2021年12月8日水曜日

2021.12.08 テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編

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● 「テレビアニメ “竈門炭治郎 立志編” に続く物語 “無限列車編” が劇場版として公開。そして,2021年10月からテレビアニメ「鬼滅の刃」無限列車編,12月からテレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編の放送が決定。無限列車での任務を終えた炭治郎たちの次なる任務を描く遊郭編。鬼殺隊最高位の剣士《柱》の一人,音柱の宇髄天元とともに炭治郎たちが向かうのは鬼の棲む遊郭。新たな戦いが幕を開ける」というわけで,フジテレビで “遊郭編” が始まった。
 Amazonプライムでも引き続き配信。


● 第1話は「音柱・宇髄天元」。
 煉獄さんの家族に煉獄さんが残した言葉を伝えた炭治郎が,我妻善逸,嘴平伊之助とともに,次なる任務に向かう。そこで出逢ったのが音柱・宇髄天元。
 今回は戦いの前のメンツの紹介といったところ。面白いからね,次回を楽しみにしててね,というね。

● 鬼舞辻無惨が富裕な実業家の養子になっている。これからの物語で実業家も絡んでくるのだろう。
 無限列車編は劇場版を見てしまっていたので,先の展開と映像がわかってしまっていた。今回はそれがないので,楽しみが大きい。原作漫画を読んでいないのもラッキー。


(追記 2021.12.14)

● 第2話「遊郭潜入」。宇髄が放った偵察隊3人は,3人とも鬼に捕らえられているらしい。
 次回以降は,炭治郎,善逸,伊之助が3人を救いだす展開になるんだろうか。禰豆子はまだ登場していない。
 炭治郎,善逸,伊之助が女装させられて,コミカルに笑いを取る。今回はまだ序奏の続き。

(追記 2021.12.24)

● 第3話「何者?」。今回からストーリーが動きだした。
 花魁になった鬼たちは,いずれもかなり手強い。善逸はすでに危うい。
 「鬼滅の刃」における鬼は人間の化身でもある。人間のある部分を代表する。というか,それを誇張して表現している。それゆえ,鬼もいたって人間っぽい。

(追記 2021.12.27)

● 第4話「今夜」。炭治郎が上弦の鬼(堕姫)と対峙。本格的な対決シーンは待て次回。鯉夏花魁は無事なのか。これも,待て次回。
 劇中の遊郭(個々の店)はメルヘンチックに描かれている。でなければ鬼が浮き立たないだろう。リアルに描いてしまっては,人間がつまり鬼ということになってしまいそうだ。

(追記 2022.01.04)

● 第5話「ド派手に行くぜ!!」。炭治郎が堕姫に対してヒノカミ神楽を次々に繰り出して応戦。もうすぐ,音柱の宇髄天元がやってきて,堕姫 vs 宇髄 の対戦になるのだろうけど,もう少し炭治郎に任せてみたい感じね。

● 今回は宿泊先のホテルのインターネットテレビで見た。けっこうな大きさの画面になるわけだ。でも,映画館の臨場感にはとうてい及ばないという至極当然の事実を確認した。
 14インチのノートパソコンとの差はさほどにないなという印象。スマホの画面で見てもそんなに変わらないんだろうかなぁ。

(追記 2022.01.11)

● 第6話「重なる記憶」。ヒノカミ神楽で堕姫を追いつめた炭治郎があと一歩のところで力尽きたあとに,満を持して禰豆子登場。
 この長編アニメにおける禰豆子のキャラクターの重要性を知らしめる回。というか,禰豆子を造形できたときに,原作者はこれでイケルと思ったんじゃないか,と。
 その禰豆子がとんでもなく強くなっちゃった。

(追記 2022.01.17)

● 第7話「変貌」。鬼化が進んだ禰豆子が堕姫を圧倒する強さを発揮する。鬼化した禰豆子 vs 堕姫 なのだから,鬼対鬼,女対女の戦いになる。
 が,それだけでは終わらない。鬼化した禰豆子は人間に対しても牙を向ける。
 今回は堕姫の兄,妓夫太郎の登場がメインテーマになると思うのだけど,禰豆子の悲しさのようなものが全面を覆っている。

