2025年10月26日日曜日

2025.10.25 まともじゃないのは君も一緒

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● 劇場公開は2021年3月。高田亮によるオリジナル脚本。
 主題歌はTHE CHARM PARK「君と僕のうた」。

● 主演は成田凌と清原果耶。他に,山谷花純,倉悠貴,小泉孝太郎,泉里香。
 あまりお金をかけないで作った映画。かといって,面白くないわけじゃない。

● 大野先生(成田凌)はエラく賢い人だったんでした。香住(清原果耶)の魂胆をわかりつつ,香住に「普通」を教えてもらっていたんですかねぇ。
 教えてもらっている間は香住とデートする時間でもあったわけだから,さぞかし楽しかったんじゃないかなぁ。

● 泉里香のフェロモンも凄かった。こんな女性に3秒ほど見つめられたら,たいていの男はイチコロでダウンね。
 でもって,その後には地獄が待ってる。そんな航路が浮かびますよ。関わりを持っちゃいけませんよ。相当,自分に自信があるなら別だけど。

2025年10月25日土曜日

2025.10.24 スカイハイ 劇場版

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● 原作は髙橋ツトムの同名漫画。2003年1~3月にテレビ朝日系で連続ドラマとして放送されたらしい(ぼくは観ていないが)。それを映画化したもの。
 劇場公開日は2003年11月。

● 主演は釈由美子。共演は,大沢たかお,谷原章介,戸田菜穂,田口浩正,岡本綾,魚谷佳苗,しいなえいひ,山田麻衣子,北村一輝など。
 22年前の釈由美子と戸田菜穂を見るための映画ですよ,これは。惚れぼれするほどの美形だからね。
 他にも,美女が勢ぞろい。あの世の "怨みの門" の門前はさながら龍宮城のごとし。

● 殺された者たちが辿り着くのが "怨みの門"。そこで死者たちは3択問題を突きつけられる。
① 死を受け入れて天国に旅立ち,再生の準備をする
② 霊となって永遠に現世をさまよう
③ 現世の1人を呪い殺して地獄に行く

 いくら殺されたとは言っても,こんなの百人が百人とも①を選ぶよねぇ。事実上の1択ですよね。②も③もヤでしょうよ。

● 最後に工藤(大沢たかお)と命がけの斬った張ったを繰り広げた美奈は,婚約者の耕平(谷原章介)よりも,工藤に惹かれるようになってたんじゃないかな,と思った。
 自分を助けるために,わざと殺されて "怨みの門" の門に駆けつけてくれた婚約者よりもね。何か,そんな気がしましたよ。

● 主題歌はHYDE「HORIZON」。

2025年10月24日金曜日

2025.10.23 寄生獣 完結編

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● 2部作の後篇。劇場公開は2015年4月。
 新たな出演者は,大森南朋,浅野忠信,ピエール瀧,新井浩文。

● パラサイト vs 人間 の戦いは,局所戦で終わった。パラサイトも放射能に弱いとか,なんだか人間らしいところがあって,決して不死身ではなかったのだ。
 パラサイトはか弱い生物だと,田宮良子(深津絵里)に言わせている。

● 寄生獣はむしろ人間だという結論にしたかったんだろうか。
 最後の,里美(橋本愛)が浦上(新井浩文)によってビルの屋上から突き落とされるシーンに,その意を込めたように思える。それを救ったのは,パラサイトのミギー(阿部サダヲ)だった。

● 主題歌は BUMP OF CHICKEN「コロニー」。

2025年10月23日木曜日

2025.10.22 寄生獣

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● 劇場公開は2014年11月。「恋は雨上がりのように」(2018年5月)で,あきらと店長がデート中に観た映画はこれだったのか。ずいぶんとグロテスクな映画だなと思ったのだが。
 原作は岩明均の同名コミック。ぼくは知らなかったけれども,「伝説的人気コミック」であるらしい。

● 主演は染谷将太。共演は深津絵里,橋本愛,余貴美子,東出昌大,國村隼,豊原功補,北村一輝。
 これだけの役者を揃えた中で主役を張るのだから,この頃の染谷将太は期待の若手だったのだろうな。

