2015年10月17日土曜日

2015.10.17 宇都宮市立視聴覚ライブラリー 20世紀名画座 「我が道を往く」

宇都宮市立東図書館 2階集会室

● 公開は1944年。昭和19年。つまり,アメリカが太平洋戦争を戦っていた最中(しかし勝利は決定的になっていた)のことだ。
 が,この映画に戦争臭はまったくない。

● 舞台はニューヨークの下町(場末?)にあるセント・ドミニク教会。45年前にこの教会を建てて,ずっと神父を務めているフィッツギボン老神父(バリー・フィッツジェラルド)のところに,若いチャック・オマリー神父(ビング・クロスビー)が助手として赴任してくる。
 じつは,この教会は赤字でどうにもならない状態だったため,おまえが行って立て直してこいと“司教さま”の命令を受けた隠密剣士(?)だった。

● オマリーは歌もピアノも巧く,作曲の才能もあって,札付きの不良少年たちを聖歌隊に取りこんでしまう人なつこさを備えていて,美人のオペラ歌手リンデン(リーゼ・スティーヴンス)に思いを寄せられる伊達男である。
 羨ましい限りだ。主人公はかくあるべし。

● 終盤,フィッツギボンが心血を注いだ教会が焼け落ちてしまう。
 が,オマリーが作った曲がレコード会社に売れ,再建のめどがついたところで,オマリーに異動辞令が出る。

● 18歳の家で娘キャロル(ジーン・ヘザー)がキュート。楽天的でバカっぽくて,でも情があってほんとは賢いんだぞ,という役どころ。
 メインはオマリーとフィッツギボンの絡み。フィッツギボンを演じたバリー・フィッツジェラルドが,この映画の屋台骨を支えている。

● タイトルの「我が道を往く」は劇中でオマリーが歌う歌から取ったものと思われる。オマリーもフィッツギボンもリンデンもキャロルも,わが道を行っているわけだけれども。
 もちろん,映画の中の話だから,おとぎ話ではある。そのおとぎ話のカタルシス効果を味わえる。