 それを言うなら,ドラミが千秋だというのも,想像つかないけどねぇ。

2022年3月16日水曜日

2022.03.15 センセイ君主

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● 「センセイ君主」(2018年)。原作は幸田もも子の同名の漫画。

● 劇中の舞台は高校。高テンションでパワフルな女子高生のヒロイン役がこのとき17歳の浜辺美波。徹底して三枚目を演じる。動作,表情,声と徹底的な三枚目。
 ここまでの三枚目な浜辺美波を見られるという意味で,貴重な映画でしょう。

● 他に,竹内涼真,佐藤大樹(EXILE),川栄李奈,新川優愛。モテ過ぎの弘光由貴を竹内涼真が演じる。何だか,竹内涼真の弘光由貴もいい感じ。
 最後は漫画チックなハッピーエンド。そこもいい。そこまでの色彩を一転して,最後を純愛物語にしようとすればいくらでもできた。そこを漫画チックに締めて,やっぱりこの終わり方がいいよねと思わせて終わる。後味がいい。

● 主題歌は TWICE「I WANT YOU BACK」。TWICE とは韓国人5人,日本人3人,台湾人1人で構成される「韓国の9人組多国籍ガールズグループ」。

2022年3月15日火曜日

2022.03.14 パラレルワールド・ラブストーリー

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● 「パラレルワールド・ラブストーリー」(2019年)。
 これは東野圭吾の原作に違いないと思って見た。さよう然りで,原作は東野圭吾の同名小説。

● 「目が覚めるたびに変わる2つの世界」。「1つの世界は,愛する麻由子と自分が恋人同士。しかし,もう1つの世界では麻由子が親友の智彦の恋人に…」。「目が覚めるたびに変わる世界で,真実にたどり着けるのか?」という映画。
 出演は玉森裕太(Kis-My-Ft2),吉岡里帆,染谷将太。劇中で最も辛い役回りは,吉岡里帆が演じた麻由子だろうけれども,玉森裕太の崇史も,染谷将太の智彦も,ハードなことだ。

● 彼らが勤める「バイテック社」というのは,とんでもない悪徳企業だな。といっても,そうでなければ物語が転がっていかない。
 もちろん,そういう社会派の映画ではなく,2つの現実に翻弄される主人公(崇史)をハラハラしながら見守る映画だ。

● 見ている側も,どちらが真でどちらが偽なのか,どうしてこうなったのか,がわからなくて混乱することになる。時系列も乱される。鍵を握るのは真由子だということだけはわかる。
 ぼくは,見終えた今も,崇史がいつ記憶を変容させられたのかわからない。

● 主題歌は宇多田ヒカル「嫉妬されるべき人生」。

2022年3月14日月曜日

2022.03.13 映像研には手を出すな!

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● 「映像研には手を出すな!」(2020年)。原作は大童澄瞳による同名の漫画。
 2017年公開の「あさひなぐ」では西野七瀬,白石麻衣,生田絵梨花などの乃木坂46のメンバーが出演していたが,こちらは齋藤飛鳥,梅澤美波,山下美月。乃木坂以外では桜田ひより,グレイス・エマ。なんと浜辺美波も。

● 劇中の芝浜高校では,生徒は部活動必修。必ずどこかの部に入らなければならない。で,413の部活動と72の研究会がある。部活動を束ねているのが大・生徒会。
  大・生徒会は部の統廃合を画策していて,映像研をはじめロボット研究部や真似事部,身代わり部がそれに抵抗するという図式の中で,映像研の乃木坂3人がドタバタを起こしていく。

● 面白かったかと言われれば,そこは何とも。乃木坂人気にあやかったというか,さらに盛りあげようというのか,要するにそういう映画。
 齋藤飛鳥,梅澤美波,山下美月の一生懸命さは画面からも充分に伝わってくるんだけどね。
 主題歌は乃木坂46「ファンタスティック3色パン」。

2022年3月12日土曜日

2022.03.11 惑星ミズサ

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● 「惑星ミズサ」(2014年)。
 「わたしがエッチなことし続けないと,地球が滅亡しちゃうらしい」という「宇宙人風俗嬢」が登場するのだが,風俗のシーンはまったく出てこない。