● 前篇後篇の2部作。後篇が面白そうだ。前篇はその地ならしのようなものか。
 深津絵里の田宮良子が「パラサイト」も環境や状況によって変わるのかもしれない思わせる言動を見せる。

● 音楽は佐藤直紀が担当。主題歌は BUMP OF CHICKEN「パレード」。

2025年10月22日水曜日

2025.10.21 BALLAD 名もなき恋のうた

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● 「映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」(2002年)が原案。それを実写化したもの。
 といっても,そこに登場する川上真一くん(武井証)はクレヨンしんのようなハチャメチャな少年ではない。もっとマトモ。そりゃそうだよね。
 ヒロシは暁(筒井道隆)に,ミサエは美佐子(夏川結衣)になっている。キャラクターも変えている。

● 主演は草彅剛と新垣結衣。他に,大沢たかお,吉武怜朗,中村敦夫,小澤征悦,香川京子,斉藤由貴ら。
 劇場公開は2009年9月。

● 川上ファミリーが現代から持ち込んだビールを戦国武将の井尻又兵衛(草彅剛)が旨いと言って飲むシーンがある。戦国時代の人間が初めてビールを飲んで旨いと感じるはずはないよな。何だ,この苦すぎる小便っぽい水は,と言うはずだよ。
 と,かなりどうでもいいことにツッコミを入れたくなった。

2025年10月21日火曜日

2025.10.20 極主夫道 ザ・シネマ

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● いや,面白かった。こういうドタバタコメディはいいですなぁ。人生や生活の重さを完全に排除して,ファンタジーに徹してくれている。
 原作はおおのこうすけの同名コミック。テレビドラマになった。それを映画化。劇場公開は2022年6月。

● 主演は玉木宏。共演は川口春奈,志尊淳,吉田鋼太郎,滝藤賢一,松本まりか,安達祐実,稲森いずみ,竹中直人,玉城ティナら。
 これは演じている方も楽しかったんじゃないのか,と思いますわ。

2025年10月19日日曜日

2025.10.18 宇都宮市立視聴覚ライブラリー映画会 日本映画劇場 「日本一短い「母」への手紙」

宇都宮市立東図書館 2階集会室

● 午前中の「美女と野獣」に続いて,午後は邦画。「日本一短い「母」への手紙」を観てきた。
 劇場公開は1995年11月。30年前になるわけだけれども,1995年なんてついこの間のことのような。大人になってからの30年なんて過ぎてみれば短いものだ。1日1日は長いことがずいぶんあったけど。

● 映画紹介サイトの解説によれば,「福井県丸岡町が町起こしのために募集した “一筆啓上” から生まれたベストセラー『日本一短い「母」への手紙』の映画化。単行本に収録された230通の中から,「あの人と幸せでしょうか,お母さん。父さんは無口を通し逝きました」という短い手紙をモチーフに,オリジナル・ストーリーで脚本化したのは伊藤亮二と澤井信一郎」とある。

● 子を置いて,好きな男と出奔した母親を十朱幸代,娘を裕木奈江,息子を原田龍二,出奔された夫を小林稔侍が演じている。
 裕木奈江といえばTVドラマの「ポケベルが鳴らなくて」しか知らない。しかも,この役をやったことで,劇中人物と本人が混同され,嫌いな女優としてバッシングを受け,日本を離れざるを得なかったと聞く。あまりにバカげた話なのだが,彼女の演技力を証明する逸話になるのかもしれない。

● 他に,別所哲也,鈴木砂羽,加藤治子,江守徹,村井國夫。原日出子と勝野洋も出ていたのだが,気づかなかった。
 十朱幸代の成熟の美を愛でる映画かもしれませんね。キレイなものですわ。

● 出奔した母親をどう造形するかが肝だったろう。銀座で雇われマダムをやっていることにした。画にしやすいのだろうが,リアルでは,絶対と言っていいだろう,あり得ない。
 さらに,出奔先でも荷物を抱えさせ,健気な女性にしている。