● 今回も宿泊しているホテルの客室で見た。ホテルのテレビがインターネットテレビではないので,スマホで見た。支障はない。パソコン程度の画面があるに越したことはないけれども,スマホで困ることはない。

(追記 2022.01.24)

● 第8話「集結」。妓夫太郎と堕姫の兄妹は,2人でひとつ。対して,鬼殺隊も宇髄の他に,炭治郎,善逸,伊之助が集結し,いざ,雌雄を決せん。
 煉獄さんと猗窩座もそうだったのだけど,宇髄と妓夫太郎も深いところで互いを理解し合っているというふうなんだよね。相手に対して自分を閉ざさないんだよね。

(追記 2022.02.02)

● 第9話「上弦の鬼を倒したら」。上弦の鬼は強いのだ。柱の宇髄も妓夫太郎に歯が立たない。が,炭治郎,善逸,伊之助の3人は「無限列車編」に比べると格段に逞しくなっていて,堕姫と妓夫太郎に向かっていく。
 炭治郎が戦いの最中に内省に入ってしまうのはどういうことかとは思うんだけど。しかし,これは説明なのでね,芝居の脚本でいえばト書きだ。

● 今回はもうひとつ,雛鶴の宇髄に対する純情も感動の種だな。男の目に映った女になっているし,男の願望が投影された女になっているきらいはある。が,こういうファンタジーは基本的には万人受けするもの。

(追記 2022.02.07)

● 第10話「絶対諦めない」。スタート時点ではもはや絶望的。柱の宇髄は片腕を切り落とされて倒れており,善逸は崩壊した建物の下敷き,伊之助は妓夫太郎の刀で心臓を貫かれている。
 残っているのは,自分のせいだと反省ばかりしている炭治郎と,コンコンと寝ている禰豆子だけだ。普通ならここで終わるんだけどねぇ。

● 炭治郎も善逸も伊之助もいつからこんなに強くなったのか。宇髄も蘇って,ついに妓夫太郎の堕姫の首を切ることができた。
 次回が遊郭編の最終回になる。

● 炭治郎が妓夫太郎と堕姫の兄妹を自分と禰豆子と対比して語るシーンがある。自分たちが鬼になっていたかもしれない,妓夫太郎と堕姫も望んで鬼になったわけではあるまい,立場が入れ替わっていてもおかしくなかった,と。
 もし鬼に落ちても鬼殺隊の誰かが自分の首を切ってくれる,と語るシーンもあって,ジーンとさせる。今まで登場した鬼の中にも,首を切られてホッとした鬼がいたんだろうか。

(追記 2022.02.14)

● 第11話「何度生まれ変わっても」。妓夫太郎&堕姫と鬼殺隊の対決は,前回で決着がついている。
 が,勝つには勝ったものの,宇髄も炭治郎も善逸も伊之助も,妓夫太郎の毒が回って瀕死に至っていたはず。が,禰豆子の超能力(血鬼術)で救われる。これでメデタシメデタシ。

● その後は,妓夫太郎と堕姫の生い立ちの紹介に移る。まともに育てと言われても育つはずがない過酷な状況に置かれていた。
 こんなのは漫画の世界だからねということにしていいと思うのだが,程度の差はあれ,犯罪を犯して刑務所にいる人たちの大半は,これでまともに育てと言われても・・・・・・という人たちだろう。それは現場の警察官がよくわかっているはず。

2021.12.07 私の男

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● 「私の男」(2014年)。原作は桜庭一樹の同名小説。直木賞受賞作。
 実の親子の近親関係という,重いというよりグロテスクなテーマを扱っている。全編を覆うのはある種の暗さと救いのなさ。

● 浅野忠信と二階堂ふみが主演。この映画は「第36回モスクワ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され,最優秀作品賞に選ばれるとともに主演の浅野忠信が最優秀男優賞を受賞した」のだが,たしかにこうした映画祭とは相性がいい作品なのだろう。
 しかし,画面を支配しているのは二階堂ふみ。正気と狂気の境というか,突き抜けたゆえに正気に近づいて見える狂気というか,このあたりの演技は彼女の独壇場と言える。
 撮影時,彼女は20歳だったのではないか。20歳でこのテイストが出せますか,そうですか。