● ロケ地は茨城県大子町。風俗店を出たヨシスケが,自宅まではバスで30分と語るところがあるのだが,大子からバスで30分で行ける風俗のある街っていうのはリアルには思い浮かばない。
 大子のはずれから街中までバスで30分ということか。でも,大子に風俗店なんかあったっけ。

● その宇宙人風俗嬢・ミズサに佐津川愛美。毎日を無為にやり過ごしていた青年・ヨシスケに藤岡英樹。他に,入来茉里,松浦祐也,宇野祥平,リリー・フランキーら。
 画面の基調はアンニュイ。何とはなしの気だるさのようなものだ。出口の見えない閉塞感。

● 脈絡のないシーンが突如出てきたりもする。宇野祥平演じる “韓国人” がボコボコにされる場面なのだが。地球の滅亡が迫ってきたので人々が荒んできたということを,このシーンで表現しようとしたんだろうか。
 脈絡がないといえば,リリー・フランキーの風俗店長が鉄棒の逆上がりを試みるシーンもそうかもしれない。が,ここはリリー・フランキーの空気感によって,なければならないシーンと思わせることに成功している。

● 主題歌は森ゆに「星のうた」。

2022年3月11日金曜日

2022.03.10 映画ドラえもん のび太の新恐竜

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● 「映画ドラえもん のび太の新恐竜」(2020年)。ドラえもん50周年記念作品と銘打たれている。
 映画第1作は「のび太の恐竜」(1980年)で,そのリメイク作である「ドラえもん のび太の恐竜2006」(2006年)があり,さらにそのまたリメイク作かと思っていた。またピー助が出てくるのかな,と。
 が,そうではなくて,まったく新しい作品だった。「ドラえもん のび太の宇宙英雄記」(2015年)以来の「児童小説や原作の短編を原案としない完全オリジナル作品である」とはウィキペディア教授のご指摘。
 
● 過去の40作品すべてをAmazonプライムで見られることになった。2年前にもそういうふうになっていて,あらかたの作品を見た。
 何せ,退職したばかりで,かつ,コロナのパンデミック初期で外出ははばかられる時期だったから,1日に4本も5本も見ていた。また,同じことをやろうと思えばできるわけだが,さすがにもうそれはいいかな,と。

● 恐竜を故郷に戻すために,ドラえもんたちは白亜紀に向かう。そこで待ち受けていた妖しい人間たち。恐竜の密売組織かと思いきや,タイムパトロール隊だった。
 その女隊長を渡辺直美が,恐竜学者でもある隊員を木村拓哉が担当。ロールエンドまで全く気がつかなかった。
 ロールエンドには神木隆之介の名前もあった。「ドラえもん のび太の恐竜2006」でピー助の声を担当していたので,今回もピー助が登場したはずなのだが,これまた全く気づくことができなかった。

● 主題歌はMr.Children「Birthday」&「君と重ねたモノローグ」。作詞・作曲は桜井和寿。

● コロナのあおりを受けて,興行的には苦戦を強いられたらしい(といっても,興行収入は33.5億円)。ぼくも見に行くことはなかった。
 が,これは劇場で見たかったかな,と思わせる。現在,劇場でかかっているのは「映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021」。1985年版はAmazonプライムで見ているのだが。

2022年3月10日木曜日

2022.03.09 空の青さを知る人よ

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● 「空の青さを知る人よ」(2019年)。舞台は埼玉県秩父。

● 相生あおい(17歳,高校2年生)と姉・あかね(31歳独身)は,13年前に事故で両親を失って以来,2人きりで暮らしている。あかねと交際していた金室慎之介はバンド少年だったが,プロを目指して東京に出た。
 あかねも一緒に行く約束をしていたが,事故があって,地元に残る決心をした。あおいをおいては行けない。
 ある日,13年前の慎之介が現れる。現在の慎之介も仕事で秩父にやってくる。

● あおいは13年前の慎之介に惹かれていく。慎之介とあかね,あかねとあおい。慎之介と13年前の慎之介。それぞれの関係の強さと淡さ。
 あおいが好きになった13年前の慎之介はいつの間にか消えていた。13年前の慎之介は今の慎之介に対して,「おまえが俺で良かったと思わせてくれよ」と今の慎之介の不甲斐なさを詰っていたのだが,「おまえが俺で良かった」と思える展開になったので,安心して昇天(?)したのだろうと思わせる。
 エンディングでの画像は,慎之介とあかねが結婚したことを伝える。