● 午前中の「美女と野獣」はガラガラだったのだが,この映画は後期高齢者で満席状態。
 観客予備軍は後期高齢者で,彼らの興味を引かない最近の映画では客を呼べないということのようだ。

● この上映会はDVDを使っているのだが,今回は16㎜映写機が2台,スタンバっていた。映写機による放映になった。それがうまく動かなくて,上映開始が遅れるというハプニングが発生。
 DVDがないわけがないと思うのだが,映写機を使ったのには何かわけがあるんだろうか。DVDが持つ情報量はフィルムに負けないと思うんだが。

2025年10月18日土曜日

2025.10.18 宇都宮市立視聴覚ライブラリー映画会 20世紀名画座「美女と野獣」

宇都宮市立東図書館 2階集会室

● 「『美女と野獣』は,フランスの異類婚姻譚である。1740年にガブリエル=シュザンヌ・ド・ヴィルヌーヴ(ヴィルヌーヴ夫人)によって最初に書かれた。現在広く知られているのはそれを短縮して1756年に出版された,ジャンヌ=マリー・ルプランス・ド・ボーモン(ボーモン夫人)版である」とは,Wikipedia 先生のご教示。原作を読んだことは,もちろんない。
 ディズニーをはじめ,何度も映画化されているようだ。今回観たのは2014年のフランス・ドイツ版。「20世紀名画座」でいいんだろうかと,どうでもいいことが頭をよぎった。

● 監督はクリストフ・ガンズ。出演者は,レア・セドゥ(ベル),ヴァンサン・カッセル(野獣 / 王子),アンドレ・デュソリエ(ベルの父親),イボンヌ・カッターフェルト(森の妖精),ニコラ・ゴブ(マキシム:ベルの長兄),ルーカ・メリアーヴァ(トリスタン:ベルの三兄)など。
 既知の俳優は1人もいない。

● 欧州人はこういう話が好きなのか。いや,日本でも人気があるから,こういうファンタジーは人類に好まれるのだな。
 特に少年少女にだろうが,かつて少年少女だった大人たちも好きなのだ。ハッピーエンドだし,勧善懲悪でもある。

2025年10月17日金曜日

2025.10.16 アイアムアヒーロー

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● 原作は花沢健吾の同名コミック。劇場公開2016年4月。
 有村架純が女子高生を演じてる。ついこの間と思えるんだけど,9年も経っちゃってる。月日が過ぎるのはほんとに容赦ないな。

● 謎のウィルスによって,人々が「ZQN(ゾキュン)」と呼ばれるゾンビと化す。そのZQNが感染者を増やすためにか,正常な人々を襲う。
 そこからどうやって逃れるかという話。こりゃ,ZQNになっちゃった方が楽になれるんじゃないか。

● 「鬼滅の刃」を連想した。ZQNが鬼。歯のない赤ん坊ZQNに噛まれて,人間に危害を加えない半ZQNになっている比呂美が禰󠄀豆子。
 ただし,鬼舞辻無惨とお館様はいない。

● グズで決断力もなく,状況に流されるだけの英雄(大泉洋)が最後にヒーローになる。比呂美(有村架純)と藪(長澤まさみ)を守りきる。
 共演者は,吉沢悠(亮ではない),片瀬那奈,塚地武雅,マキタスポーツら。

2025年10月16日木曜日

2025.10.15 リボルバー・リリー

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● 原作はハードボイルド作家・長浦京の同名小説(例によって,ぼくは未読)。劇場公開は2023年8月。
 主演は綾瀬はるか。こうしたアクションを演じられる女優は,彼女の他には三吉彩花くらいですかねぇ。

● 共演は,長谷川博己,羽村仁成(Go!Go!kids/ジャニーズJr.),阿部サダヲ,野村萬斎,豊川悦司,佐藤二朗,石橋蓮司,板尾創路,シシド・カフカ,古川琴音,清水尋也ら。緑魔子と橋爪功も。
 内田朝陽が出ていたことをエンドロールで知った。気づかなかった。が,内野朝陽と混同したわけね。

