2021年9月26日日曜日

2021.09.26 愉楽への手ほどき

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● 「愉楽への手ほどき(字幕版)」(2018年 フランス)。
 エッチはこうすればいいですよという指南をするものではない。官能的なシーンは何度か出てくるし,そのシーンはこの映画では重要な部分かと思われるのだが,そのシーンを出すためにこの映画の残り全部があるわけではない。
 原題は「Que le diable nous emporte」。Google先生は「悪魔に私たちを運ばせてください」と訳してくれる。

● セックスを完全に遊びにできる大人の女の物語と見ることができる。40歳(という設定)のカミーユ(ファビエンヌ・バーブ),若いスージー(イザベル・プリム),カミーユの同居人であるクララ(アンナ・シガレヴィッチ)。
 カミーユがクララとの同居先にスージーを連れてくる。そのあとは,3人でベッドに入ったりもする。

● 次に,クララの天使ぶりだ。カミーユを助け,スージーも助け,それだけではなくスージーに捨てられたオリヴィア(ファブリス・ドゥヴィル)の面倒まで見て,彼を自立に導く。
 その過程でクララとオリヴィアは恋仲になるのだが,そうなってからわざわざオリヴィアをスージーに合わせて,結局,2人は元の鞘に収まってしまう。カミーユもクララの元を去り,クララは1人取り残される。
 最後に,クララは自分を嘲るように空笑するのだが,そこでもカラリとした空気があって,湿っぽさは感じさせない。

● カミーユには凄まじいまでの過去があり,スージーも然り。クララについては何も語られないが,同じような逆境に晒されてきたに違いないと見る者に思わせる。
 それゆえ,画面は荒唐無稽といっていいくらいの展開を見せるのだが,妙にリアリティーがある。

● そうした展開の中でトリックスター的な役割を果たしているのが,75歳の爺さまのトントン(ジャン=クリストフ・ブヴェ)だ。ヨガの導師としてスージーに瞑想を指導する。
 苦しみの原因は「私」と「私のもの」という感覚だ,などとスージーに教えていくのだが,スージーがそれで変わったというわけでもなさそうだ。

● カミーユの裸身は見応えがある。中年になってもこのラインを維持しているのだから,女優とは大したものだ。若いスージーは言うにや及ぶ。
 劇中の街はパリだろうが,建物の中でのシーンが多く,この映画を見てパリに旅行に来たつもりになるのは難しいかもしれない。
 清々しさを残して終わる映画だ。見てよかったと思いましたよ。