● 声優では慎之介を吉沢亮が,あかねを吉岡里帆が担当。あおいは若山詩音。
 主題歌は,あいみょん「空の青さを知る人よ」。

2022年3月9日水曜日

2022.03.08 検察側の罪人

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● 「検察側の罪人」(2018年)。この映画をAmazonプライムで見ることができるのはもちろん知っていたのだが,あえて見ないで来たというか,好きなオカズは最後までとっておくというか。
 原作は雫井脩介の同名小説。自慢にもならぬが,ぼくは読んでいない。

● 殺人犯の松倉と弓岡を演じた酒向芳と大倉孝二の演技が秀逸あるいはユニーク。これでかなり画面が締まった。ここ,大事だよね。
 松倉を取調べ中に,沖野検事(二宮和也)が松倉を攻め立てるシーンが,一番の見どころ。責め立てられる松倉も見ものだ。
 最上(木村拓哉)が弓岡を誘いだして殺すまでのところも手に汗握るのだが,これは二番目。

● 事務官の橘(吉高由里子)もワケありで検察内部に潜り込んでいる。したがって,ストーリーの展開上,重要な役割を果たすことになる。
 所々にユーモアあるいはコミカルが散りばめられている。全体としてはシリアスな内容なのだが,意味なく重くしていないのがいいと思った。

● 唯一,これは原作がそうなのだろうと思うのだが,太平洋戦争を絶対悪にしているところが,やや引っかかる。あれを善だと言うほどぼくも酔狂な人間ではないつもりだが,アプリオリに悪として片づけてしまうのもどうか。
 わかりやすくするためには致し方ないというところか。

2022年3月8日火曜日

2022.03.07 ずっと前から好きでした。~告白実行委員会~

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● 「ずっと前から好きでした。~告白実行委員会~」(2016年)。
 昨日見た「好きになるその瞬間を。」の登場人物たちが,主役を替えて再登場。といっても,今回のが第1弾で,「好きになるその瞬間を。」は第2弾だった。

● ウィキペディア教授によると,「宣伝プロデューサー相川和也は,高校生にとってのリアルな今,小中学生にとっての憧れの恋愛が描かれており,彼女たちには届くが,大人に響かせるのは難しいと考え,ターゲット層を分析して中高生のみに絞った宣伝を行った」とのこと。「一般的にアニメ映画の前売り券は首都圏でよく売れるが,本作の前売り券を購入したのは郊外に住む中高生」で,「友人や彼氏と複数で見に行く人が多く,デートムービーとしても受け入れられたという」。
 女子中高生が観客の主体だったというのは,それはそうでしょうと思うし,「大人に響かせるのは難しい」のも,そのとおりだと思う。

● ぼくも2本見ると,さすがにお腹がいっぱいになった。
 とはいえ,女子中高生が見たものを自分も見ることができて,大変に光栄だった。わりと本気でそう思う。

2022.03.07 Back Street Girls ゴクドルズ

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● 「Back Street Girls ゴクドルズ」(2019年)。原作はジャスミン・ギュの漫画「Back Street Girls」。

● 「極道を貫いてきた男たちが,まさかの全身整形アイドルデビュー。しかも,思いもよらず人気急上昇」というわけだから,どういう映画かというのは想像がつく。
 典型的なB級映画なのではあるけれども,整形して女性になったあとを演じる,岡本夏美,松田るか,坂ノ上茜の3人の演技は,いわゆる体当たりというやつで,充分に見ごたえがある。

● ヤクザの親分の岩城滉一も,トボけた感じと凄みとを表現しわける。こういう役にはピッタリの俳優なのかもね。もちろん,トボけた方の成分が多いわけだ。

2022年3月7日月曜日

2022.03.06 フード・ラック! 食運

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● 「フード・ラック! 食運」(2020年)。
 劇中人物のキャラクターの造形,ストーリーの展開ともに,自然さに乏しい。映画なんだからリアルではあり得ない荒唐無稽に満ちていていいのだが,その荒唐無稽とリアリティを融合させるのが芸のひとつだと思うのだが。
 NAOTO(EXILE)演じる主人公の未熟さと自分勝手さの有り様が,画面に溶け込んでいない。これは演じている俳優のせいではないので。