● いや,面白かったですよ。綾瀬はるかの小曾根百合が死なないで生き残るのがいい。
 舞台は大正時代なので,彼女の大正ファッションを見れるのも眼福。

● しかも,百合は玉ノ井の銘酒屋の女将という設定なので,当時の玉ノ井が再現されている。いや,再現ではないのかもしれないけれども,「抜けられます」の標識はこんなだったのかと思ったりね。
 現在の玉ノ井に当時の面影はないけれども(墨田3丁目にはラビリンスという言葉を思いださせる,クネクネした狭い路地が残っているが),またあの辺をほっつき歩いてみようかと思った。

2025年10月15日水曜日

2025.10.14 恋は雨上がりのように

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● Amazon Prime からしばらく遠ざかってしまった。態勢を整えなければ。まず,Amazon Prime に復帰して,Amazon Prime を観るという慣性を強化しないと。
 そのためには,アイドリングが必要。すでに観ている中から,これなら間違いないというのを観て,エンジンを暖める。

● で,選んだのが8月に観たばかりの「恋は雨上がりのように」。映画の紹介サイトで「人生の雨宿りの物語」と表現しているのがあった。
 あきら(小松菜奈)が近藤(大泉洋)に向かって大きく踏み出すのは,雨が降っているとき。近藤はあきらの雨宿り先だ。「若さはときに乱暴なもので」(劇中の近藤のセリフ),雨宿り先が必要なときがある。

● 45歳の近藤も雨に降られている。妻とは離婚し,小説家への夢は絶たれ,しかし諦めきれず。離婚の原因も,近藤が夢にしがみついて,家庭を顧みなかったことが理由であることが,示唆されている。
 近藤にも雨宿りが必要だった。あきらが雨宿り先。一方通行ではない。

● 悪人がひとりも登場しない。読後感ならぬ観後感がいいのは,それも理由のひとつだと思う。

2025年10月11日土曜日

2025.10.10 第17回鹿沼市民センター名作映画祭

鹿沼市民文化センター 小ホール

● 第2回4回5回13回に続いて5回目。1日かけて「暁の脱走」「嵐を呼ぶ男」「網走番外地」「人生劇場 飛車角と吉良常」の4本を観てきた。
 昔の様式に突っ込みたいところはあるんですよ。あるんだけれども,4本とも観て良かったと思える映画でした。

● Amazon Prime でも観られるのかもしれないけれども,たとえ観られるとしても,Amazon Prime でこういう映画は観ないと思いますんでね。鹿沼まで自分の身体を運ぶしかないわけです。
 運ぶしかないんだったら,嬉々として運べた方がいいんだけれども,一番いい辛いのは早起きしなければならないこと。7時半に起きて8時前に家を出ないと1本目に間に合わない。

● 年寄りは早寝早起きだから,朝早いのは平気でしょと言うのは,ステレオタイプのものの見方しか出きやい人だぞ。年寄りといえども,人によってライフスタイルは千差万別だ。
 ぼくは深夜2時ころまでは起きているので(それでもずいぶん早く寝るようになったのだ),7時に起きるのはかなりの苦行だ。
 とりあえず間に合って1本目から観ることができた。

● 「暁の脱走」が公開されたのは1950年。戦後間もなくこういう映画が本邦でも製作されていたことにまず驚く。
 戦後,最初に復興したのは浅草の映画館だと聞いたことがある。食料より娯楽が希求される。人間にはそういうところがあるんですかね。
 
● 原作は田村泰次郎の小説「春婦伝」(の一部)。谷口千吉と黒澤明が脚本を書き,谷口千吉が監督を務めた。
 三上上等兵(池部良)と春美(山口淑子)の恋物語が経糸。では緯糸はというと,帝国陸軍の腐敗っぷり。
 ここまでひどい中間管理職は陸軍にも(たぶん)いなかったのではないかと思う。軍を悪者にして戦争のすべてのバランスを取るという,GHQの目論見がものの見事に成功した証拠と見ることもできるのじゃないかと思う。

