2022年9月30日金曜日

2022.09.30 うれしはずかし物語

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● 1988年の映画。34年前になる。制作は日活。当時,日活ロマンポルノという言葉があった。この作品もそれに該当する。
 今の目線ではどこがポルノなんだという受け止め方になるかもしれない。だいぶソフトだ。34年の間にポルノとか18禁の中身もだいぶ変わっている。

● 今年の「第78回ベネチア国際映画祭」クラシック部門に日活ロマンポルノ作品が初選出されて,現地で上映された。田中登監督の『(秘)色情めす市場』という作品だけども,これはぼくは見ていない。
 要は,この種の作品を一格下に見るというがごとき,色メガネはいかがなものかという話。

● 「夢が壊れ,気がついた時には40才過ぎの管理職。良き家庭に恵まれているがそれらに "自分自身の空間" を占拠されていた。唯一,一人になれる "空間" がワンルームマンション。そこで出会ったいわゆる新人類と呼ばれる不思議な少女によって,空間がどんどん埋められていった」という話なのだが,「夢が壊れ」といっても,40歳を過ぎたあたりで上場企業(たぶん)の部長になっているのだ。
 今のサラリーマンからすれば,何言ってんだよというほど順調な出世コースに乗っている。当時の40歳は今の40歳よりだいぶオジサンだったかもしれないのだが,それにしたってという気がする。

● その上,サラリーマンなのに自宅の他にワンルームマンションを持つだけの資力があるのだ。加えて,若い女性と愛人契約を結ぶ。その手当もサラリーから払えるわけだ。2人の子持ちでそんなことができたのだ。
 いや,劇中での話なんですけどね。はっきりとバブルの臭いがする。当時の記憶は朧だけれども,そういう世相だったのだろう。こういう設定が必ずしも荒唐無稽ではないという。

● 原作はジョージ秋山の同名漫画。主演は川上麻衣子。彼女の初主演作なのだが,この映画から入ったことが,彼女にとっては不運だったのか,そんなことはないのか。
 この映画は映画館で見ているんですよ,当時ね。で,川上麻衣子っていいじゃんと思ったんですよ。で,今見てもかなりいいんですよ。
 彼女は現在でも現役の女優として残っているのだから,女優としての素質はしっかりとあったことは証明されている。だけど,もっと多くの人の記憶に残る女優であり得たような気がするんですよね。

● 他に,寺田農と本阿弥周子。寺田農は個性派俳優という言葉で形容されることが多かったのではないか。飄々とした風情があった。相当な読書家で多才の人。
 婚約不履行で訴えられるといった一幕もあった。面白い人だったに違いない。