● NAOTOと土屋太鳳のダブル主演。他に,りょう,石黒賢,松尾諭,東ちづる,大泉洋,大和田伸也,竜雷太など。
 りょう が懐かしかった。IBM の許にあった頃の Think Pad のイメージキャラクター。りょう といえば Think Pad の人というのが,ぼくの認識。
 今に至るも,ぼくは Think Pad ユーザーであり続けている。キーボードの使いやすさや,黒を基調にしたデザインに惹かれているからだけれども,“大人の翼” のイメージに洗脳された部分もあるかな。

● 主題歌はケツメイシ「ヨクワラエ」。

2022.03.06 好きになるその瞬間を。~告白実行委員会~

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● 「好きになるその瞬間を。~告白実行委員会~」(2016年)。
 中学の先輩に惹かれ,勉強に精を出して先輩と同じ高校に進学した女の子が主人公。卒業間近の先輩に告白を決意するも,先輩は好きな女の子にフラれたところ。
 主人この幼なじみの男の子が絡んで,総じていえば悩ましくも幸せな青春物語が展開する。

● 青春期あるいは思春期というのは,ザックリ言えば中学と高校の6年間ということになると思う。長く取っても20歳までの8年間だろう。
 「2020年の日本人の平均寿命は男性が81.64歳,女性が87.74歳」だそうだから,その中の6年なり8年は人生の7~8%にしかならない短いものだが,中年期以降の6年や8年とは質的に異なる。思春期の6~8年は,良くも悪くも,相当に重いものだ。

● 命短し恋せよ乙女,というけれど,恋をしなきゃ青春ではないということでもあるまい。あまり青春の一般モデルに拘泥するのは愚かだろう。
 しかし,一寸の光陰軽んずべからずという構えはあった方がいい。おまえが言うな,という声がそちこちから聞こえてきそうだが。

2022年3月6日日曜日

2022.03.05 薄暮

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● 「薄暮」(2019年)。52分のアニメ。
 舞台は福島県いわき市。ヴァイオリンを弾く女子高生と絵を書く男子高生の「恋」。絵を書く彼の隣で,彼女がヴァイオリンを弾いている構図は,構図として完璧でしょ。

● 高校生でこういう経験ができれば,それだけで意味のある3年間ということになるかなぁ。自分の高校時代と比べてみると,羨ましいを通り越しているな。
 昔は今より男女の間が遠かった感じはする。もちろん,今の方がいいと思う。

● ヒロインを桜田ひより,相手の男子高生を加藤清史郎が担当。

2022.03.05 プラチナデータ

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● 「プラチナデータ」(2013年)。原作は東野圭吾の同名小説。

● 主演は二宮和也と豊川悦司。他に,鈴木保奈美,生瀬勝久,杏,水原希子。
 二宮和也の役者ぶりが圧巻。切れ味が鋭い。迅速にトップスピードに達する。達したときの瞬間風速の大きさは何事かと思う。豊川悦司が付いていけてない。
 男優に関しては,ジャニーズは人材の宝庫ですな。

● 主題歌は嵐「Breathless」。

● 真犯人が誰かは,何とはなしに途中でわかる。ほとんどの人が途中で,しかもけっこう早い段階で,わかるのではないかと思う。

2022年3月5日土曜日

2022.03.04 映画ドラえもん のび太の月面探査記

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● 「映画ドラえもん のび太の月面探査記」(2019年)。
 ドラえもんのひみつ道具「異説クラブメンバーズバッジ」というのが世界を作るんだけども,こういうのをよく考えつくものだな。

● 月の裏側にエスパルが自分たちの世界を作っていた。同じ世界の裏側にウサギ王国を作ろうとするのび太とドラえもん。
 共に40光年かなたのカグヤ星に渡って,悪の親玉ディアボロ(人工知能という設定)と戦うドラえもん一行とエスパルたち。