● 晴美の一途な愛は三上にとっては疫病神。それが後半は母親と聞き分けのない息子という感じに変わっていく。
 三上はとにかく真面目。というより,世間や所属する組織の常識を絶対のものとして,それに従うことを最善としている。自分で考えることをしない。リスクをとって自分で判断し,それに従うということをしないタイプ。
 それを良しとする風潮が現在に至るまで残っていると言えるのかもしれない。ぼくもその口だったな。
 最後は,その組織の常識から脱走しようとして,2人とも命を落とす。それがエンディング。

● 山口淑子は伝説の女優の1人と言っていいと思うのだが,彼女が出演している映画を観るのは,これが初めて。
 中国語をネイティブ水準で話す。彼女は中国で李香蘭としてデビューし,女優・山口淑子は日本での2回目のデビューになるのだろう。スパイだとか何だとか、話題には事欠かなかった。
 これだけの美貌をまとってしまっ排除の不運とまとめてしまいたくなるが,美人に生まれることは本人にとって幸せなことなのなどうか,一考の余地がある。

● 「嵐を呼ぶ男」は1957年末に劇場公開された,まぁ何というのか,日本映画史の代表作の1つでしょ。石原裕次郎の存在感を決定づけた。監督は井上梅次。
 一方で,若き北原三枝の美しさも,銀幕の女優というに相応しいもの。何度も裕次郎と共演した芦川いづみも出ている。清純派という言葉が今よりもっと説得力を持っていた時代の清純派ね。

● 出演は他に,金子信雄,岡田眞澄,笈田敏夫,青山恭二,小夜福子,高野由美ら。フランキー堺も。
 舞台は当時の銀座ということになっているのだが,その頃には銀座にも生バンドが入るシャズクラブというか,ジャズキャバレーのような店があったんですか。銀座の輝度は今よりもずっと高かったんでしょうね。

● 「網走番外地」は高倉健の出世作。劇場公開は1965年4月。主題歌も高倉健が歌っていることはオールドファンなら先刻承知のことと思う。
 原作は伊藤一の同名小説。自身の網走刑務所での服役経験をもとに書かれた作品らしい。もちろん,読んだことはない。監督は石井輝男。

● 高倉健の橘と同じ房にいる受刑者(八人殺しの鬼寅)役で嵐寛寿郎が出演している。出番はそんなにないのだけれども,重要な役どころ。
 凄みがある。演技に圧があるというか。時代劇俳優で “鞍馬天狗“ と “むっつり右門” が当たり役だったということは知っているが,彼の演技を観たのはは今回が初めて。これを観れただけでも,鹿沼まで来た甲斐があったというものだ。

● 他に,南原宏治,安部徹,田中邦衛,丹波哲郎など。
 後半,橘と行動を共にする権田役の南原宏治も凄みがあったな。トロッコで山を下るシールはアクションシーンとしても後世に残るんじゃないか。
 最後はハッピーエンドと言っていい終わり方。

● 「人生劇場 飛車角と吉良常」の劇場公開は1968年10月。原作は尾崎士郎の「人生劇場 残侠編」。言うまでもないが,ぼくは読んでいない。監督は内田吐夢。
 飛車角を鶴田浩二,吉良常を辰巳柳太郎が演じる。他に,松方弘樹,若山富三郎,大木実,村井国夫,山城新伍,八名信夫,小林稔侍など。準主役級で高倉健も。

● 女優では藤純子と左幸子。飛車角の(たぶん)内縁の妻でありながら高倉健の宮川にも思いを寄せる おとよ を演じた藤純子のきれいなことと言ったら。この映画の一番の見どころはここじゃないのかね。
 あと,辰巳柳太郎の剽軽さをかもす達者な演技だろうか。

● この鹿沼市民センター名作映画祭は過去4回は大ホールだったのだが,今回は小ホールだった。小ホールだとそれなりに観客がいるという印象になる。
 ただし,ジジイとババアばっかりだ。見事にジジイとババアだけ。若者はおろか壮年層もいない。この映画祭は市の教育委員会が元締めになっているんじゃないかと思うんだけど,実質は高齢者福祉事業になっている。自治が運営する施設や行事の多くは高齢者福祉事業なんだよね。いい悪いの問題ではないのだが,往年の名画を観に来る若者はいない。

