2022年4月19日火曜日

2022.04.16 宇都宮市立視聴覚ライブラリー 日本映画劇場 「夢のまにまに」

宇都宮市立東図書館 2階集会室

● 「20世紀名画座」の他に,同じ日に「日本映画劇場」も催行されるので,2本立ての名画座映画館に来たようなものだ。チケット無料のね。
 16mmフィルムとかじゃなくて,DVDを使うので,映写技師も無用。だからこそ,無料でやれるのだが,万事お手軽になった。品質は下がっていないのだから,この場合のお手軽はデジタル化の恩恵の1つに数えていいだろう。

● 画面を大きくしても画像が荒れることはないし,音声も左右のスピーカから問題なく流れてくる。DVDには充分な情報が乗っているわけで,あとはその情報を十全に再生する装置があればいいわけだ。
 それが個人宅にはなかなかない。普通は不要だし,むしろ邪魔と言ってもいいくらいなので,欲しいとは思わない。こういう無料の名画座があるのだから,自分の身体を運んでくればいいだけのことだ。自分用の装置を自宅に囲い込もうとするのは,そもそもがあまり感心しない。
 ただし,こうした公共の多目的施設ではなくて,専用の映画館で観ればさらに感興が増すかもしれないとは思う。あまり多くを望んではいけないのだが。

● 「夢のまにまに」(2008年)は,「主に美術監督として活動してきた木村威夫の長編映画初監督作品」で,「初作品としては世界最高齢(90歳)であるとして,ギネスブックにも登録された」らしい。
 原作も木村の「87×26の瘤広場」。

● 主な舞台は日活芸術学院の美術系コースの授業あるいは教室。
 その5代目の院長を木村威夫が務めている。長門裕之が演じる劇中の木室創も学院の5代目の院長という設定。木室は木村自身の投影か。どこまで投影しているのかはわからないけれど。

● ちなみに,日活芸術学院は「映画会社の日活が経営し,1975年に日活撮影所内の一角に設立された」。「日本では唯一,映画撮影所内に存在する学校であった」が,2013年3月に閉校。
 ただし,無に帰したのではなく,城西国際大学メディア学部・映像芸術コースに引き継がれているらしい。以上,ウィキペディア教授が伝えるところによる。

● 長門裕之,有馬稲子,桃井かおり,井上芳雄らが主要な出演者なのだが,宮沢りえの存在感は別格という感じがした。文字どおりの別格。
 「夢のまにまに」というタイトルの意味するところは,ぼくにはよくわからない。夢のまにまに現れるのがつまりは現実であって,夢は幻想。現実にはなかなか救いはないよ,という含意をこめたのだろうか。反戦を訴えているのだとも受け取れるし,人の一生は不条理に満ちたものだと説いているようでもある。

● この上映会は事前の申込みなどは不要で,当日,フラッと行けばいいのだが,一応,先着50名という制約がある。座席は50人分しか用意できない,と。
 もし50人を超えて入れない人が出た場合には,ぼくが退出するつもりでいる。ぼくは宇都宮市に住民税を払っていないから。

● けれども,そうしたことにはなりそうもない。ザッと見たところ,爺さんと婆さんばかり,10数名しかいない。ので,心安らかに見ることができている。
 しかし,こうした映画の上映会も老人福祉事業の一環かと思えるようなことになっている。今や,日本には爺さんと婆さんしかいないのだから,致し方がないのではある。