● 水田わさび,大原めぐみ,かかずゆみ,木村昴,関智一のドラえもんファミリーのレギュラー声優の他に,エスパルのルナを広瀬アリスが,アルを大谷育江が担当。大谷育江ってピカチューの人。ディアボロは吉田鋼太郎。
 スネ夫の声を担当しているのが関智一なんだけども,この関智一って「力俥」の関智一なんですかねぇ。なんでしょうねぇ。

● ドラえもんの劇場版って,スケールの大きな冒険譚だよね。それに友情とか仲間意識とか協同というのを盛り込んでいく。緻密に作っている。
 子供に観てもらえるものは,大人が観ても楽しめるに決まっている。大人は子供のナレノハテであって,どこかに子供を引きずっているからだ。引きずっているというより,大人の核は子供の部分なのだろう。

2022年3月4日金曜日

2022.03.03 ラプラスの魔女

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● 「ラプラスの魔女」(2018年)。原作は東野圭吾の同名小説。
 ただし,原作に忠実に映画化したわけではないらしい。らしいというのは,ぼくは原作を読んだことがないからだ。
 かつて「第三の新人」と呼ばれた人たち(吉行淳之介,遠藤周作など)の後の小説家の作品は,村上春樹も含めて,ほとんど読んだことがない。

● 主役は櫻井翔なのだが,広瀬すず,福士蒼汰,豊川悦司が展開を作っていく劇中人物を演じる。他に,志田未来,玉木宏,リリー・フランキーなど。
 広瀬すずが出るとなっては,他の俳優はみな喰われてしまう。櫻井翔も福士蒼汰も豊川悦司すらも,霞んでしまう。そういう意味では,広瀬すずを見るためにある映画とも言えるのだが,そう言ってしまっては彼女が出ている映画はすべて彼女を見るためにあることになってしまう。

● 映画の終盤で,甘粕謙人(福士蒼汰)が父親(豊川悦司)に言う少し長い台詞。
 この世界は一部の天才やあなたのような人間たちに動かされているのではない。人間は原子だ。一見,何の変哲もなく,価値もなさそうな人々こそが,重要な構成要素だ。ひとつひとつは凡庸で無自覚に生きていたとしても,集合体となったとき,劇的な物理法則を実現していく。
● この映画はこのことを伝えたくて作られたのかと思うほどなのだが,それだけで2時間の映画を作れるはずもなく,何かを言いたいために作られた映画は,ドキュメンタリーのようなものを除けば,おそらく過去にはなかったし,これからもないのではないかとも思う。
 このあたりは,何ともわからないが,伝えたいメッセージがまずあって,それを伝えるためには何をどう作ればいいかと考えて,映画作りをする監督はまずいないのではあるまいか。

● いや,おもしろい映画だった。ここから芋づる式に次を示してくれるのが Amazonプライムのいいところで,おかげでしばらくは見たい映画に不自由しなさそうだ。
 最近,本を読まなくなったなと思っていても,面白ければ一気通貫で読めるものだし,面白い映画は次々に観ていけるものだ。

2022年3月2日水曜日

2022.03.01 銀のエンゼル

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● 「銀のエンゼル」(2004年)。18年前の小日向文世,大泉洋,西島秀俊,佐藤めぐみ,山口もえ,村上ショージを見ることができる。
 俳優は自分の仕事が映像に残るわけだから,その映像を見る人がいる限りは,死してなお生きているということができるかもしれない。本人にしてみれば,消してしまいたい映像であったとしても。

● 「銀のエンゼル」というタイトルは,森永製菓の「チョコボール」の当たりマークに由来する。金なら1枚,銀なら5枚で,“おもちゃの缶詰” がもらえるというやつ。
 そのチョコボールが小道具として使われている。当たりが出るか出ないか。
 ちなみに,ぼくは金は一度も見たことがない。銀は二度か三度,見たかもしれない。ま,普通は黄色だよね。

● コンビニオーナーの北島(小日向文世)と妻,娘,コンビニの店員,商品の納入業者,お客との交流。それぞれがドラマというか,重いものを抱えていて,生きるって切ないね,という。
 北島はその切なさに丁寧に対応していく。娘との和解がなって,過度に重くなることからは免れている。