● そのジジイとババアたちだか,放映中に退出したり,始まっているところにノコノコ入ってきたりする。当然,中は暗いわけだから,階段で蹴躓く者が出る。
 何とかならんかね。始まる前に着座する。終わるまでは退出しない。その程度の時間コントロールができんかね。トイレコントロールが難しいなら尿漏れパンツを履いたらどうだ。

● これじゃ,80歳以上は入場禁止にしなくちゃいけない。そうすると,この事業じたいが成り立たなくなる。
 なかなか厄介な問題が出てきそうな予感がした。

2025年10月8日水曜日

2025.10.07 千年の愉楽

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● 原作は中上健次の同名小説。ぼくは中上作品は1冊も読んだことがない無精な人間なのだが,読んでみれば,ずっしりと重く,しかし,面白いに違いない。
 原作を変えている部分も多いようなのだが,映像化するのは難しいのだろうな,たぶん。

● 「高貴で不吉な血を持って生まれ,女たちに愉楽を与えながら命を燃やし尽くして散っていく男たち」を輩出する家系がある。早死にを宿命づけられた家系に生まれた若い男たちを,彼らのに誕生に立ち会った産婆のオリュウノオバ(寺島しのぶ)が見守る。
 オリュウノオバの夫(佐野史郎)は僧侶。生と死の祭司が夫婦という,考えようによってはふざけた設定になっている。

● 命を燃やし尽くすのは勝手だけれども,どうにもはた迷惑な男たちなんだな,これが。しかも,現代では共感を呼びにくいかもしれない。
 “草食男子” はすでに死語になるくらい,ずいぶん前に生まれた言葉だ。「女たちに愉楽を与え」るというのが,あまり男たちに訴えて来ない時代になっているような気がする。
 セックスもAIロボットで満たせる時代がすぐそこまで来ている。男たちの多くは地に足がついていないから,生とか本物とかにはこだわらない。AIロボットで何の問題もあるまいよ。

● というわけなので,家系のおどろおどろしさ,そのことによって苦しむ当事者たちの苦難が,どうもうまく伝わってこない。単なるファンタジーのように思えた。
 ファンタジーにしては少々重いな,と。現実離れしているな,と。原作で描かれた時代はずいぶんと昔なのだが。

● 若い男たちを演じるのは,高良健吾,高岡蒼佑,染谷将太の3人。男たちに関わる女たちを演じるのは,石橋杏奈,安部智凛,片山瞳,月船さらら。
 他に,井浦新,山本太郎,水上竜士,岩間天嗣ら。

● 主題歌は中村瑞希&ハシケン「うたかたのうつしよに」。劇場公開は2013年3月。

2025年10月6日月曜日

2025.10.05 森の中のレストラン

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● 「森の奥に建つレストランを舞台に,孤独なシェフと絶望を抱える少女の出会いを描いたヒューマンドラマ」というのだが,あまりヒューマンな感じはしなかった。この世の暗い部分を寄せ集めて,これでもかというほどに暗さを強調したかったのかと思うほど。
 観終えた後にも,嫌なものを観たというザラッとした感じが残ってしまった。

● 主演の恭一を演じた船ヶ山哲の演技の物足りなさが理由の1つかも。声もくぐもっていて(それも演技なのだろうが)聞き取りにくかった。
 対照的に,ヒロインの沙耶を演じた畑芽育は素晴らしい。妻と娘を虐待する父親を演じた谷田歩も上手いなと思った。

● 恭一が自殺を図るところから始まるのだが,彼に自殺するほどの動機はない。なのに,ニ度目の自殺企図の場面まで作っているのも不可解だ。
 要するに,もう一度観たいと思う映画ではないな。基本,映画には娯楽性しか求めないぼくのような人間には,ちょっと重すぎたということにしておきたい。

● 出演者は,上記の3人の他に,森永悠希,染谷俊之,奥菜恵,佐伯日菜子。
 劇場公開は2022年11月。