● 母親に暴力をふるった淳悟(浅野忠信)が,親戚にあたる花(二階堂ふみ)の両親宅に預けられる。このとき花の母親と男女の仲になり,生まれたのが花。
 花の両親は北海道南西沖地震による津波で亡くなり,花は淳悟に引き取られる。地震のとき背負って助けてくれたのがお父さんだったと,10歳の花が話すシーンがある。
 「生きろ」と私を背負って逃げてくれた,と。だとするとこの父親(花にとっては育ての親)はとんでもなくできた人だよねぇ。

● 淳悟の恋人役が河井青葉。昨日見た「さよなら歌舞伎町」にも出演していたが,「ヌードを辞さない姿勢で,新進監督の作品にも多く出演している」とウィキペディア教授は言っている。
 彼女の行くところ,ヌードや濡れ場が付いてくるのだとしても,ヌードや濡れ場に依存しているわけではない。上手な女優さんだ。

2021年12月7日火曜日

2021.12.06 さよなら歌舞伎町

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● 「さよなら歌舞伎町」(2015年)。歌舞伎町のラブホテルが舞台。
 劇中での時間の経過は2日間。主な事件は24時間のうちに起きる。何とも色んなことが起きた濃密すぎる2日間ね。

● ラブホテルの店長の徹(染谷将太)。そのラブホテルに徹の妹の美優(樋井明日香)がAV撮影のためにやってくる。
 そればかりか,同棲中の恋人の沙耶(前田敦子)までが枕営業でご来館(徹は沙耶に,自分はお台場の一流ホテルで働いている,と伝えていた)。

● ラブホテルで掃除のおばさんをやってる里美(南果歩)は,傷害事件を起こしている。共犯の康夫(松重豊)をアパートに匿って,あと1日で成立する時効を待っている。
 そこに,夫も子供もいる刑事の理香子(河井青葉)が,同僚の刑事とやってくる。不倫の最中に里美に気づく。

● 韓国から稼ぎにやってきているヘナ(イ・ウンウ)は,恋人のチョンス(ロイ)にはホステスと伝えているが,じつは売春婦。チョンスは韓国料理店で働いているが,オバサン相手のつばめ稼ぎもしている。
 風俗のスカウトの正也(忍成修吾)は,家出少女の雛子(我妻三輪子)に目星を付けてホテルに連れ込むものの,雛子の不幸すぎる生い立ちを聞いて,彼女に惚れてしまう。

● と,訳ありすぎの登場人物たちがおりなす “群像劇”。里見と康夫の時効はめでたく成立。理香子もめでたく不倫を精算できたらしい。
 ヘナとチョンスは一緒に韓国に帰ることになり,結婚することになるようだ。正也は体を張って足を洗い,雛子を迎えに来る。劇中で唯一のあっぱれな男。あ,チョンスもそうかもしれない。

● 何だか,訳がわからないのが徹。故郷の塩釜に帰る長距離バスに乗り込むのだが,帰ってどうするつもりなんだろうか。
 何もかも嫌になって,いったんリセットというのはわかるんだけれども,一流ホテルに就職するという妄想に掴まっているだけで,具体的には何もしていない。
 でも,まぁ,故郷にしばらく居て,新宿に戻って雛子とよりを戻すのだろうな。

2021年12月6日月曜日

2021.12.05 泥棒役者

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● 「泥棒役者」(2017年)。原作,脚本,監督が西田征史。

● しっとりとしたドタバタ劇。主役の大貫はじめを丸山隆平が演じ,市村正親,石橋杏奈,ユースケ・サンタマリア,片桐仁が主要な登場人物を演じる。
 が,はじめを脅して泥棒稼業に引き戻す畠山の宮川大輔が印象に残る演技。はじめの恋人役の高畑充希もさすがの存在感。任せて安心。
 最終盤で片桐はいりと向井理が姉弟として登場するが,弟が向井理であることに気づかなかった。

● いい映画を見れたなという満足感が残った。明日でプライム対象から外れるが,少し待てば戻ってくるだろう。
 主題歌は関ジャニ∞「応答セヨ」。

2021年12月4日土曜日

2021.12.03 弥生,三月 君を愛した30年

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● 「弥生,三月 君を愛した30年」(2020年)。「1986年(昭和61年)から2020年(令和2年)までの34年間の3月のある1日を舞台に昭和,平成,令和という3つの時代を跨ぎ,運命に翻弄されながらも一途に互いを愛し続けてきた2人の男女の半生を描く」(ウィキペディア)。
 3月のある1日となれば,2011年3月11日の東日本大震災がストーリー展開上のターニングポイント(の1つ)を作ることになる。

● 東日本大震災のあと,これだけの自然災害を経験すれば,日本も日本人も変わらざるを得ない,と言う識者もいたし,新聞もだいぶそっち方面の記事を流した。が,結局,ぼくらは何も変わらなかった。
 わずか数時間であれだけの人命(18,425人)が失われたのに,イジメはやまないし,わが子を虐待する親もなくならない。特殊詐欺も隆盛を保っている。
 なくても誰も困らない仕事も営々と続けられている。読むに値しないパルプ本を次々に出版しながら,本が売れなくなったと嘆く出版界。作られるそばからゴミステーション行きになる,雑貨と称される商品群。人の迷惑を顧みない訪問販売またはその勧誘。企業が故意にかけてくる迷惑電話。

● いや,そういうことは,とりあえずどうでもいい。
 主演は波瑠(弥生)と成田凌(サンタ:山田太郎 → 山太 → サンタ)。2人は高校の同級生。もうひとり,杉咲花が演じるサクラも仲間だったが,彼女は早逝してしまう。
 しかし,2人が結婚するときに聞いてくれと残したサクラのボイスメッセージが,何というのか絶品。内容はスタッフが作っているのだから,杉咲花には関係ないのだが,声がもうすごいよ。
 上手いという以前の話。いい声なんですよ。生まれる前,母親の子宮の中で羊水に身を任せていたときはこんな感じだったか,と思わせるような。全身を愛撫されてるようなゾクゾク感をくすぐる声というか。

● もうひとつの印象的なシーンは,結婚している弥生がサンタ(この時点でバツイチ)のアパートに泊まって,翌朝,夫に電話をする。その電話を受けた夫(小澤征悦)の表情だ。
 どういう表情を作ればいいのか,かなり難しかったのではないか。高校時代の友だちと会ったので朝まで飲んだと言われたって,朝まで連絡できなかったわけではあるまい,と思う。しかし,彼女がそういうことをする人ではないと信じている。信じてはいるんだけれども・・・・・・という循環が止まらない。
 結局,すべてを察してそれを受け入れる表情を作ったのだが,うん,これしかないですかねぇ。

● 弥生とサンタは高校生のときからつながりを保っている。“好き” を保っている。
 しかし,こういう一筋の道を行く的な生き方は現実にはないものだろう。思春期を過ぎた後,人は何度か脱皮を繰り返す。過去を脱ぎ捨てる。3段ロケットよろしく,過去を切り離していく。

● そうでなければいけない。ぼくの周囲を見回しても,中学校の同級生同士で結婚した人はいない。高校の同級生と結婚した人は1人いるが離婚した。大学の同級生同士の結婚は複数ある。ただし,結婚したのは卒業してから数年の後だ。
 結婚は少なくとも1回は脱皮してからの方がよいとしたものだ。遅すぎる結婚はまだしも,早すぎる結婚はよろしくない。

● この映画で描かれているのはファンタジーであって,そのファンタジーを楽しめばよいものだ。
 自分も弥生やサンタのようにと考える若い人がいるとすれば(いないと思うが),目を瞑って1分間,深呼吸しようね,と言いたい。

2021年12月3日金曜日

2021.12.02 町田くんの世界

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● 「町田くんの世界」(2019年)。原作は安藤ゆきの漫画作品。「別冊マーガレット」に連載された。
 主演は細田佳央太と関水渚。細田佳央太はもちろん,関水渚もオーディションで選ばれて,これがデビュー作になったらしい。
 他に,岩田剛典,高畑充希,前田敦子,池松壮亮,戸田恵梨香,佐藤浩市,北村有起哉,松嶋菜々子。実績のある中堅とベテランが脇を固めた。

● 細田佳央太が演じる町田くんは,「“人を愛する才能” だけはズバ抜けてい」て,その代わり,自分がしたことで相手がどう思うか,どう感じるかというのは読めない。
 それで色々とドラマが生まれるのだが,最後は,関水渚が演じる猪原さんがロンドン留学のため成田空港に向かっているところへ,町田くんが引きとめに向かう。ハッピーエンドで終わる。

● だが,彼女はロンドンに留学した方がよかったかもしれないよね。というのも,引きとめに向かうことを決心するまでの町田くんの行動は,あまりにグズで,重要-非重要,緊急-非緊急の判断がまったくできないからだ。
 じれったいったらありゃしない。こういう男は見捨てろ。一緒になったところで,ロクなことにはならんからな。

● 関水渚の好演が印象に残る。高畑充希と前田敦子の高校生もなかなか。
 高畑充希が10歳年下の細田佳央太に “先輩” と呼びかけるところとか,前田敦子の一言居士ぶりはかなりのインパクト。見どころの1つに数えていいと思う。

● ロケは栃木県内でも行われた。宇都宮市のベルモール,宇都宮駅ペデストリアンデッキ,ブラジルコーヒー宇都宮駅前店,オリオン通り,バンバ通りが使われたらしいのだが,ぼくは気づけなかった。
 町田くんと猪原さん,西野くんの3人がボーリングをやったボーリング場は,鹿沼市のヤングボウル。町田くんたちが授業を受けていたのは佐野市の葛生中学校だったらしい。

2021年12月1日水曜日

2021.12.01 TOKYO!

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● 「TOKYO!」(2008年)。3話からなるオムニバス映画。フランス・日本・ドイツ・韓国の合作らしいのだが,監督・脚本といったところは,いずれも外国人が担当している。
 この映画は彼らが東京から何を触発されるのかという視点で見た方がいいんだろうか。

● 3つともかなりシュール。まず,「インテリア・デザイン」。英語版の原作があるらしい。
 若い男女が東京にやってきて,色々あるうちに,離れ離れになり,女は椅子になってしまう(誰もいないところでは元に戻る)。それで彼女は幸せになりました,という話。
 藤谷文子を中心に,加瀬亮,伊藤歩,大森南朋,妻夫木聡,でんでん,光石研,石丸謙二郎らが出演している。

● 次は「メルド」。下水道の怪人と呼ばれる男の名がメルド(フランス語で「糞」という意味)。防空壕のようなところに住み,下水道のマンホールからこの世に現れ,悪さをして地下に戻るを繰り返す。
 捕らえられ,裁判にかけられ,死刑を執行されるが,死亡が確認された後に生き返り,忽然と姿を消す。言語も独特。何せ,この言葉を話すのは,メルドを含めて世界に3人しかいないのだ。
 主要な登場人物も外国人。メルドがドゥニ・ラヴァン。メルドの言葉がわかるというフランスの弁護士ヴォランドにジャン=フランソワ・バルメール。
 これは東京じゃなくても成立する。ニューヨークでもロンドンでもパリでも。

● 「シェイキング東京」。引きこもりの男があることがキッカケで外に出た。そこにあったのは全員が引きこもっている街だった。
 香川照之を中心に,蒼井優,竹中直人。荒川良々や松重豊もちょい役で。性格俳優というとちょっと違うのかもしれないが,芸達者が揃った。

● “世界の巨匠たちが見た,光と希望と闇に包まれた真実の東京──” がキャッチフレーズのようなのだが,「メルド」だけではなく,「インテリア・デザイン」も「シェイキング東京」も,東京でなければ成立しないというわけではない。大都市が舞台であればよい。
 大都市が孕んでいる創造性とでもいうものを,3つの形にして見せたということだろうか。